伝統製法、樽熟など4種の客家黄酒をテイスティング!

見学を終えたあとは待望の試飲! 今回は、特徴的な4種の客家黄酒を試飲させていただきました。

一番左の「今天」は低温発酵。甜型(1リットルあたりの糖分量100.0g以上)らしく、しっかりした甘味はありますが、余韻は意外とスッキリして親しみやすい味わいです。

左から二番目の「経典」は名前の通り伝統製法。アルコール度数は今天より少し高めで、よりどっしりとしたボディ感があります。カラメル、ナッツ、黒糖の印象が強く、飲みごたえがありました。

三番目の「明天」は、糯米、麦曲(麦麹)に加えて、副原料に生姜を使用。生姜を用いることで味わいに爽快感が生まれ、他とはまた違った個性を生み出しています。まるで日本酒業界に新たな風を巻き起こす、クラフトサケのようですね。

最後に飲んだ「太環醸」は、定番商品の珍珠紅をオーク樽で熟成したもの。濃醇でまろやかな味わいに樽香が見事にマッチしてラグジュアリーな仕上がりとなっていました。

オーク樽の熟成庫。白酒もオーク樽で熟成させていました。

ボトルデザインもお洒落で、酒をじっくり楽しみたいときにセレクトしたい1本。こちらが個人的に一番のお気に入りとなりました。黄酒は甕熟成が多いので、樽熟成自体が貴重!

「太環醸」は高級感のあるボトルデザインが印象的。木箱に入っているのでギフトにもよさそう。

ちなみに『黄酒入門』では「経典」を掲載しています。本を執筆した時点ではパールレッドとのお付き合いはなく、個人的に興味を持ったので紹介しました。こうして実際に訪問することができたのも貴重なご縁。とても嬉しく思います。

ボトルデザインに興味を持ったのがきっかけで『黄酒入門』に掲載しました。

現在、パールレッドは日本への進出を視野に入れており、早ければ2025年には日本でも楽しめるかもしれません。紹興酒や他の黄酒とはまた一味違った個性をぜひ楽しんでいただきたい! 無事流通されることを願っています。

従来の白酒製造とは一線を画す、ピカピカの蒸留施設

なお、パールレッドでは、珍珠紅という同じブランドで白酒も作っています。ひとつの酒蔵が黄酒と白酒の両方を同じブランド名で生産・販売するというケースは珍しいです。それほど珍珠紅という名前に誇りを持っているということなのでしょう。

製造年数が異なるノンブレンドの純6年。アタックは優しいですが余韻でクァっとした刺激が湧き上がってきました。

というわけで、白酒の蒸留所も見せていただきました。パールレッドが造る白酒は「米香型」といって米を米曲で醸して蒸留する酒です。

一般的な白酒の製造現場といえば、室内中に蒸された熱々の高梁から湯気が温泉のように沸き立ち、それをスコップで地面にばら撒いたり、発酵の穴蔵へ放り込む様子が思い浮かびます。

しかしパールレッドの室内は、どこも綺麗な環境なのです。高梁を蒸す現場や曲(麹)を振る現場なども見させていただきましたが、どこもピカピカでビックリ。

蒸留した酒が溜まる平タンク。オールドスタイルの白酒醸造場とは一線を画す、清潔に保たれた蒸留現場です。

偶然、白酒をオーク樽に移し替えているところにも遭遇しましたが、こちらも専用の機械を使って行っています。今後は白酒の製造も各地で近代化が進んでいくのでしょう。

ちなみに観光スポットだけあって、裏手にはパールレッドが運営しているホテルもあります。1泊262元〜318元(約5,000〜6,500円)で宿泊できるので、「客家黄酒を飲んでみたい!」という方は足を運んでみては。

シャワーやベッドも綺麗!自社栽培のお茶も置かれていてくつろげました。

さて、パールレッドの見学と宿泊を経た翌日は山を下って梅州市内の街中を散策。旅のお裾分けとして、客家黄酒文化が根付く、梅州の街をご紹介します。

NEXT>【CITYWALK】全家庭で醸造中⁉梅州は客家黄酒が根付く街だった