一日三度の食事の中でも、圧倒的に外食率が高まるランチ。その一食に中華料理への愛を託し、お昼に食べた中華を語るという、80C(ハオチー)のFacebookランチレポートが「ひる中華」です。
そこで頂戴した「いいね!」とコメント、シェア、リーチ数をポイントに換算にして、12月17日~1月15日に掲載したひる中華ベスト8を算出したのが当コーナー。さて、いつも応援してくださっている中華のプロや食いしん坊の皆様が「いいね!」と思ったランチとは…?

 

 

 

8位

中華料理・東北特色・延辺風味 聚楽飯店の
「日替りランチ(揚げ豆腐の四川風炒め)」500円 161ポイ   ント

まず、8位にランクインしたのは、新小岩・中華三国志(詳しくは後述)の一角を成す「聚楽(じゅらく)飯店」です。

聚楽飯店

最初に店名の解説をさせていただくと、「東北特色・延辺風味」というのは、中国の東北側外縁、ロシアと北朝鮮に接する地域の中でも、「吉林省(きつりんしょう)延辺(えんぺん)朝鮮族自治州の味わい」、ということですね。もう、食べる前から異国情緒感たっぷりです。

そしてその期待を裏切らず、卓の上に運ばれるなり香辛料のいい香りに陶酔してしまったのがこの一皿。ただ辛いだけでなく、クミン等も入っていて旨辛い、エキゾチックな味わいでした。格安のサービスランチかと思って高をくくっていましたが、そこはさすが、新小岩・中華三国志の一角にある店。隣はラーメン屋、向かいは広東料理店と、三店で鎬を削っているだけあるなと納得です(一部妄想)。

ちなみにグランドメニューには狗肉料理などもありますので、ディープな料理がお好きな方はランチのみならずディナーもぜひ。


新小岩三国志
通りを挟んで2軒と1軒の中華料理店が対峙している様子は、まるで劉備・孫権連合軍と曹操軍が激突した赤壁の戦いのよう。(妄想)


(2012年12月25日掲載)


 

7位

飲茶居酒屋 香港坊の「日替り定食(黒酢スブタ)」680円
171ポイント

続く7位も新小岩・中華三国志で覇権を争う一店がランクイン!

香港坊

 

この日の日替り定食は黒酢スブタ。豚肉は小ぶりながら11切れと盛りだくさんで、キクラゲやニンニクの芽を具に加えたオリジナリティのあるアレンジです。

そして同店の日替わり定食のメリットは、メインとは別にもう一品、セルフサービスで食べる一品料理が食べられること。この日は白身魚のチリソースで、スープは酸味の効いたトマト味。四川風の漬物・泡菜(パオツァイ)の盛りもよく、ドリンクコーナーからはコーヒーや茶葉で淹れる中国茶も選べるという、抜群のコストパフォーマンスでした。

実におトクなお店だった、という印象ですが、やっぱりこれも向かい&その隣に陣取るライバルと切磋琢磨しているおかげでしょうか。この日はなんと向かいの敵方・聚楽飯店の日替りも同じく黒酢スブタ680円!まさにがっぷり四つのガチンコ勝負!

今回の2軒の中国料理店のにらみ合いは、蜀の諸葛孔明と魏の司馬懿が対陣した五丈原の戦いのよう。(妄想)

(2012年12月26日掲載)


 

6位

ロウホウトイの「黄ニラとモヤシの焼きそば」800円
187ポイント

6位は、恵比寿と白金の間にある香港こと、ロウホウトイがランクインしています。

ロウホウトイ

こちらは東京にいながらにして、胃袋だけ香港旅行が味わえる店。バラエティ豊かな点心や、釜で焼いた鶏、皮付き豚バラ肉などの焼きものが充実しており、香港好きにはかなりおすすめです。

実は今回、2年ぶりに訪れたのですが、香港テイストのメニューと味は変わらずそのまま。黄ニラとモヤシの焼きそばも、サクサクとした細めの香港麺にネギ油を絡めたシンプル・イズ・ベストなおいしさでした。なお、プラス400円で点心セットにすると、海老餃子、ほうれん草の餃子(写真右:2人前)、杏仁豆腐がつくので、ぐっとご馳走感が高まります。

