Food Travel

食材狩人 第3回: 牡蠣はクレーン船で吊り上げる

当コーナーでは、プロの料理人が指名買いする「あの商品」を徹底解剖。ユニークな食材の背景にある、知られざるストーリーを追い求め、食材狩人が西へ東へ走ります。


2012/5/23up

牡蠣はクレーン船で吊り上げる

この日私たちが訪れたのは、江田島市江田島町にある水産会社。こちらは江田島にある牡蠣養殖業者の中でも大手で、なんとこの界隈に牡蠣筏(かきいかだ)を150近くも所有しているそうです。さっそく私たちも漁師さんと一緒に船に乗り込み、日の出前に出発!


漁師のみなさん
牡蠣の収獲に同行させていただいた漁師のみなさん。男らしーっ!


向かう先は、厳島神社のある宮島の裏側にあたる大砂利(おおじゃり)エリア。まだ暗い中、牡蠣筏の間を縫うようにして目的地へと進みます。

これだけ筏がたくさんあると間違えそうなものですが、「筏の端に明かりを付けたり、筏に色線を引いたりして、目印を付けているから間違えないよ」と同社社長。むしろ時には、盗難されることもあるのだとか!



安芸の宮島の裏手にあるのが、この日の漁場・大砂利(おおじゃり)エリア。


本日収獲する筏は2台分で、大きさは縦20メートル×横10メートルほど。下には約10メートルの牡蠣付きワイヤーがぶら下がっており、重量は約500kg!とても人力で引き上げられる長さ&重さではないため、船に装備されたクレーンを使って引き上げていきます。


船固定
まずは牡蠣筏と船を固定して…、

牡蠣チェック
牡蠣の大きさをチェック。大きく育っているかな…?

クレーン1
大きさはOK!となれば、各ワイヤーを束ねてクレーンの先にくくりつけ…、

クレーン2
ゆっくりと引き上げると…

牡蠣アップ
牡蠣がみっしり付いています!


引き上げられたワイヤーを見ると、最後尾に止め具がついており、養殖中に牡蠣が海中に落ちないようになっています。また、貝と貝の間にはストローのようなものがはめ込まれており、牡蠣を密集させずに大きく育てられるよう、適度な間隔をあけています。この止め具をカットすると、ストローも牡蠣の塊も、すべてがシュルシュルと船内に落ちていく仕組み。


カット風景
止め具をカットすると、牡蠣がボタボタと船内に落下。

カット風景
ワイヤーからしたたり、飛び散る水も半端ないため、
カット担当の漁師さんは、カッパとメガネ要着用です。

船内の牡蠣
収穫された牡蠣。殻だけ見ると、まるでクズ鉄のようですが、殻をむけば舌もとろける逸品に。


この日は約2トンの収獲でしたが、最盛期には一度の漁で15トンくらいになるそう。漁を終えたら港へ直行。この船がよくできたもので、収獲した牡蠣が自動で洗い場に流れるオートメーションシステムを装備。そしてさっきまで牡蠣を収獲していたお兄さんたちは、休む間もなく牡蠣の選別に入ります。


牡蠣の搬入
牡蠣がベルトコンベアーで船から洗い場に直送されてきます。

牡蠣の選別
漁師のみなさんが瞬時に選別。

選別済の牡蠣
クズ鉄のようだった牡蠣も、水洗いするとすっかりキレイに!


こうして殻に付いたヘドロ等を洗い流し、大きさを選別された牡蠣は、滅菌のため一昼夜水槽へ。一般的には次亜塩素酸ナトリウム、すなわち消毒用の塩素を使うそうですが、同社では海水から作った滅菌成分を利用し、より自然に近い環境で滅菌させているそう。この海水の中で牡蠣が海水を吸ったり吐いたりすることにより、だんだん牡蠣の身がきれいになっていきます。


水槽
アサリの砂抜きと同じような要領で、牡蠣を生かしながら、殻の中に入ったドロや砂を抜いていきます。


そして滅菌された牡蠣は、打ち娘(うちこ)さんと呼ばれる、牡蠣の殻むきのプロたちによって“むき身”にされます。使う道具は、木の棒に鉄のハーケンを直角に打ち付けた手鈎(てかぎ)状のもので、これは広島地区ならではのものだそう。私もやってみましたが、柔らかな牡蠣の身を傷つけずに、ちゅるんと取り出すのはなかなか難しいもの。牡蠣殻をこじ開けるポイントがわかると、テンポよく開けられるようになります。


打ち娘さん

打ち娘さん手元アップ

むき身
これがむき身。




収獲後、24時間水槽で暮らし、打ち娘さんたちによってむき身にされた牡蠣。そのまま食べれば生牡蠣ですが、オイスターエキスへの道のりはいよいよここから。次はカクサン食品の製造工場に向かいます。


NEXT TRAVEL>「エキスは一番だしの大釜仕込み」


Text 佐藤貴子(ことばデザイン)
Photo 清水武司(joy)

カテゴリ:
Food Travel

記事公開日: 2012/5/31

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