ここのところの暑さは熱帯級。身体が重くなる妊婦さんは、近所に買い物に行って帰ってくるだけでグッタリしてしまっていませんか?戻ってごはんを作るとなると、さらにもうひと踏ん張り、体調とは裏腹に頑張らなければ…と思っていませんか?

今回ご紹介する「扇贝炒芦笋」こと、ほたて貝とアスパラガスの炒めものは、そんなバテやすい季節と体調にうれしい一品です。調理時間は約7分。手早く仕上がるのはもちろん、彩りがよく、冷めても形が崩れにくいのでおかずにぴったり。何より妊娠初期から中期の妊婦さんにとって、積極的に摂りたい栄養分が摂れる一皿なのです。

その成分はこちら。
アスパラガス:葉酸(妊娠中は胎児の発育、出産後は母乳に影響を与える)
アスパラギン酸(疲労回復)
ほたて貝  :たんぱく質

まずひとつが、このレシピコラムでも何度かご紹介しており、妊娠すれば必ず耳にする栄養素・葉酸。葉酸は胎内で赤ちゃんの発育に大きな影響を与える成分で、アスパラガスにも豊富に含まれます。

アスパラガス

では、どのくらい含まれているのかというと、葉酸を含む代表的な食材・ほうれん草が100gあたり210μgのところ、アスパラガスは190μg。厚生労働省「第六次改訂日本人の栄養所要量」によると、推奨する1日あたりの葉酸摂取量は

15歳以上の成人男女…200μg(マイクログラム ※1μg=0.001g)
妊婦…400μg
授乳婦…280μg

ですので、中くらいの太さのアスパラガス一束(約100g)なら、1回の食事で摂りたい葉酸の約半分が摂取できるというわけ。さらにアスパラガスには、体内でエネルギー代謝を活発にし、疲労回復を早める独自の成分・アスパラギン酸も。葉酸に加え、バテにくい身体を作れるのですから、なんとも頼れる存在です。

ホタテ

また、ほたて貝は低脂肪で高たんぱくの食材。たんぱく質は赤ちゃんの骨や身体を作るのに欠かせない成分で、葉酸同様、妊娠中は積極的に摂りたい成分のひとつ。旨み成分であるアミノ酸も豊富に含まれるため、塩分を控えたい妊婦さんにとっては助かりますよね。

さらにアスパラガスに含まれるアスパラギン酸は、たんぱく質の合成を助けて、皮膚の新陳代謝を活発にしてくれる効果も。定番食材の組み合わせですが、おいしさだけでなく栄養面でも理に叶う、そんなメニューがこちらです。

お昼寝

 

扇贝炒芦笋(ホタテとアスパラの炒めもの)

(扇贝[shàn bèi]=ホタテ貝 炒[chǎo]=炒める 芦笋[lú sǔn]=アスパラガス)

炒(炒める)の技法で作る一品です。食材からうま味が出るので、調味料は塩をほんの少々、香りづけにごま油を使う程度。お好みで、仕上げに中国黒酢をたらしてもいいでしょう。ホタテの白とアスパラガスの緑、パプリカの黄色と、鮮やかな色彩も食欲をそそります。

【時期】妊娠初期~中期
【季節】春~夏
【注目栄養素】葉酸、アスパラギン酸、たんぱく質

 

レシピ(2名分)

材料

ほたて貝(刺身用)  小5~6個
アスパラガス  1束(約100g)
パプリカ  1/2個
長ネギ(白い部分)  1/3本
しいたけ  4枚
鷹の爪(輪切り)  好みで適量
[調味料]
ごま油  大さじ1
 少々

 

■作り方

(1)アスパラガスは根元から約1/2ほどを皮むき器で皮をむき、一口大に切ります。

(2)パプリカは食べやすい大きさに切りネギはみじん切りにします。

トマトパプリカは一口大に マッシュルームネギはみじん切りに

(3)しいたけをスライスし、さっとゆでておきます。

(4)フライパンを熱してごま油を入れ、ネギを炒めます。

(5)ネギの香りが出てきたら、パプリカ、ほたて貝、アスパラガスを加え、最後にしいたけと鷹の爪を加えて炒めます。

パプリカを入れ… ほたて貝を入れ…
アスパラを入れ… しいたけを加えます。

(6)食材に火が通ったら塩で味を調えます。

(7)お皿に盛り付けて完成です。

 

自分で食べたくなってきたお年頃の子どもにも…!

この連載を始めて10か月。我が家の息子は1歳半になりました。少し前までは噛み切るのにひと苦労していた肉類も、上下全ての歯が生えた今では大好物のひとつ。最近はフォークやスプーン、手を使い、自分で食べたいという気持ちが強くなっているよう。
そんな時、この「扇贝炒芦笋」はとても助かります。アスパラガスの穂の部分を少し短く切ってあげれば手づかみで食べられますし、テーブルや床に落としても形が崩れないのでお掃除もラク。ほたて貝も、握ったりフォークでつついたりしても散らからないので、食べたい本人にとっても、後片付けをする親にとっても食事を楽しめます。
写真のごはんは、きゅうりとトマトに胡麻油と塩をかけ、叉焼を細かく切ったもの。チャーシュー作りに使ったのは李錦記の叉焼醤。古樹軒でも購入でき、叉焼を簡単においしく作れるのでおすすめです。

 


参考文献
『懷孕養身特効食譜』林禹宏・康鑑文化編輯部 2013年
『からだにやさしい旬の食材 野菜の本』講談社編 2013年
『五訂カラーチャート 食品成分表』山田雅俊 2001年 教育図書株式会社

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Text / Recipe / Photo 山田早苗