本当は、なかなか都内ではリーズナブルに食べられない焼きもの乗っけ丼「チャーシューと鶏のせご飯」1000円を狙っていたのですが、なんと13時前には売り切れ!次の胃袋香港旅行で狙います。

(2012年12月18日掲載)


 

5位

四川料理 刀削麺 川府(せんふ)の「刀削麺(杏仁豆腐付き)」
680円 192ポイント

5位にランクインしたのは、常に安定した人気を誇る刀削麺(とうしょうめん)です。

川府"

 

刀削麺はもともと山西省の料理ですが、こちらは四川料理店とあって麻辣味のスープ。辣より麻がほどよく効いた爽やかな辛さで、緑の野菜もたっぷり乗った、栄養バランスのいい一品でした。ランチはかなりお得で、お粥、冷菜、サラダ、フルーツ、ドリンクがセルフサービスで食べ放題!お粥の甘みと豆腐の冷菜で、口の中をさっぱりとリセットさせながら、あっという間に完食です。

立地は本の街・神保町。学生時代にこの店があったら、かなりの頻度で通っていたであろう、安くて、うまくて、満腹になれる店ですね。

(2013年1月11日掲載)


 

4位

老辺餃子館 新宿新南口店の「ホリデーランチ関羽セット」1080円  209ポイント

4位はまたもや三国志つながり!中国で180年続く餃子店がランクイン!

老辺餃子館

 

こちらは新小岩・中華三国志とは関係ありませんが、休日のランチに三国志の武将の名を冠したセットを売り出しているお店。「関羽」は豚肉・鶏肉・卵料理、「劉備」は牛肉・エビ料理、「張飛」は麺料理を1品チョイスできるというネーミングが冴えています。

この日の「関羽」は、糖醋肉塊(酢豚)、おひつ入りのごはん、蒸し餃子2個、スープ、杏仁豆腐という安定感のある内容。中でもおいしかったのは餃子ですね。皮は厚くモチモチで、一個の餡は小籠包の餡のようにジューシー、もう一個の餡は香辛料の複雑な味わいが口の中に広がります。厨房のそばを通り抜けると、そこは中国かと思うような芳香が漂っていました。

※「中国で180年」というくだりは、同店のホームページに記述があったものです。

(2013年1月7日掲載)


 

3位

中国安徽料理 徽苑(きえん)の「蒸し鶏のネギ油かけ定食」600円  217ポイント

3位は中国八大料理の一つながら、日本ではかなりニッチな安徽料理を食べさせてくれる「徽苑(きえん)」がランクイン!

徽苑

 

wikipediaによると、安徽(あんき)料理の特徴は「医食同源の薬膳に通じる、体に良い物を食べようとする気風」とのこと。海に面していないため、山野草、茶、タケノコ、きのこ、野生動物(ハクビシンなど)や、川魚、スッポンなどの淡水産の食材を使った料理が多いようです。

ランチメニューで、安徽の特徴的な料理は見当たりませんでしたが、言われてみればこの料理も、小山のようにたっぷりのレタスの上に鶏肉を乗せ、さらにネギも多め。しかもこのタレがレタスとよく合っていて、モリモリ食べられるという…。毎日ひる中華を食べに行っていて、野菜不足を感じている身としては嬉しいバランスでした。

そして同店の難点でもあり魅力でもあるのが、あまり日本語が通じないところ。昼はともかく、夜に訪れるときは、中国人の友人・知人を誘うのがベスト。料理の解説や、メニューにない料理も楽しめるかもしれません。場所はJR新小岩駅前のメイン商店街から裏に入ったエリア。今、何かと新小岩中華が熱いです。

※右の写真は夜メニューの「牛肉と春雨の一品鍋」。「一品鍋」とは、安徽省の山岳部で冬季に食べられる火鍋の一種。トロトロに煮込まれた牛すじ肉の煮込みに自家製のパンがついた、大陸感たっぷりの料理です。

(2012年12月19日掲載)


 

2位

盛(秋田市)の「レバニラ定食」1000円
277ポイント

2位は東京を脱して初登場の秋田。秋田市民のソウルフードといえば盛(さかり)のレバニラです!

