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最高の「家火鍋」を求めて!

4回にわたってお届けする当企画、最終回はQ&A形式でさらに家火鍋を掘り下げます。

家火鍋ビギナーは、火鍋に入れるおすすめの具や、あるとうれしい手づくりの具をチェック。家火鍋リピーターには、羊肉の食べくらべや、あると楽しい鴛鴦鍋(おしどりなべ)の選び方をご紹介。知って、実践すると家火鍋が何倍も楽しくなるコツをご紹介します。

家火鍋奉行への道
①おすすめの具 | ②手づくりの具 | ③羊肉比較 | ④タレ | ⑤鍋の選び方

① 火鍋の具、何がおすすめ?

今回ご紹介した火鍋の素を使う場合、いずれもスープにしっかり風味がついているので、寄せ鍋に使うような具を用意してはずす、ということはあまりありません。ただ「風味よくいただく」という観点から大枠を考えると、

(1)出汁になる肉、魚介系の団子、野菜
(2)さっぱりと爽やかさを加える青菜類
(3)スープを吸わせて食べる食材
(4)〆の麺

を揃えると、飽きずに食べ進められること請け合い。今回実施した家火鍋の場合、上の分類にあてはめてみると、以下のようになります。

(1)羊肉、イカ団子、長ねぎ、きのこ数種類
(2)春菊
(3)春雨、厚揚げ、もやし
(4)乾麺

豆加工品については、豆腐よりも厚揚げの方が煮崩れしにくく、パンチある火鍋のスープに負けない質感があるのでおすすめです。また、余った火鍋のスープは、漉してから野菜の炒め煮などに利用することが可能。捨てるのがしのびない方は、ぜひ再活用してみましょう。

今回使用した食材のひとつ。左は広東省佛山市の市場で購入した謎の乾麺。右は板状の春雨「粉条」です。

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②ちょっとスペシャルな具がほしい!

切っただけの具を揃えれば、すぐ楽しめる家火鍋。そこに、ひとつでも手作りの具が入ると、俄然ご馳走感が増すものです。そこで「黒猫夜 銀座店」料理長の水岡シェフに即席で作っていただいたのがイカ団子

中国や台湾で楽しむ火鍋では「エビ団子」「イカ団子」「鶏団子」などを選ぶことができるように、団子が入ると現地っぽさもUP。10~15分ほどあればできますので、来客の際などはぜひチャレンジしてみてください。


「1人何個まで?」と思わず声が飛ぶ!手作りの団子は鍋の人気者です。

水岡シェフ直伝!ぱぱっと作れる!即席イカ団子の作り方

(1) ワタを取り除いたイカをざく切りにします(ここではハナマサの「冷凍つぼぬきいか」3杯使用)。
(2) フードプロセッサーで(1)を粗みじんに潰します。そうすると、団子にしたときコリコリしたイカの食感が残ります。
(3) (2)を取り出し、はんぺん1枚を練り込み、酒、片栗粉を少量いれてまとめます。はんぺんに味がついているので、調味は不要。
(4) 団子状にまとめて沸騰したお湯に入れ、下ゆでしてできあがり。表面の色が変わったら取り出します。

 

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③火鍋に合うのはどんな羊肉?

中国では火鍋店で誰もが注文している…といっても過言ではないのが羊肉。現地では羊肉のグレードが選べることもありますね。

そこで今回は、家火鍋リピーターならきっと具に用意したことがあるであろう羊肉を、ちょっと贅沢に食べくらべ。部位によってどんな風に違うのか、羊肉といえばこの店、北海道名寄市「東洋肉店」の東澤社長にご相談し、火鍋で食べくらべて特徴がわかりやすい、ラム肩ロース肉、ラムもも肉、ラムロール肉(肩肉)3種類の部位を取り寄せてみました。

ラム 肩ロース肉


直径7cmほどで、白い脂とキレイな赤身が混ざり合い、いかにも柔らかそう。

ラム モモ肉


直径12cmほどで、赤ワインのように深く、濃厚な赤い肉色です。コクがありそう。

ラムロール肉(肩肉)


直径12cmほどで、見るからにしっかりとした肉質。ロール状にしてからスライスしています。

東澤さん曰く、「一般に手に入れやすいラム肉で、違いが分かりやすいものを3つ選びました。部位により版の大きさが異なりますが、お肉の厚さはそれぞれ同じくらいカットしますので、それぞれの部位を食べ比べてみて下さい」
とのこと。そして同時に食べ比べてみると、たしかにこれは違いがわかりやすい。まず、

「私が好きなのは肩ロースだな。柔らかいし!」(杉本)
「旨みも柔らかさもあって、いくらでも食べられそう~」(サトタカ)

と、女性陣にウケがいいのは肩ロース。他の部位に比べると一回り小さいですが、ササッとスープをくぐらせて、色が変わったところですぐ食べるのに最高。
東洋肉店のホームページに「羊肉嫌いもこれを食べてまで『嫌い』と言ったひとは私の回りには皆無!人気があって在庫確保が大変です」と書いてあるのもうなずけます。

一方、ステーキ用などの塊肉が中心で、しゃぶしゃぶ用などの薄切りではあまり出回っていないモモ肉は、

「最初は肩ロースがおいしいと思いましたが、食べれば食べるほどモモ肉にハマるかも。特に『しびれ王』との相性がいい感じです」(菊池)
「火鍋と合いますね。コクがある」(水岡)

