16万甕の原酒がずらり!酒の香りで満たされる「雲集信記」圧巻の酒庫

観光地にはないのんびり感。紹興市北西部のローカルな雰囲気

「雲集信記(云集信记)」があるのは、浙江省紹興市の柯橋区です。紹興の代表的な観光地といえば文豪魯迅ゆかりの地として知られる魯迅故里が挙げられます。この界隈は、ご当地名物として臭豆腐を積極的に販売していたり、露店もたくさん出ていて、観光客で賑わうエリアです。

紹興市を代表する観光地、魯迅故里前。

一方、柯橋区は杭州湾南岸に位置するエリアにあり、総面積は1,041平方キロメートル、人口は約112万人(2023年末)。古くは越州や会稽と呼ばれ、歴史的な文化を育んだ地として知られています。

柯橋には特産品を販売するような空気感はあまりありません。私自身、柯橋は初訪問とあって興味深く歩いたのですが、大通り沿いにこの地域に住んでいると思われる人たちがお店を出していたり、工業地帯のような風景が続いていて、ローカルな雰囲気が漂っていました。

通り沿いで魚や野菜などを売っている人々。
川沿いで釣りに勤しむ人たちもチラホラ見かけました。

気候は日本の関東圏と似ていて、11月初旬で20度程度。長袖で歩いていると少し汗ばむぐらい。訪れた日は、時折吹く風が心地よく、歩いていて気持ちよかったです。

裏通りは長閑ですが、大通り沿いには繊維工場などが建ち並び、大きなトラックがたくさん走っていました。

ここで缪(ミャオ)さんと久しぶりの再会を果たし、早速、場内へ!

雲集信記は親会社の恒豊泰の敷地内にあります。笑顔で出迎えてくれた缪(ミャオ)さんと久しぶりの再会!

新酒から数十年のプレミアム原酒まで。「雲集信記」の銘蔵セレクション

日本でも親しまれる「塔牌」や「会稽山」の原酒たち。

場内に入ると早速入り口に並ぶのは古越龍山、会稽山、塔牌など錚々たる酒蔵の原酒がずらり!一気にテンションアップ!

開封してみたい気持ちを抑えながら、奥へ。

場内は甘くて爽やかなアルコールの香りが漂っています。日本酒の酒蔵でも感じられる麹やもろみの香り。それと同じ香りを思い出しました。黄酒は日本酒同様に米の酒。お酒好きな方にはたまらない香りだと思います。

奥にはさらにたくさんの原酒が所狭しと並んでいました。各甕にはラベルがかけられており、数年物から数十年物まで、多数の原酒が保管されています。

倒れないのかな?と不安になるぐらい、高々と積み上げられた甕。
さまざまなブランドの原酒がありました。こちらは300年以上もの歴史を誇る「鉴湖」の18年物。

3〜4段に積み上げられた甕、甕、甕。すごい数だなぁと関心していると「原酒の保管場所はここだけではなく他にも大きな倉庫をいくつか持っています」とのこと。

保管している甕の原酒総量はなんと16万甕!(2023年末時点)。数が大きすぎてピンときませんが、莫大な量であることには間違いありません。

ここではブレンドした原酒の瓶詰めや加熱殺菌など製品化に向けての工程を担っており、一通り見せていただきました。

黄酒の瓶詰めの様子。
瓶詰めした黄酒は、専用の機械で加熱殺菌を行います。
ラベル貼り付け前の黄酒たち。
ラベルを貼り終え、箱詰めしている様子。

場内の見学をひと通り済ませたあと、最初に「他の場所にもある」と説明してくれた原酒の倉庫へ。ここでは黄酒造りの大変さを垣間見ることもできました。

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