Food Travel

食材狩人 第7回:干し牡蠣=食べる出汁(だし)!

牡蠣の旨みが凝縮!中国の正月料理に欠かせない「干し牡蠣」。その魅力と作り方&使い方は?


2013/12/9up

干し牡蠣=食べる出汁(だし)!

中国の正月に欠かせないもの―――、それは「縁起」を担ぐ料理の数々。特に「家族円満」と「お金が儲かり豊かになること」を願った美味は、中国人の節句の定番料理といえるでしょう。

そんな縁起モノに、昔から日本産の上質な食材が求められてきたことをご存知でしょうか。それは、干し牡蠣こと蠔豉(ホウシー)です。

干し牡蠣


なぜなら、蠔豉(ホウシー)は、広東語で好市(ホウシー)、すなわち商売繁盛と同じ発音。縁起がいいだけでなく、煮込んでも弾力に富むもっちりとした食感と、磯の香りと旨みを凝縮したその味わいは、何物にも替え難い旧正月のご馳走になっているのです。

髪菜蠔豉猪手湯
「髪菜蠔豉(ファッチョイホウシー)猪手湯」は「発財好市」、すなわち発財(お金発生)+好市(市場活性)=商売が活気づいてお金ザックザク!と同じ発音をもつ正月の伝統的な縁起料理。現在、髪菜は採取が禁じられているため、もずく等で代用されます。※広東料理なので、発音も広東語になります。



干し牡蠣はこうして作られる

そんな干し牡蠣は、乾物として“出汁の素”にするものではなく、丸ごと食べる“メイン食材”として使われるのが王道。適度に香りと水分を残し、旨みを十分に蓄えて、しっとりと乾燥させたものが上質とされます。

中でも80C(ハオチー)を運営する中華・高橋では、食材狩人でご紹介した広島県江田島市で作られた干し牡蠣を取り扱っています。作り手は、高品質の干しナマコや干し牡蠣で、本場香港でも高い信頼を得る白地水産さん。

「干し牡蠣は、干すことで味が凝縮される一方、水分が抜け、生牡蠣の約4分の1の大きさに縮むことから、生食用よりもさらに大きく育てた牡蠣を使って作ります。生食用として収穫される牡蠣の養殖期間は、少なくとも2年2ヶ月ほどかかりますが、干し牡蠣の原料はさらに半年以上長く、2年8ヶ月~2年10ヶ月くらいかけるんです。また、牡蠣は粒が大きいほど価格が高くなりますので、原料単価で見るとかなり高価なものが干し牡蠣になるんです」。

そういうのは、白地水産の白地桂三社長。とはいえ、大粒で品質のいい日本の干し牡蠣を求める世界の料理人のため、価格は抑え目です。

牡蠣筏
広島湾に浮かぶ牡蠣筏(かきいかだ)。


白地桂三社長
白地水産(株) 白地桂三社長


その作り方は、むき牡蠣をボイル→乾燥→安生(あんじょう=寝かせること)→乾燥とシンプル。しかしながら、牡蠣に含まれる水分量を見極め、表面や中心部も均等にしっとりと乾かすには、長年の経験がモノをいうそう。

「特に、粒が大きければ大きいほど、乾燥させると表面と中心部の水分量に差が生じてしまうことから、全体を均一に乾燥させる安生(あんじょう)が必要になります。中の水分量が多すぎると、カビの発生や、劣化しやすさの原因にもなりますからね。そこで、牡蠣の大きさによって水分量を見極め、全体をまんべんなく、しっとりと乾かす技が必要となります」。

手間はかかりますが、現在は作り手の少なくなった干し牡蠣づくり。その技を継承すべく、同社では35年間にわたってこの製造を続けています。

むき牡蠣
広島湾で水揚げされた牡蠣は、打ち子さんの手によって、その日のうちにむき牡蠣に。


そんな干し牡蠣を使う料理は、煮込みやスープが定番。調理前に軽く水洗いしてたっぷりの水に浸し、煮込みや炒めものにするなら2時間以上、スープであればひと晩おいてから使います(※戻った状態は適宜確認してください)。ちなみに、この戻し汁にネギやショウガを加えて蒸し、砂糖、醤油等の調味料を加えて煮詰めていくと、なんと、自家製オイスターソースも作れます!

また、牡蠣の煮汁をとことん煮詰めて作ったのがオイスターエキスです。こちらは調味料を加えずに、絶妙な旨みと塩気を保つ状態に濃縮したもの。いずれも牡蠣の香りや旨み、まろやかさ、さらに栄養がギュッと詰まった逸品です。

干し牡蠣



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干し牡蠣、オイスターエキスのお問い合わせ

◆業務用のご注文
株式会社中華・高橋(TEL 03-3820-0030 FAX 03-3820-0039)

干し牡蠣は500g単位でお求めいただけます。在庫が少なくなっておりますので、欠品の際はご了承ください。(2016年2月5日更新情報)

◆オイスターエキスに家庭用サイズが登場!
食材狩人でご紹介したオイスターエキスに、使いやすい小瓶入りが登場しました。従来の商品は、プロが厨房で使いやすい粘度に調整されているのに対し、こちらはよりサラッとした質感。牡蠣が本来持つまろやかな塩気が活かされており、オイスターソースや牡蠣醤油のように調味されていないにも関わらず、十分に調味料としてお使いいただけます。お求めは日本橋 古樹軒店舗、または カクサン食品オンラインショップでどうぞ。




取材・文 佐藤貴子(ことばデザイン)
撮影   清水武司(joy)/料理撮影 西田伸夫/商品撮影 佐藤貴子


カテゴリ:
Food Travel

記事公開日: 2013/12/9

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