と、現地留学経験のある2人に高評価。脂肪分が少なく、赤身の旨さをしっかり味わえ、かつ火鍋のインパクトにも負けない風味はたしかに火鍋向き。コクがありつつさっぱりとしており、火鍋に使うとなかなか侮れない部位といえそうです。

そして、最後はジンギスカンなどでも使われる肩のロール肉。

「この中では一番厚みがあって、肉質がしっかりしてますね」(コスギ)
「火鍋でなくとも、炒めた香りもよく合いそう」(サトタカ)

ということで、しっかりとした肉質で、食べごたえが得られるのがロール肉。聞けば「他の部位に比べると若干肉質が硬めですが、筋肉がしっかり付いている部位なので味の深さは一番。噛めば噛むほど味が出るのはこの部位」と東澤さん。牛肉や豚肉などと並べておくと、いかにも羊肉らしい特徴が際立つ部位といえるでしょう。

スーパーで買うと、薄切り肉はだいたい肩ロースで選択肢がないのですが、専門店に注文すれば、火鍋の楽しみ方も広がること請け合いです。

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④タレは要らないの?

スープだけでは物足りなかったり、途中で飽きてしまう場合も考慮して、つけだれ&薬味を用意すれば完璧です(※「四川料理しびれ王 しびれる四川 火鍋」は「火鍋用ゴマダレ」付きです)。

中でも、家庭でも手軽に用意でき、火鍋でしゃぶしゃぶした肉類によく合うのは、練りごま+香菜のざく切りや小ねぎの小口切りといった薬味の組み合わせ。特に練りごまのコクはしゃぶしゃぶした羊肉に実によく合います

練りごまは、瓶やプラスチックケース入りのものもありますが、卓上でパスしながら気軽に使うには、少量ずつ出しやすく、スプーンなどを汚さないチューブ入りがおすすめ。チューブ入りを見つけたら、ぜひ火鍋用に買っておきましょう。

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⑤火鍋ならではの中が二つに分かれた鍋。どれがおすすめ?

火鍋の鍋でイメージされるものといえば、真ん中で2つに分かれたタイプの二色鍋。鴛鴦(おしどり)のように2つがぴったり合っていることから、中国では鴛鴦鍋(ユェンヤングゥォ:おしどりなべ)とも呼ばれます。

では、家火鍋にもこれがないとダメなのか?というと、そんなことはありません。普通の土鍋でもできます。ただ、あれば気分が盛り上がること間違いなし。とはいえ、市場にはいろんな鴛鴦鍋が出回っており、選ぶのもひと苦労です。

そこで今回80Cがおすすめするのは、2つの鍋と手配方法。まず1つは、「小肥羊」の「火鍋専用鍋+2色スープ」を購入し、2色のスープの火鍋を楽しんで、その後、この鍋を活用していくという方法です。

なんと言ってもあれこれ鍋を検討して悩む手間がありませんし、セットの鍋は店で使用しているものと同じというのも安心感が。また、IH対応いうのも大きなメリットです。


小肥羊の鍋

そしてもうひとつは、思い切っていい鍋を買うという方法。今回は業界関係者にヒアリングの上、新潟県燕市にあるメーカー、カンダの「エンボス2槽火鍋」という商品を購入しました。

鴛鴦鍋は火にかけると、どちらか片方の槽に熱が寄り、片方だけが沸騰してしまうことが多いのですが、この鍋はそのことを踏まえて、内側にエンボス加工を施し、偏りを緩和する工夫をしているのがポイント。

火鍋の場合、白湯と麻辣湯(湯=スープ)だと麻辣湯の方が沸騰しやすく、結果的に煮詰まりが早く、蒸発しやすくなる傾向がありますが、それを少しでも抑えようとする工夫は、業務用ならずとも家庭向けにもありがたいものです。


カンダ エンボス2槽火鍋
(楽天市場やAmazonなどで購入できます)

さらに溶接やステンレスの質もよく、さすが中華用厨房道具をメインにしているメーカーだけあって、非常にクオリティが高い。フタもオプションで買うことができるのもポイントですが、IH対応ではないのでご注意ください。

また、火鍋以外の鴛鴦鍋の使い道として、右側にお湯、左側に火鍋スープを入れて、具にする麺類を右の槽でゆでたり、左右に鍋スープを入れて、左は雑炊、右は麺で〆を楽しんでもよし、仕切りを生かして、おでんを煮たりするのにも適しています。工夫次第でいろんな使い方ができますよ。

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ということで、4回にわたってお届けした家火鍋特集、いかがでしたでしょうか。スーパーやECなどで購入しやすい火鍋の素のご紹介は、それぞれの比較はと 、火鍋に関するエトセトラは当ページにてご紹介しています。火鍋をやるときは、ぜひ80Cの家火鍋特集を思い出してくださいね。

また、この連載中に「火鍋を一度も食べたことがない」という声や、「家の近所に火鍋の素が売っていない」という声が編集部に届きました。その場合はぜひ、近所のスーパーなどに、当連載でご紹介した火鍋の素をリクエストしてみましょう。

百聞は一食に如かず。他の鍋料理より、なぜだかテンションがあがるのも火鍋の素敵で不思議な効果かと…!

家火鍋奉行への道
①おすすめの具 | ②手づくりの具 | ③羊肉比較 | ④タレ | ⑤鍋の選び方

取材協力 アライドコーポレーション、アンズコフーズ、小肥羊ジャパン、三明物産、東洋肉店
TEXT 佐藤貴子(サトタカ)
PHOTO 宮濱祐美子、佐藤貴子