1年間のこの連載も今月で最終回。そこで今回は、いつでも手に入る食材で簡単に作れる、ヘビロテ必至のママベビ中華をご紹介しましょう。

使う食材は玄米と鯛。玄米は白米に比べ、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれている穀類ですが、妊婦さんにとっては糖類をエネルギーに変える働きや、ストレスを緩和する働きのあるビタミンB1や、免疫力を高め、鉄分の吸収をよくするビタミンCが役に立ちます。また、ミネラルは赤ちゃんの骨や大脳を作る働きをサポートし、食物繊維は便秘予防に効果が。そして鯛は赤ちゃんの筋肉や血、臓器を作るたんぱく質が含まれる食材。淡白ながら上品な旨みが出るのもうれしいですね。

玄米玄米 鯛

さて、これで何を作るかというと「玄米と鯛のお粥」です。実はこのメニュー、産後の母体に食欲増進、疲労回復、美容の効果があるものとして、中国の料理本やネットなどでも紹介されている定番の料理。しかし食材の栄養成分を見てみると、上記のように妊娠中にも摂りたい栄養がたっぷり。出産まであとちょっとの方も、妊婦生活が始まったばかりの方も、ぜひトライしていただきたい一品です。

特に食べていただきたいのが、ちょっとお疲れ気味の妊婦さん。私はもうすぐ第2子が妊娠8ヶ月になりますが、この頃は胃が圧迫されて、1回に食べる量が少なくなるなど、日に日に身体のコンディションが変わり、疲れやすくなっているのを実感しています。そうなると、何事にも手間はかけたくないもので、日々のごはんも極力簡単で身体に優しい、こんなメニューが本当にありがたいんです…!

さらにこのメニューは、葉酸が豊富なほうれん草や、ちんげん菜など、青菜を加えたアレンジがしやすいのがいいところ。好みの青菜を加えれば、さらに栄養豊富なお粥に仕上がります。日ごろ料理をしない旦那様でも、本当に簡単なメニューなので、奥様に作って差し上げてもいいでしょう。きっと感激されますよ。

乗り物

 

鱼片糙米粥(タイと玄米のお粥)

(鱼片[yú piàn]=魚の切り身 糙米[cāo mǐ]=玄米 粥[zhōu]=粥)

【時期】妊娠初期~産後
【季節】通年
【注目栄養素】ビタミンB1、ビタミンC、ミネラル、食物繊維、たんぱく質

中国や台湾で販売されている妊婦さん向けのレシピ本では、穀類を主食とするものは玄米を使っているレシピが多く、日本人に比べて妊婦さんが玄米を摂取することになじみがあるようです。
鱼片とは魚の切り身、スライスを意味しますが、魚の種類は特定していません。つまりどの魚を使っても通用するお料理名です。今回は鯛を使っているので、お料理名を「鲷鱼糙米粥」と表記することもできます。

レシピ(2名分)

玄米  3/4カップ
鯛(刺身用)  100g
香菜  適量
鶏ガラスープ(中華スープ)  6カップ
[調味料]
 小さじ1/4

 

■作り方

(1)玄米を1時間ほど水に浸けておきます。鯛は一口大に切ります。

(2)鍋に鶏ガラスープと(1)と玄米を入れ、強火で煮ます。

ひと沸きしたら…

弱火にして…

玄米が軟らかくなるまで煮ます。(約25分間)

(3)塩を加えてひと混ぜし、鯛の身が崩れないようにそっと加え、鯛が白っぽくなって火が通るまで軽く煮ます。

(4)器に(3)を盛り付け、香菜を添えてできあがりです。

 

こども食アレンジのワンポイント

一歳半の息子は食べるのが大好き。大人が玄米のお粥を食べていると、そのお碗に興味津々で、同じものを食べたがります。

食べたい気持ちを尊重してあげたい気もしますが、「玄米は消化が悪い」という話も。与えるべきかどうか、きっと悩むママさんも多いのではないでしょうか。こんな時、わが家の場合は、汁物の代わりとして少しだけ食べさせています。

この日は実家の母からかわいい海苔巻きをもらったので、その付け合わせとしてこんな風に食卓に。個々の体質もあるので、お子さんのおなかの様子を見ながら…ということにはなりますが、毎回「ちょっとだけ」の方法で乗り切っています。

 


参考文献
『坐月子調理保健食譜』 陳世峰・李婉萍 著 2013年 人類智庫數位科技股份有限会社

Text / Recipe / Photo(料理・調理プロセス・子供)山田早苗