【食養生×ヨガ】東洋の叡智で身体をキレイに!

1:ヨガ×中国料理=動いて食べて体をいたわる
2:酷暑の今こそ作りたい! 営養薬膳大師・山中先生の夏の食養生メニュー
3:肩こり解消、リフレッシュといいこと尽くし! 簡単ヨガ&ストレッチ

季節やその人の体質に合わせて身体を整え、病気の治癒だけでなく、未病(病気の予備軍)をも見据えた東洋医学。実は中国料理には、その理論をベースにした食養生(しょくようじょう)という考え方があることをご存知でしょうか。

そもそも東洋医学における「養生」とは、3つの要素に基づくもの。それは、健康になるために食を選ぶ「食養生」、体を動かす「導引」、そして精神的な安定を獲得する「気功」です。

なんだか難しそうですが、それらを手軽に学び、トータル体験できる講座があると聞いて、東京・江東区にあるC’s Kithen(シーズキッチン)の食養生×ヨガ講座に取材に行ってきました!

C's Kithen
会場のC’s Kithen(シーズキッチン)。オープンキッチンのあるイベントスぺースには約20名の女子が集まっていました。

座ったまま&立ったままのオリジナルヨガプログラムを体験

実はこの講座は、中国料理教室で「食養生」を、そしてヨガで「導引」を、さらに食とヨガで精神的な安定を得る「気功」という、3つが一度に体験できる貴重な内容。
主催するのは、80Cのサイトオーナーであり、中国食材専門商社の中華・高橋。より多くの方に中国料理の新しい魅力を伝えるため、会場となるC’s kitchenを立ち上げ、こうしたコラボレーション講座を企画しているそうです。

髙橋ちひろ先生
インストラクターの髙橋ちひろ先生。 ヨガで培ったものなのでしょうか、凛とした美しいオーラが漂っています。

さて、そんな講座のスタートはヨガプログラムから。ここで行うのは、ヨガマットを使うものではなく、座ったまま、立ったままの省スペースでできる50分間のオリジナルプログラムです。これなら家でもオフィスでも気軽にできますね。

本日のヨガテーマは「呼吸を楽にして夏のストレスを解消すること」

インストラクターの髙橋先生にテーマの背景を尋ねてみると、「例年以上に暑さの厳しい今夏は、身体は想像以上に厳しい環境を耐えようと、緊張状態を強いられています。緊張が続けば血流も悪くなり、さらにパソコンやスマホを手放せない現代人は、どうしても姿勢が前傾になりがち。すると、自ずと呼吸も浅くなってしまうんです」とのこと。

「呼吸は生きることにおいて大切なこと。呼吸が浅くなるということは、交感神経が優位の緊張モードとなり、呼吸が深くなれば、副交感神経優位のリラックスモードに。そこで、呼吸を使って自律神経と心をコントロールしていこうというのが、ヨガの目的のひとつなんです」という先生の言葉にも納得です。

鎖骨のところで手を交差
鎖骨のところで手を交差させ、ゆっくりと呼吸をしながらのどを伸ばすストレッチ。 これだけでも十分気持ちいい!

 

空へ手を突き上げ
「空へ手を突き上げ、足で大地を感じて…」そんな先生の言葉に、 自分の体は確かに天地と、宇宙とつながっているような気になります。

 

ヒーリングBGMの流れるなか、ストレッチから始まり、上半身のコリをほぐし、さらに片足を上げながら全身のバランスをとるなど10種類近いポーズを体験。ゆったりと呼吸を整えながら身体を動かし、最後に瞑想の時間が訪れます。

ここで大切なことは「何も考えない」ということ。「おしゃべりな脳にふりまわされず、心を静かにして本来の自分と向き合ってみましょう。ヨガの本来の目的は、一本筋の通ったぶれない自分を作ることなのです」と髙橋先生。

邪念を捨てて集中
邪念を捨てて集中し、瞑想。

 

こうしてすべてが終わると、心身ともにリフレッシュしているのにはびっくり。参加者の表情も来た時とは明らかに違う!大げさではなく幸福感に満ちた感じです。

薬膳よりも取り入れやすい!食養生の考え方とは?

