Food Travel

食材狩人 第4回: エキスは一番だしの大釜仕込み

中華のシェフが指名買いする「あの商品」を徹底解剖。こだわり食材の知られざるストーリーを追い求め、食材狩人が西へ東へ走ります。


2012/6/14up

エキスは一番だしの大釜仕込み

レベーター

調味されたオイスターソースではなく、牡蠣の旨みだけを凝縮させたオイスターエキス。その原料となるのは生牡蠣のむき身です。プリプリした牡蠣は、いったいどうやってあの濃い茶色のエキスとして生まれ変わるのか…?
期待を胸に、工場へ向かうエレベーターに一歩足を踏み入れると、そこは既に牡蠣の香りが充満!エレベーターを降りた工場内も、牡蠣アロマたっぷりです。

さっそくエキスに使われる牡蠣を見せていただくと、そのまま食べてもよさそうな大粒揃い。というのも、エキスに使われる牡蠣は、収獲後期となる3~5月に水揚げされたものが多いからだそう。私たちが生のマガキを食べているのは、主に晩秋から冬にかけてですが、実は牡蠣はその後もさらに実を太らせており、それらが干し牡蠣やエキスなどの加工品に使われているのです。


製造現場の牡蠣
現場にあった牡蠣を手に取ると、長い方でなんと約6cmも!かなり太っちょです。


また、エキスというと、なにやら工業的・化学的に作られているような印象がありませんか?それが、カクサン食品のオイスターエキスの作り方はいたってシンプル。牡蠣をゆで、その旨みが溶け込んだゆで汁を釜に入れ、加熱しながら濃度を高めていくというもので、牡蠣の一番だしを大釜で仕込む、といった感じです。


牡蠣のゆで汁
牡蠣の一番だしは乳白色。これを煮詰めること十数時間、濃い茶色のエキスに様変わりします。


エキスの煮詰め方は96~98度という高温を保ちながら、煮汁の液面に扇風機で風あてて、熱をすばやく逃がすようにすることで、濃縮度をより高めていくのがコツだそう。


大釜と扇風機
こんな感じで、釜に大型扇風機で送風しながら煮込んでいきます。


製造部長
カクサン食品製造部長の大和徹高さん。

また、もうひとつポイントとなるのが「ブリックス」と言われる濃度です。
「釜に入れる前の煮汁は生臭みがあり、ブリックス4~5%とまだサラサラしていますが、加熱しながら釜を15時間くらい回していると、次第に色が濃くなり、ブリックスが35%くらいになってきます。そこから徐々に濃度を高め、最終的に仕上げる濃度はブリックス50%。超高濃度ですが、濃度が高くなると日持ちがしやすくなり、過剰に殺菌をしなくても、風味豊かなエキスを作ることができますからね」
そう説明してくださったのは、カクサン食品製造部長の大和徹高さん。

「例を挙げますと、カルピスのブリックスは50%なんです。私たちは、これをだいたい5倍に希釈して飲みますが、これがもとから5倍になっていたら、日持ちしなくなってしまいますよね。オイスターエキスも同じで、濃度が高いからこそ保存できる。それに加えて、私どもが考慮しているのは、中国料理の料理人が使いやすい粘度や塩分ですね。その最適なバランスを追求した結果が、このオイスターエキスです」と大和さん。


大鍋
煮込み真っ最中の大釜。一度に500~600kgのエキスができるよう仕込みます。


中華おたまの先でちょっとすくって、中華鍋でザッと炒められる粘度で、なおかつ素材の味を活かす塩分。まさにこれこそ中国料理のために開発されたエキスといっていいでしょう。エキスにはグリコーゲンとタウリンが多く含まれており、料理に使えば、滋養強壮にも効果がありそうです。


製造途中のエキス
仕上げ前の、まだ濃度の低いエキス。

テイスティング
テイスティングしてみると…、

テイスティング結果
軽やかで、味も香りもフルーティー。まさに旨み味!


こうして仕上がったエキスは、出荷前に風味の確認や細菌の有無、金属が混入していないかどうか等、諸々の検査を経て缶に充填され、商品として出荷されます。

細菌や金属混入は、薬品や機械を使って行うため、シロクロはっきり判定がでるわけですが、気になるのは風味の検査。25年間同じ味と品質を保つために、どういうことをしているのでしょうか。次回はこの検査を担当する、官能検査スペシャリストにお話をうかがいます。


NEXT TRAVEL>「官能検査のスペシャリスト」


Text 佐藤貴子(ことばデザイン)
Photo 清水武司(joy)+80C編集室

カテゴリ:
Food Travel

記事公開日: 2012/6/14

※情報は掲載時のものです。内容は後日変更される可能性がありますので御了承ください。