月餅だけじゃない!老舗の洗練された味「翠香園」の蜜汁叉焼

翠香園といえば、先月の月餅特集で金華ハム入り月餅「金銀肉月」が圧倒的な人気を集めたことで、記憶にある方もいらっしゃるでしょう。

ここは筆者にとっては懐かしい店。80年代、家族で中華街というと、野毛の山の中腹に住む伯母のおすすめに従い、毎回「海南飯店」でご飯を食べた後「翠香園」で月餅を買うのが決まりでした。

高級和菓子屋のような風情を感じるショーウィンドウ。

それが、かつては中華菓子店と思っていた店で、こんな叉焼が売っているとは。見るからにおいしそうなオーラを漂わせているではありませんか。

叉焼は100g580円の量り売り。

一切れ切って口に運ぶと、実にうまみの乗った肉。そのうまみに負けない水飴の甘みが一体となって舌の上に広がります。

この叉焼は、蜜汁叉焼と呼ばれる甘み強めの香港スタイル。肩ロースでもやや脂の多めの部位を使った〈肥叉焼〉と呼ばれるもので、切ってそのまま食べるのに適しています。また、香港の街角でも見られる、肉などの窯焼きを数種類のせた焼味飯(シウメイファン)にもぴったりですね。

一切れ食べたら試食が止まらなくなり、冷蔵庫へしまい込みました。

聞けば、現在の料理部門チーフは、広東料理好きなら誰もが知る都内高級ホテル出身とのこと。品のあるうまみなのも納得、試食が止まらず、まず叉焼を1本買うならここは必ず押さえたいと思う味わいでした。

「翠香園」は、チャーシュー以外にも、以前ご紹介した肉まん、焼売、中華菓子が充実。すべて伝統的な製法でつくられおり、どの商品も保存料不使用ですので、3日以内に食べきれる分だけ買いましょう。ちなみに菓子部だけでなく、料理部門も素晴らしいので、別記事で改めて紹介したいと考えています。

昭和の中頃を感じる包み紙も味わい深い。

入口から広東焼味パラダイス!「重慶飯店 本館売店」

都内で現地系四川料理店が増えるだいぶ前から、本物の四川料理を出している…、筆者の中ではそんなイメージがあった「重慶飯店」。本店を数年前にリニューアルされ、売店が拡充されてから、広東式の焼味(シウメイ:窯焼き料理)が目立つお店になりました。

焼味がぶら下がる、1階売店奥の厨房。

以前、こちらの焼味(窯焼きの肉や鶏)や、滷味(豚耳・牛ハチノス・豚足など、主に内臓を滷水で煮たもの)を試しに買ってみたら、香港や東南アジアのローカルな広東料理店で食べる味とほぼ同じ。

しかも店番のお姐さんと厨房の焼物師は広東語でやりとりしています。香港ロスの激しい筆者としては片道一時間のぷち香港気分スポットとなり、横浜中華街に行くと毎回ここにひっかかってしまうようになりました。

広東語の掛け合いが聞けるのは、横浜中華街でもここと南粤美食くらいだろうか?

こちらの焼味と滷味の魅力は、味の安定感とバリエーションの多さ。目移りするような焼き物パラダイスですが、家族の人数を考えると買える品物は限られる…そんな方は、3種類ずつ順番に買って、すべて制覇するという方法(笑)。ここではバリエーション豊かな焼味や滷味を試して、自分の好みを見つけていただけたらなによりです。

詰め合わせも単品注文も可能。お姐さんから聞かれるのは「切る?切らない?」。筆者は切らずに持ち帰り、自分で切る派です。

気になる叉焼は「翠香園」と同じ〈肥叉焼〉で脂は多め。筆者宅で人気があるのは、叉焼、焼肉(クリスピーポーク)、豚耳の煮込みの3種類です。香港や広州、シンガポールなどで食べたことがある方であれば、食べ慣れた味そのものだと思いますし、逆に「重慶飯店」の味を知って香港に行けば「ああ、あれは本物だったんだ」と納得できるでしょう。

続いては、横浜中華街で焼き物といえば名前の上がる「金陵」をご紹介しましょう。実はこちら、ランチのカレーも人気なのです。

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