辛くてまろやか、栄養たっぷり豆乳スープ

担々麺はもともと、中国・四川省成都界隈で、天秤棒に麺と醤(ジャン)をぶらさげ、担いで売られていたファーストフード。その流れを受け、四川省では「汁無し」が基本ですが、日本ではゴマ味噌味のスープ麺が定番。辛味の強さ、ゴマの濃さ、辣油の多さ、花椒の効かせ方など、店のこだわりを反映しやすいメニューということもあり、作る側にとっても、食べ歩き好きにとっても、探究し甲斐のあるメニューのひとつとなっています。

今回ご紹介するのは、そんな日式担々麺でも、スープに豆乳を加えたアレンジ系のひとつ。酢、醤油、芝麻醤(練りゴマ)、辣油、ネギ油で調味した毛湯(マオタン:四川式のガラスープ)に、毛湯と同量の豆乳を入れると、濃厚な旨みとまろやかさを持ち合わせた、なんとも豊かな味わいを持った一品に仕上がるのです。

そして、担々麺に欠かせない漬物、芽菜(ヤーツァイ)も忘れてはいません。細かく刻んだ芽菜と挽き肉を、甜麺醤(てんめんじゃん)と醤油でしっかりと炒めて乗せれば、まろやかなスープに塩気とコクがプラスオン!

さらに麺はいろんな種類がありますが、挽き肉や練りゴマ、薬味が乗ったコクと質感のあるスープには、ツルツルした舌触りのものよりも、表面がザラッとした麺の方が麺とスープの馴染みが良いようです。卵で練った全卵麺を使えば、栄養も食感も文句無し。イチから作らない場合でも、例えばインスタントの担々麺を作る時、お湯の半量に温めた豆乳を使ってみてください。きっと思いがけないおいしさが生まれるはずです。

 

 

料理:菰田 欣也(スーツァンレストラン陳
撮影:2004年5月 古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:豆花担担麺(dòu huā dàn dàn miàn / ドウ ファ ダン ダン ミィェン)

豆乳入り担々麺


Text 佐藤貴子(ことばデザイン)
photo 西田伸夫