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惚れる!中華のサービス vol.2-3 前田藍さん(古月 新宿)

気張らずに今を乗り越える方法は?夫婦で店を切り盛りする先輩からのメッセージがここに。

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2016/12/5up


調理場からホールへ。
とまどいだらけのデビュー!

新宿に居場所を移した藍さんは、しばらく料理長と二人で板場を任されますが、さまざまな状況から、気付けば店は、開店当初からの料理長と、のちにご主人となる克紀さんのダブル料理長体制に。

藍さんは板場の仕事もしつつ、次第にサービスがメインになっていきますが、元はといえば調理場希望だったはず。持ち場の変更に対して、とまどいはなかったのでしょうか?

前田藍さん



「それは経験したことのない仕事ばかりでとまどいました。お店によって違いはあると思いますが、調理場は自分のペースが保てる時間帯があるように思います。

ホールの場合は、準備して、この料理はこのタイミングでテーブルに運ぼう…と段取りを考えていても、お客さんから『すみません』と呼ばれたら、そこで予定が崩れてしまう。しかもそういう時に限って、同時に声がかかる。聖徳太子になりたい気持ちで、その状況になかなか慣れませんでした」

調理学校の時に、ホテルの結婚式場のアルバイトで接客は経験済。しかし、きっちりと作り込んだマニュアルが用意される式場に対して、街場のレストランではリピートされるお客さまも多く、臨機応変な対応が求められます。


店内



「初めてホールに出た時点でホールの責任者でしたから(笑)。誰かに教わる機会もないまま、若いスタッフに指示を出していたのですが、全然回らなくて。ランチタイムでは、2時半になっても全卓に下げものが残っていたことも…。

夜のメニューは当時プリフィクスコース。2名様の予約でもおひとり様ずつ違うものを選ばれると、お席がたくさん空いている状況でも全く料理が出ない。ゲストの料理が最後になるなどで、たくさんのクレームが発生。てんやわんやでした」

そんな新宿のオープンから4年が経ち、サービスの仕事も板についてきた頃。もがきながらも受け入れて、少しずつ成長する藍さんを、見ている人は見ていました。半年間の交際期間を経て、同じ職場の克紀さんと結婚。「付き合ったのは半年ですが、それまでずっと見てきましたから」と話すのはご主人で料理長の克紀さん。それは、夫婦で独立への第一歩でもありました。

「料理人として尊敬する主人の料理の一番の理解者は私!と思い、一緒にお店をやろうと決意したんです」


店内



不安になったらくよくよせず、
おいしいものを食べて寝るのが藍さん流

「山中シェフに結婚を報告したら、驚いていましたね。でも、喜んでくださって、相談をしたら、2人で独立したらいいと、2年後に今の店をのれん分けしていただいたんです。2012年のことでした」。

とはいえ、この先、6~70歳までこれ一本でやっていけるのかな?体力的に持つのかな?といった不安はつきもの。これは、お店を経営する人なら一度は考えること。藍さんはどのように乗り越えたのでしょう?

「乗り越えるというよりは、目線を変えてみました。遠いところを見ていると心配だけど、今日、この切り物が上手にできたとか、追加オーダーを取ったとか、今日の目標をクリアすることに集中しました。日々、その積み重ねのように思います」


前田藍さん



さらに藍さんは、「マイナスに考える時は、フィジカルが弱っている時」と続けます。

「体が疲れていると、どこまでもくよくよしてしまいます。そんな時は、一度寝る! 体をリセットして本当にそう思っているのか、自分自身を見つめ直すようにしています。他には、外食に出かけて気分転換。自分たち以外の味なので、新鮮に感じるんです」


藍さんが味にもサービスにも惚れた店

Jour de Marche(ジュール ドゥ マルシェ)

古月 新宿

よく行くのは、曙橋のレストラン“ジュー ドゥ マルシェ”です。ソムリエの方が、こちらのタイミングをちゃんと見てくださっていて、心地よく過ごせます。何度も通っているうちに、常連になる楽しさも教えられました。仕事柄、他のお店に行こうとすると物理的に限度がありますが、そのなかでもピタッとはまるお店に出合えて嬉しい。お店とお客さんが、お互いに大切にし合う楽しさがあります。うちに通ってくださる常連さんも、そんなふうに思っていただけていたら嬉しいです。



また、新宿でホールに立つようになって、池之端での調理場時代を反省したという藍さん。そのワケは―――?


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TEXT 浅井直子
PHOTO 丸田歩


カテゴリ:
Chuka Lovers

記事公開日: 2016/12/5

※情報は掲載時のものです。内容は後日変更される可能性がありますので御了承ください。

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