和食では鍋の具としておなじみの白身魚、鱈(たら)。魚へんに雪と書いて鱈(たら)と読むように、旬は冬です。

東洋医学では、鱈は「養血(ようけつ)」の食材。造血作用があり、肺を滋養する食品とされています。

たらは栄養面から見ると、脂肪分が少なく高たんぱく。太りやすく、食欲の増す妊婦にとって、このような食材はまさに救世主といえるでしょう。よく「妊婦は太りすぎてはいけない」といわれますが、それは高血圧や糖尿病の発症を防ぎ、母子の健康を守るため。さらに太ると産道に脂肪がつき、難産になりやすい…! というわけで、妊婦さんにとって体重増加は切実な問題だからです。

その点、たらは低カロリーで、赤ちゃんの筋肉や血、臓器を作るために必要なたんぱく質が豊富。妊婦に欠かせないカルシウムの吸収力を高め、骨や歯を上部にしてくれるビタミンDも含まれているというう嬉しい食材です。

私は妊娠8ヶ月の頃、食欲の秋だったこともあり猛烈な食欲におそわれ、体重管理ができず、産院で増加を厳しく指摘されました。しかし、この素晴らしい食材に気づいてからは、我が家の食卓に週2回以上たらが登場することも。

特に冬は寒さで外出がおっくうになりますが、10キロ近く体重の増えた妊婦にとって、身体を動かすというハードルは通常モードと比べものになりません。ぜひここは、たらを中華スタイルでおいしく調理し、厳しい冬を乗り越えましょう。

清蒸大頭魚(たらの蒸しもの)

(清蒸(qīng zhēng)=強火で蒸す 大頭魚(dà tóu yú)=鱈(たら))

清蒸(qīng zhēng:チンヂォン)は、白身魚の代表的な調理法。鮮魚を丸ごと一匹蒸した「清蒸鮮魚」は最高のご馳走ですが、ここでは手軽に切り身を使用します。

【時 期】妊娠後期(8~10ヶ月)※おなかが重たくなってきた頃
【季 節】冷凍で通年手に入りますが、生は冬がおすすめ
【栄養的メリット】たんぱく質が豊富・低カロリー(1切 約54kcal)・ビタミンDが摂れる

 

レシピ(2名分)

たら 2切(1切あたり約75g) ねぎ 適量(千切り)
生姜 適量(千切り) 鷹の爪 輪切りまたは細切りをお好みで
調味料
小さじ1 サラダ油 小さじ2
ごま油 小さじ1 醤油 小さじ2
魚露 小さじ1/2 みりん 小さじ2
大さじ1

 

■作り方

(1)食材を洗い、ねぎ、生姜を千切りにします。

(2)皿に魚を並べ、生姜を乗せ、酒をふりかけて、蒸篭または蒸し器に入れて強火にかけます。

(3)蒸し器から蒸気が上がってきたら、ねぎと鷹の爪を加え、更に強火で10分蒸します。

(4)鍋にサラダ油とごま油を入れて熱し、湯気と香りが出てきたら、蒸し上がった(3)の魚を皿ごと取り出し、魚の上にジャッとかけます。

(5)鍋に醤油、魚露(ナンプラー)、みりん、水を入れて熱してたれを作り、温まったら(4)にかけてできあがりです。

調理ワンポイント

※コンロが2口以上あるご家庭は、(2)と(5)の作業を同時に行うと、たらを冷ますことなく、スピーディーに調理できます。

※薬味は少し多いかな?と思うくらい乗せて蒸すと、魚に香りがつき、よりおいしさが感じられるのでおすすめです。ただし、薬味は刺激物でもありますのでご自身の体調に合わせて調節してください。

 


▼参考文献
『安胎健儿怀孕食谱』林秋香 著 2010年9月 南海出版公司
▼参考資料
餐饮百科
※中国の飲食情報サイト。レストラン情報、料理に関するニュース、レシピなどが掲載されています。

Text / Recipe / Photo 山田早苗