Food Travel

食材狩人 第6回: オイスターエキスの使い方 ―上海家庭料理 大吉―

中華のプロの料理人が指名買いする「あの商品」を徹底解剖。ユニークな食材の背景にある、知られざるストーリーを追い求め、食材狩人が西へ東へ走ります。


2012/7/12up

オイスターエキスの使い方

上海家庭料理 大吉(東京都世田谷区)

広島湾で採れた生牡蠣約227粒をひと缶に凝縮したオイスターエキス。
開業以来、この調味料を愛用しているという人気の中国料理店に、その使い方をうかがいました。



「大吉」という縁起のいい名前を冠したこの店は、日本に住んで23年目というユ・ゲツカさん姉妹と、中国から来た精鋭料理人たちが切り盛りする繁盛店。外観は街場の中華食堂といった風情ながら、こだわりのおいしさと巡り会えそうな引力を感じさせる店でもあります。何を隠そう、夜の世田谷通りでこの店の灯りを見ると、ついつい引き寄せられてしまうのは私です。

さて、同店が食べさせてくれるのは、オーナーであるユさんの出身地・上海の家庭料理。黄ニラ、花ニラ、芥覧(カイラン)菜、豆苗、マコモなど、日本人があまり見慣れない中国野菜を、豪快かつ手際よく中華鍋でチャッチャと煽った、熱と鮮度のある料理こそ「大吉」の真骨頂。化学調味料を使わないヘルシー志向で、野菜の鮮度と種類にこだわり、食べやすい価格で提供するというその姿勢には、長年日本で食の世界に携わってきた女性オーナーならではのこだわりが感じられます。



調理風景

オイスターエキスを使っているのも、そんなユさんのこだわりのひとつ。「エキスは店を引き継いだ時から使っていましたが、特に肉や魚介類使った料理にオイスターエキスを使うことが多いネ」と言うとおり、青椒肉絲(チンジャオルースー)、フカヒレ餡かけおこげ、中華丼などは、オイスターエキス必須の定番メニュー。

なぜエキスを使うのか?との問いに「ソースとエキスで作り比べたことがありましたが、やっぱり全然違うネ。こっちがオイシイんだもの」と、きっぱりとシンプルに答えてくれたユさん。身体によい、本物の中国料理のおいしさを求め続けてきた人の、本能に忠実な選択がここにありました。

※写真右=中華おたまに垂らしやすい粘度になっているのも、オイスターエキスの便利なところ。大吉では、青椒肉絲1人前に対して、小さじ1杯弱のオイスターエキスを風味付けに使っています。


オイスターエキスを使った「大吉」の人気メニュー

青椒肉絲
青椒肉絲(チンジャオロウスー)

青椒肉絲はごはんのおかずにぴったりの定番メニュー。牛肉、ピーマンに加え、豆腐干(とうふがん)という水気の少ない豆腐の千切りを加え、ヘルシーに仕上げているのが大吉スタイル。


中華丼
中華丼

中華丼はランチの人気メニュー。海老、豚肉、たけのこ、きくらげ、にんじんなど、多彩な具材の味を、オイスターエキス入りの餡が風味豊かにまとめています。


生麩のあんかけ麺
生麩のあんかけ麺

ふっくらとした生麩、味わい深いどんこ椎茸をオイスターエキス入りの餡でまとめた生麩のあんかけ麺は、立ちのぼる香りまでおいしい一品。シンプルな具だからこそ、砂糖や醤油、塩、アミノ酸、カラメル色素等を加えて作るソースよりも、雑味のないエキスの方が、素材の味を引き立ててくれます。



上海家庭料理 大吉

大吉

TEL 03-5450-4557
住所 東京都世田谷区世田谷4-7-3
アクセス 東急世田谷線 世田谷駅から徒歩3分
ランチ 11:30-14:30L.O.
ディナー 17:30-翌1:00L.O.
(日祝11:00-翌1:00)
無休
珍しい中国野菜を使った料理、オイスターエキスを使った旨みとコクのある料理はもちろん、腐乳、鹹蛋(塩漬け卵)、うずら皮蛋など、食材系つまみも315円~と格安&充実。中国酒のバラエティも豊富です。確実に行きたい方は予約を。



NEXT TRAVEL>「干し牡蠣=食べる出汁(だし)!」




Text 佐藤貴子(ことばデザイン)
Photo KOUMEI

カテゴリ:
Food Travel

記事公開日: 2012/7/12

※情報は掲載時のものです。内容は後日変更される可能性がありますので御了承ください。