盛

 

なぜこの店に行ったのかといえば、地元のクチコミ。秋田出張の際、いい中華はないか尋ねてみると、全員名を挙げたのがこの店の「ニラレバ」だったんです。訪れてみると、閉店30分前でも驚きの大繁盛っぷり。眼前の厨房でたった1人で鍋を振るその人こそ、この店の主(あるじ)・盛さん66歳でした。

聞けば18歳からこの道に入り、赤坂山王飯店、雅叙園で10年間修業し、ふるさと秋田で念願の店を開業したそう。注文後。間もなく出てきたニラレバは、地元の新鮮な秋田姫豚を使ったもので、噂通りジューシーで臭みゼロ。1束はあるんじゃないかというニラを厚切りレバーにたっぷり絡めながら口に運んでいるうちに、時間と我を忘れました。

また、ニラレバと双璧を成す人気料理・麻婆豆腐も秋田の有機豆腐と葉にんにくを使っているとのこと。中華のおいしさで圧倒的なウェイトを占めているのが「熱さ」と「鮮度」だと思うのですが、地場の鮮度のいい食材で、できたての熱々をすぐさま食べられるというのは、食いしん坊にとって最高の場所であることに間違いありません。

なお、盛では11月~2月限定で老麺(中国古来の技法で発酵させた自然酵母で作った生地)を使った中華まんも作っています。その老麺に惹かれて、お土産に注文して帰ったのがこちら(写真右)。到着して包みを開けたらなんと、手書きのメッセージがついているじゃありませんか。叩いた挽き肉で作った餡入りの包子を、盛さんの顔を思い出しながらほおばりました。

 

(2012年12月20日掲載)


 

1位

赤坂飯店の「宮保(クンポー)担々麺」1000円
302ポイント

そして今月の1位は、鮮やかな朱色が眼にまぶしい、赤坂老舗の激辛担々麺でした!

赤坂飯店

 

「常連の皆様のリクエストにお応えしてメニュー入り」したというこちらのメニューは、担々麺の肉味噌を、刻み唐辛子で炒めた挽き肉に替えた“辛さ増し増し”バージョン。気持ちよくズズーッと啜ったら、見た目以上の辛さに喉を一撃され、正月ボケが覚めました。

写真では見えませんが、麺は太くて縮れがなく、まるでパスタのリングイネ。辛い上、スープもたっぷりと入って食べごたえがあるので、食べ終える頃には冷え性の私でも鼻の頭にうっすら汗をかくほど。赤坂見附付近で冷え切っている人は、ぜひ赤坂飯店でこのメニューを頼んでみてください。身体にカツが入ります!

(2013年1月8日掲載)


 

さて、今回のひる中華ランキングはいかがでしたでしょうか。延辺風味、安徽料理と、今までにない傾向の料理が登場し、妄想三国志に彩られたランキングだったのではと思います。

また、半年続ける中で、ふとした疑問も。それは、調理法の呼び方です。1位の赤坂飯店の宮保担々麺…、こちらは「クンポー」とルビが振られていますが、中国語のピンインを読むと「ゴンバオ(gōng bǎo)」となります。
実はこの例だけでなく、日本の厨房での呼称と、中国語本来の読み方が乖離(かいり)しているものは多々あるのですが、 これは中国人が日本人に料理を教えてきた長年の歴史の中で、日本人が理解しやすいような「音」に変化していった結果なのでしょうか。今後の研究テーマのひとつとなりそうです。

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「ひる中華」は、80Cスタッフがランチに食べた中華料理を、Facebookで連日レポートしています。おひる前のお腹が空きそうな時間に更新していますので、中華画像を見ながら、食べたい中華・好みの中華を見つけていただけたら幸いです。みなさまも、どうかお近くにある気になる中華料理店のランチがあったら、ぜひ編集部までお寄せくださいね。


ポイントの算出方法

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Text 佐藤貴子(ことばデザイン)
Photo 佐藤貴子(ことばデザイン)、小杉勉


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