最高度数は70度⁉ アルコールの濃縮技術で高度数の醸造酒をつくる

お酒は甕からボトルに詰めてテイクアウトも可能!

前のページで触れたとおり、国稀酒業は6度、18度、19度、28度、40度…とさまざまな度数の黄酒を生み出しています。なぜこのようなことが実現できるのでしょうか?

それは独特かつ特別な酒造技術があるからこそ。具体的には、アルコールの濃縮技術を駆使して度数をコントロールできる技術を持っています。この技術を用いる酒造は黄酒業界では稀で、中国で特許も取得しています。

アルコール度数が異なると当然、味わいも印象もガラリと変わります。最も高い度数はなんと70度以上!

50度以上になると色が透明で、もはや白酒のよう。もちろん、一切蒸留をしていません。にも関わらず、ここまでアルコール度数を高められる技術とは…? 頭の中がクエスチョンだらけになります。

味もどことなく白酒に似ていますが、柔らかみがあって飲みやすいです。

細かな製造工程までは確認できなかったのですが、度数を高めるためには大量の黄酒が必要で、何度も圧縮をするためにその過程で色も透明になっていくとのこと。

そして実は、同じ米の酒である日本酒業界でも、アルコールの濃縮技術によって高度のSAKEを造る研究が行われています。日中両国の酒文化はここでも繋がりがあるのです。酒の世界は奥深い!

当初私は、国稀酒業が多様な度数の黄酒を生み出していることに対して、他との差別化を生むため、そして奇をてらうような面白さを演出するのが目的なのかと思っていました。しかし、それは誤解でした。そこには代表であるインガさんの、黄酒に対する熱い思いがあったのです。

黄酒でワイン、ウイスキーなど全ての酒を表現する心意気

インガさんの鞄にはいつも黄酒が1本入っています。彼女は黄酒を常に持ち歩き、時折サッと取り出してはクイっと一口飲んだりしています。もちろん、アルコール中毒なわけではありません。彼女は健康のために毎日黄酒を250ml飲み、お茶も250ml必ず飲むのだとか。

瓶に入った黄酒は飲むだけでなく、時折手にたらして揉み込み、首筋に塗ったりしていました。そう、なんと香水代わり!たしかに黄酒は、空になったグラスを嗅ぐととてもいい匂いがします。彼女にとって黄酒は生活の、いや人生の一部なんだなと痛感し、感服しました。私もまだまだだな。

普段はにこやかでチャーミングなインガさんですが、黄酒のことになると情熱モードに!

そんな黄酒愛に溢れるインガさんに「他にどんなお酒が好きですか?」と尋ねると、ひとこと。「ないよ。黄酒が一番好き。私たちが作ったものしか飲まない」。さらに続けて、こう話してくれました。「ワインもウイスキーも私には必要ない。国稀酒業の黄酒があるから」。

私はこの言葉を聞いて「なるほどな」と腑に落ちました。ワインを飲みたいときは低アルコールの国稀を、ウイスキーを飲みたいときは28度〜40度の国稀を飲めばいい。国稀酒業がさまざまな度数の黄酒を作っている理由。それはあらゆる酒のニーズを国稀の黄酒で満たしていこうという情熱の表れだったのです!

これほどまで黄酒にこだわりを持つ人は、今まで出会ったことがありません。これも全て黄酒文化を尊敬し、継承していきたいからでしょう。

インガさんはこれからも黄酒文化を正しく広めるために奔走し、世界を跨いで活躍されることでしょう。僭越ですが「僕も頑張ろう!」と今まで以上に心を燃やした瞬間でもありました。国稀酒業の黄酒が、日本で楽しめる日がきますように。

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