楽しく有意義な会食にするための4つの心得
30年以上ホテルで食の現場に携わり、数え切れないほどの会食のサービスを担当してきた相さん。そんなプロ中のプロである相さんに、その場の誰もが笑顔になれる、和やかな会食にするための心得を教えていただきました。
①店と目的を共有するための打ち合わせをしよう
「会食を成功させる一番の秘訣は、予約をされたうえで、前日、もしくは当日に幹事さんとサービスマンが打ち合わせをしておくことです。予約や事前の打ち合わせでは、その会の趣旨を伝えておくと、店側もお手伝いしやすくなります。
たとえば「食事のあとにプロポーズをしたい」とご相談いただいたお客様には、乾杯のドリンクでシャンパンをお出ししたり、エビのチリソースをお祝いの紅白二色のソースでお持ちするなど、いい雰囲気になるようなサポートをいたします。
誕生日のお祝いでいらしたご家族には、デザートに桃まんじゅうをお出しすることもありますね。アレルギーをお持ちのお客様がいる場合も、事前にお伝えいただくと食材、調理法など対応いたします」
②アラカルトの場合、事前に前菜を決めておくと、スタートがスムーズ
「会食の場合は、事前にコース料理をご予約される方が多いですが、たとえば当日、お相手の好みをうかがってから料理をアラカルトで決めたい場合もありますよね。その際は、事前に前菜までお決めいただくようアドバイスしています。
乾杯してすぐに料理が運ばれてくれば皆安心しますし、前菜をつまみつつ、後の料理を決めることができればスムーズな上、和やかな雰囲気になります。逆にドリンクだけしかテーブルに出ていないという状態は、できるだけ短くしたいですね。
最初のお飲み物と前菜をあらかじめ決めておけば、サービス側もお客様のお話を中断せずに済むので、可能であれば乾杯のドリンクだけでも、先に決めておいていただくこともおすすめします」
③スマートな会計はデザートが出るタイミングで外に!
「会計はデザートが出るタイミングで、幹事さんが何気なく部屋を出て済ませるのがスマートだと思います。店の外までゲストを見送ってから会計したい場合は、戻ってきてから会計をする旨、あらかじめサービスマンに伝えておくのがいいでしょう。その暇もないなら、部屋の中に自分の荷物を残しておくという手もあります。“あとで戻ってきます”という意思表示になりますよ」
④料理選びに迷ったらともかくサービスマンに聞こう
「料理選びに迷ったら、サービスマンと会話をしながら料理を選ぶことをおすすめします。食材選びから味つけ、調理法まで、サービスマンとお客様が相談しながら決めていけることが、中国料理の楽しみであり強みだと思うからです。私の経験上、他のジャンルではなかなかそういうことはできませんから。
たとえば、お客様が好きなものばかり頼んでみると、つい甘酢味の料理が重なってしまうというのもよくある話なんです。お客様のリクエストをうかがった上で、最後まで飽きずに楽しめるよう、味付けのアレンジはサービスマンがさりげなく助言いたしますよ」
【まとめ】サービスマンを味方に、楽しく有意義な宴会を!
「もしもレストランにグランドメニューが200種類あるなら、裏メニューは300種類ある…といったように、中華料理の一品一品のアレンジの幅は本当に広いんです」と相さん。基本のマナーを忘れずに、プロのサービスも上手に頼って、とっておきの会食を成功させたいですね。
相さんがサービスを担当するレストラン
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text 大野俊介
photo グランドニッコー東京 台場(店内・料理)、佐藤貴子(相武史さん・テーブル周り)
取材協力:グランドニッコー東京 台場