続いてヨガのあとには、東洋医学の基礎理論に基づいた食養生(しょくようじょう)のお話です。
今回食養生の講師を務めた山中一男先生は、中国で最も権威のある中華中医葯学会認定の薬膳の最高資格「営養薬膳大師」の称号を持つその道の大家。なんと、世界中でこのタイトルを持っているのはなんと20人しかいないそう。

山中先生
難しい話をわかりやすく解説してくださる山中一男先生。

ところで薬膳という言葉は知っていても、食養生という言葉は耳慣れないという方も多いのでは?

山中先生に尋ねてみると、「薬膳はいわゆる薬=漢方薬を使った食事のことで、食養生は漢方薬に使われる乾物の中でも、食材として日常的に用いられているものを用いて身体を整えること」と説明してくださいました。近年では本場中国でもその傾向にあるそうで、より手軽に続けやすいものが支持されているようです。

旬の食材
本日も、身近な旬の食材を使って作ります。

 

そんなわけで、第一回となる今回は、食養生のベースにある東洋医学の思想について理解を深めることからスタート。

陰陽五行
「陰陽五行」を解説中の先生。

 

中でも大切な思想は2つ。そのひとつが、自然と人間は一体のものだという「天人合一(てんじんごういつ)」という考え方です。それは「人は天から陽気(新鮮な空気)を取り入れ、地から陰気(食物の栄養素)を取り入れて命を育んでおり、天地自然界の影響を受けて自然と調和した生活をしなければなりません。だからこそ、季節に応じた健康管理が必要」ということ。

メモをとる参加者
山中先生の話に熱心にメモをとる参加者のみなさん。

 

また、もうひとつが、食に関心のある方ならきっと耳にしたことがあるであろう「陰陽五行(いんようごぎょう)」です。これはすべてのものは5つの要素・特色を有するということで、「中国料理の味の特徴も五味調和。5つの味をバランスよく食べて養うという考え」です。

さらに季節は春、夏、長夏(ちょうか)(梅雨の時節)、秋、冬の5つに分かれており、季節に応じてよく働く臓器も5つに分かれるのだそう。
では、この思想をベースにすると、夏はどういう季節なのでしょうか?

夏の「食養生」のポイントとは?

答えは、夏の季節は「暑(しょ)」。そして働く臓器は「心(しん)」です。
山中先生曰く、「夏の暑さが心臓やメンタルに負担をかけるため、心に栄養を与えるのが夏の食養生の留意点になります」とのこと。 そこで今回の料理教室では、体の熱を冷まし、水分を補う「解暑(げしょ)」の働きがある冬瓜と、「心」を滋養し、精神を安定させる「養心安神(ようしんあんじん)」の働きがある、百合根、蓮の実、米、竜眼(りゅうがん)などの食材を用いたメニューが登場。

食材の説明をする山中先生
カウンターから身を乗り出して、食材の説明をする山中先生。

 

 

ライブ感たっぷり!オープンキッチンの目の前で中国料理を体験

料理の3品のデモンストレーションは、本格中華厨房のオープンキッチンの前で行われます。
もちろんその場で質問もOK。「冬瓜は皮をむきますか?」という質問に、先生は即「和食は皮の緑をいかしますが、中国料理はむきます。家庭ではピーラーで十分、ワタを取って、いちょう切りでいいですよ」と答えるかたわら、「店ではこうして冬瓜をスライスします」とプロの技も披露してくださいます。

鍋をふり

さらに、予定していた3品だけでなく、鶏ガラを使わずに、インスタントスープよりずっとおいしい、豚と鶏のひき肉を使って作る本格中華スープ「清湯(チンタン)」の作り方も伝授していただけました。

スープを注ぐ

そして待ちに待った試食会では、次々とテーブルに運ばれるお料理に歓声が!
「食べる前に写真、写真ね」と撮影会があちこちのテーブルで行われ、「これだったら家でも作れそう!三品一度は無理だけどね(笑)」という声も聞こえてきます。

そう、家でやらなきゃ意味がない!毎日の暮らしの中にあってこその食養生なんだ…!そう改めて感じた試食会です。

試食会
卓上では3品のお料理に加えて、ハイビスカスにミントを加えた「扶桑花薄荷茶」が出されました。脳の興奮を抑え、血行を促す作用があるのだとか。

 

 

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TEXT 吉谷環
PHOTO 佐藤貴子(ことばデザイン)