2022年の記事と中華シーンを振り返る。

ガチ中華とは何か? これから増えそうな店は?

2022年の新語・流行語大賞にエントリーされた「ガチ中華」。メディアでは「本場そのままの料理」と紹介されていることが多いですが、実際は現代中国の空気が感じられる、料理も含めた「場」そのものといえます。

「食彩雲南 西池袋店」の新メニュー「蒸気海鮮」は、Twitterで注目を集めました。

また、四川魚料理の「蜀魚記」や、蒸気火鍋で注目を集めた「食彩雲南」など、池袋や上野界隈の中国料理店の中には、日本人にとって旅気分、エンタメ性のある店が少なくありません。新たな体験ができるだけでなく、価格も値ごろ。6人くらいで思いっきり飲んで食べて、1人あたり5,000~6,000円に落ち着くことが多いので、ハードルが高くないのも人気で注目を集める理由でしょう。

また、愛吃(アイチー)さんが紹介してくれた西安名物の涼皮専門店「張小記」や、ロバ肉バーガーの「御猫榴(ロイヤルキャットドリアン)」など、小吃専門店も増加中。ひとつの店であれこれ網羅するのではなく、専門店化、細分化が進んでいます。

肉でんぶをまぶした洋風中華菓子、肉松小貝(ロウソンシャオベイ)をはじめ、現代中華スイーツの店も増えています。今はそれほど多くありませんが、華人や華僑が経営する超高級店も出てくるはずです。

ミシュラン中華と中華料理用語辞典

「いいね!」の数は目立ちませんが、実は見ている人が多いのが「『ミシュランガイド東京2023』中華料理店 星付き&ビブグルマン掲載店リスト」です。ランキングはなんと12位。

ここに載る星付きレストランの多くは、日本の感性を感じる日本人シェフの店です。皆、中国料理の基本をしっかりと習得し、自身のフィルターを経て洗練された料理を提供しており、守破離の離を感じる店が多いです。

2022年にオープンし、ミシュラン1つ星となった「一平飯店」の料理。

ビブグルマンも実力のある日本人シェフが名を連ねます。実際に彼らの店に取材にいくと、探求心、知識に裏打ちされた料理、無駄のない動作、掃除の行き届いた厨房など、表側からは見えない部分を多く知ることができます。

「ガチ中華」には前出のとおり「本場」という枕詞がつきがちですが、「本場」から連想される伝統的な中国料理は、日本に住む職人気質の料理人を筆頭とした人々に受け継がれ、愚直に守られている一面もあるのではないでしょうか。

そしてもうひとつ、ひっそりとPVが伸びているのが『中華メニューの解読法』です。こちらは旧作を含むすべての記事で11位。時々誰かに発見され、シェアされ続けて早8年。メニューが読めると世界が広がりますし、この記事が閲覧が増えているということは、中国料理に関心を向ける人も増えているということかと思います。

台湾が好き、そして台湾料理が好き!台湾人気を実感する

80Cの記事に目を向けると、2022年3月から、80C(ハオチー)では、はっしーさんによる台湾料理の記事をスタートしました。以来、豆花(トウファ)、魯肉飯(るーろーはん)、蛋餅(ダンビン)、胡椒餅、パイナップルケーキなどの人気記事が続々誕生しています。

料理を紹介するだけでなく、①歴史と文化、②このジャンルならここへ!というレストラン指南、③レシピ、という3ページの構成も多く、“これを読めば〇〇がわかる”という記事も充実。台湾がすき、そして料理が好き。そんな台湾人気を改めて感じることができました。

胡椒餅。

レシピの読者は全国区!知られざる中華を伝えたい

2021年よりさらに見られるようになったのがレシピ記事です。2022年は香港名物の煲仔飯(ボウジャイファン)、豚の角煮こと東坡肉&紅焼肉、中国の無限キャベツ・油渣蓮白と、10件中3件もランクイン。古樹軒のたれを使った「あの香港で食べた蒸し魚『清蒸魚』をレンジを使って5分で再現!」は11位となりました。

煲仔飯(ボウジャイファン)撮影風景。

今年の記事ではありませんが、地三鮮(ナス、ピーマン、じゃがいもの炒め)は総合4位。腊肉(中国式干し肉)酸豆角(発酵ささげ)の作り方もよく見られています。

レストランは地域性があり、行きたくても行けない事情もありますが、レシピは全国区。一部の中華好きはよく知っていても、全国的にはまだ知られていない中国料理の魅力、料理の楽しさを来年も伝えていきたいです。

そんなまとめをさせていただいたところで、来年も日々中華と向き合ってまいります。2022年、ありがとうございました。2023年もよろしくお願いいたします!


TEXT サトタカ(佐藤貴子)
データ集計 コスギ(小杉勉)