杭州料理は「原汁原味(素材を生かした味付け)」。老舗「杭州酒家」で味わう王道の味わい

ほかにも「ザ・杭州料理」といえるものが続々と円卓に登場。前菜の塩豚や、新鮮なクワイと酒釀を合わせた料理など、品がよく美味しいものが並びます。 

塩豚
クワイに酒釀を合わせ、素材の持ち味を生かした一皿

宴会終盤に出された老鴨湯(ラオヤータン)も絶品。これは家鴨(あひる)、干し筍、金華ハムをスープに仕立てたもので、干筍は天目筍干と呼ばれる杭州市臨安産、金華ハムは杭州の南に位置する金華市産で、隣町同士の名産品の取り合わせ。これぞ杭州の味覚、と唸りました。

老鴨湯

獅子頭のように大きく真ん丸な杭州魚丸(杭州式の魚団子)も見事。杭州一帯で活躍する料理人のレシピを戴寧主が編纂した『杭州菜譜』には草魚(ソウギョ)を使うと書かれていますが、ここでは恐らく鰱魚(レンギョ)を使用。魚は細かく挽かず、7mm角ほどに切り、金華ハム、椎茸、小葱を加えて団子をつくります。

杭州魚丸

〆のごはんものは煲仔飯(ボウジャイファン)。江南名物であるタウナギの醤油炒めを、ジャスミンライスの土鍋ごはんと合わせた、江南×広東ハイブリッドスタイルです。

江南地方で定番の「タウナギの醤油炒め」をのせた煲仔飯(ボウジャイファン)
土鍋で炊きたての長粒米とタウナギの醤油炒めを混ぜ合わせることで、香ばしい味付けごはんとなる

ちなみに、中国でタウナギは一般的に「黃鱔(ホワンシャン)」と呼ばれ、江南地方では写真の具のようにとろみをつけた醤油炒めが定番の食べ方。これが江南地方の中だけでも、浙江省・江蘇省・上海で微妙に名前が異なるのがおもしろいところ。

例えば浙江省では、港町・寧波の地名を掲げた「寧式鱔魚(ニンシーシャンユィ)」や「寧式鱔糊(ニンシーシャンフー)」。上海では熱々の油をジュッとかける調理法を表わす「響油鱔糊(シャンヨウシャンフー」や「響油鱔魚(シャンヨウシャンユィ)」。江蘇省南京では「炒軟兜(チャオルァンドウ)」といった具合。同じ地方でもさらに地域性があるのは中国ならではですね。

ほかにも、生の蓮の実や楊梅(ヤンメイ:やまもも)など、旬の味覚も満喫。期待通り、どれも安定感抜群の料理に、幸せな満腹感で満たされた昼宴でした。

その後、腹ごなしに市場や書店を散策したあとは夜の宴席会場「知味観 味庄 楊公堤店」へ。こちらは昼と趣向を変え、プレゼンテーションを重視した大宴会。いったいどんな料理が出たのでしょうか?

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