円卓

表記   :円卓
日本語読み:えんたく
中国語表記:圓桌
北京語読み:ユェン ヂュオ
発音記号 :yuán zhuō

 

円卓とはその表記の通り、円形をしたテーブルだが、中国料理店においては、円形のテーブルの上に、さらに二回り~三回りほど小さい回転台が設置されているテーブルのことをいう。
回転台に料理や飲みもの、取り皿などを乗せ、各人の目の前に運ぶことができるため、客自身で取り分けるとき大変便利である。中国料理は大皿料理を皆で取り分けて食べることも楽しみのひとつとされることや、人数の増減にも対応しやすいことから広まったものと思われる。

円卓の歴史

日本の 目黒雅叙園(東京・目黒区)が考案し、中国に逆輸入されて世界中に広まった。古来より中国では方卓(四角いテーブル)が使われてきており、円卓の歴史は浅い。また、テーブルクロスの使用は西洋の影響である。なお、世界で初めて誕生した円卓は、目黒雅叙園内にある中国料理店「旬遊紀」内の個室「玉城(ぎょくじょう)」に設置されており、今も使うことができる。

円卓での席次

宴会の席次

「天子南面す」、すなわち「皇帝は北側にいて南を向く」という中国古来のしきたりに倣う。

席次は主客(もてなされる側)が部屋の奥の北側(①)に座り、以後順に主客の左(②) ⇒主客の右(③) ⇒②の左(④) ⇒③の右(⑤)と、左右交互に来て、最後に主人(もてなす側)が主客の対面の入り口側(⑧)となる。左が先になるのは「左をもって尊しとする」考えによる。

もともと円卓は8人で囲む「八仙桌子(バーシィェンヂュオズ)」を基本としているが、現在、テーブルの大きさはさまざまである。また、眺望のいい部屋では、外が見える席を主客の席とし、方角においては建物の立地にもよるため、前述のルールの通りとならないこともある。

円卓でのマナー

料理は主客が最初に取り分ける。また、回転台は時計回りに回し、全員が取り分け終えてから箸をつけることが基本である。
マナーはフォーマルな席の時には注意したいが、仲間うちの会食であれば、人が取り分けているときには回転台を回さない、回す時には食器がぶつからないようにするなど、最低限のことを注意していれば、多少の逆回りに目くじらを立てることもない。


【関連項目】

『中国料理専科 圓卓』
『中国料理専科 圓卓』

『中国料理専科 圓卓 ENTAKU』

社団法人日本中国料理協会(通称:日中協)の機関紙で、日本の中国料理業界では有名である。
内容は、料理コンクール情報をはじめ、協会や支部の活動紹介や、中国料理への造詣が深まるものが多い。連載として「基本に還る 繁盛店に見る されど麺 飯 餃子」「独立のすゝめ」などがある。1988年1月より隔月刊で発行し、正会員、賛助会員、圓卓購読会員(年間6000円)に配布している。
>>http://www.jaccc.or.jp/entaku.htm


【脚注・出典】

『中国食文化事典』中山時子 監修(角川書店 1988年)
目黒雅叙園 シリーズコラム「見えないものに価値がある」~円卓の愉しみ~


Research: Xiao Shan-Mian & Chuka Lovers(シャオ・シャンミェンと中華ラバーズ)