日本では風邪をひいた時や、胃腸の調子が悪い時にいただくことが多いお粥は、中国料理では朝ごはんをはじめ、普段の食事でもいただく機会が多い料理のひとつ。

中でも広東粥は、スタンダードな白粥の他に、皮蛋痩肉粥(ピータンと豚肉のお粥)や艇仔粥(魚、海老、肉などが入った具だくさん粥)などバリエーションも豊富。新鮮な材料を使って丁寧に仕上げたお粥は滋味深く、立派なバランス栄養食となっています。

日本のお粥と大きく違う点は、お米を油に浸しておくことと、強火で煮ること。ここでは、①お米を洗って水をよく切る→②5時間ほど油に浸す→③塩味をつけた水を沸騰させ、油ごと加え強火で加熱する、という過程で作っていますが、そうすることで、お米の粒が油でコーティングされ、煮る時の加熱温度が高まるだけでなく、米粒を爆発させ、広東粥独特の濃厚なとろみをつけることができるのです。

また、具となる干し貝柱は、炊きながら旨味を抽出するため、水で戻さず、細かくしてお米と一緒に煮炊くのがポイント。こうして強火で煮込むこと約1時間、油でコーティングされたお米が一粒ずつ爆発してトロトロになったらいい塩梅。カニ肉は最後に入れてその風味を生かすと、干し貝柱の旨みとカニの香りに満ちたお粥に仕上がります。

日本の食卓では脇役に徹しているお粥ですが、これならメイン料理にも劣らない一品になること間違いなし。シンプルな料理こそ贅沢な材料で。カニ肉と干し貝柱の香り豊かな至福の一杯は、明日への活力となってくれることでしょう。

カニ肉と干貝の中華粥

料理:山崎正(ホテルオークラ桃花林 日本橋賓館
撮影:2014年3月 古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:蚧肉干貝泡飯(gaai3 juk6 gon1 bui3 paau3 faan6 / ハイ ヨク コン プイ ポウ ファン:広東語)