新大久保の涼皮(リャンピー)専門店「張小記 西安味道」で多彩な涼皮を楽しもう!

看板料理は涼皮(リャンピー)! この春、新大久保オープンした「張小記 西安味道」は、2022年5月18日に店を開いて以来、ランチタイムに行列が絶えず、連日大盛況となっている涼皮専門店です。

『張小記 西安味道』外観。

こちらはさすが涼皮の本場、陝西省西安の看板を掲げるだけあって、味付けのバリエーションが豊富!

「原味」と呼ばれる基本形、ごまだれを加えた「麻醤」、ちょっとスペシャルな「秘制」、さらに手間のかかる「擀面皮(ガンミェンピー)」、米から作った「米皮(ミーピー)」まで、ここに来ればさまざまな涼皮が味わえます。

基本の「原味涼皮」&ゴマだれのコクがクセになる「麻醤涼皮」

原味涼皮。

原味涼皮(原味凉皮:ユェンウェイリャンピー:yuánwèiliángpí)は、ベーシックスタイルの涼皮です。上にかかっているのは陝西省の唐辛子・秦椒で作られた油潑辣子(ヨウポーラーズ:辣油だれ)。鮮やかな紅色からかなり辛そうに見えますが、辛さはほどほど、それ以上によい香りが特徴です。

ふと横を見ると、「辛さを控えたい」と店員さんに告げたお客さんが助言を受けてこちらを注文し、「おいしいね!」を連呼!こちらにゴマだれを追加した麻醤涼皮(麻酱凉皮)も人気の一品です。

辛さ増し増し!タイ産唐辛子で発汗必至の「秘制涼皮」

秘制涼皮。

秘制涼皮(秘制凉皮:ミージーリャンピー:mìzhìliángpí)は、基本の“原味”にタイの激辛唐辛子をプラスしています。作り方は、刻んだタイ産の唐辛子をのせ、さらに油潑(ヨウポー:熱々の油をかける)でジュジュッ!辛さはもちろん、旨みや香りも滲み出し、クセになる美味しさです。

「これはうまい!」と勢いよく食べていたところ、食べ終わりの頃は喉の奥が少々ヒリつき、首筋が汗ばむように。注文時「すっっごく辛いけど大丈夫??」と何度も念入りに確認されましたので、辛さに強い方はぜひチャレンジしてみては。

1日30食限定!ひと手間がおいしさを生む「岐山擀面皮」

岐山擀面皮。

毎日、開店1時間経つか経たないかで売り切れ!そんな幻の涼皮が岐山擀面皮(チーシャンガンミェンピー:qíshāngǎnmiànpí)です。

私も何度目かの正直でようやく、ラスト1食ギリギリセーフ!この時もあとに続く来店客の第一声が皆、「擀面皮ある~?」という人気ぶりでした。

この擀面皮は1日約30食限定。なぜ食数限定かというと、基本の涼皮の作り方より手間がかかっているから。涼皮は小麦粉を水の中で揉み、グルテンとでんぷんに分離させ、でんぷんの方をこねて作りますが、擀面皮はでんぷんの上澄み水を捨て、火にかけて水分を飛ばしながら再び捏ね固めて作るのです。

それを小分けにし、麺棒で押し伸ばし(=擀)たのち、適度な幅に切り揃えたら擀面皮のできあがり。さらに加わったひと手間のおかげで、涼皮のツルンと滑らかな食感より、しっかりとした歯ごたえを得られます。

ソフトでしなやか。お米から作られた「秦鎮米皮」

秦鎮米皮。

秦鎮米皮(チンジェンミーピー:qínzhènmǐpí)は文字通り、小麦粉でなく米から作った涼皮です。

秦鎮は、西安市西方の郊外に位置する鄠邑区(こゆうく|フーイーチュ:hùyìqū)あたりで、米どころとして知られた場所。加えて、このエリアの南方に連なる秦嶺山脈から流れる水が素晴らしく、清らかで甘みも感じられる良質の水もまた、米皮作りに一役買ったのだそう。小麦粉から作るリャンピーに比べて、少しソフトな食感に仕上がります。

涼皮と肉夹饃は永遠のパートナー!

このように「張小記 西安味道」ではさまざまな涼皮が楽しめますが、涼皮とぜひ一緒に食べていただきたいのが肉夹饃(ロウジャーモー)です。

白吉饃(バイジーモー)と呼ばれる固めのバンズに肉を挟んだ軽食で、これ単独でも人気がありますが、涼皮との組み合わせは定番中の定番! ここで挟む肉は腊牛肉(ラーニウロウ)、牛スネ肉のスパイス煮込み。西安回民街の伝統食です。

肉夹饃(ロウジャーモー)。

ほろほろっとほぐれた牛肉が、絶妙な弾力としっとりとした質感をあわせ持つ白吉饃に挟まると、なんとも複雑味のあるおいしさに変貌。ひとたび手に取ると、夢中で一気に食べ切ってしまいそうに!

さらに、割包(中に具を挟めるまんとう生地)に、かわいい蒸籠にのったピリ辛蒸し肉を自分で挟んで食べる籠籠肉夹饃(ロンロンロウジャーモー)もあります。みっちりとした白吉饃とは異なる、ふんわり軽やかな食感が新鮮です。

籠籠肉夹饃(ロンロンロウジャーモー)。
籠籠肉夹饃(ロンロンロウジャーモー)を挟むとこんな感じに。

陝西省の定番「三秦套餐」でキメてみる!

また、涼皮、肉夹饃、冰峰の組み合わせは、西安の代表的な軽食を一挙に楽しめる「三秦套餐(3つの西安セット)」として知られています。

冰峰とは西安にある炭酸オレンジドリンクのこと。あいにく日本未上陸ですが、より近い雰囲気で楽しめるよう、ファンタ(グレープ)とコカコーラの瓶がドリンクのラインナップに並んでいるのも見逃せません。

甘い炭酸水は中国の小吃と合わせて楽しむ定番のドリンク。自分で三秦套餐スタイルにアレンジしても西安気分が盛り上がりそうですよ。

さて、見た目や食感を東北地方の大拉皮など板春雨に例えられることが少なくなかった涼皮ですが、ここまでご覧いただくと「仲間のように見えつつも、ちょっと違うものなのだな」と感じてきた方も多いのでは?

それもそのはず、板春雨と涼皮の製法はまったく異なります。板春雨は、でんぷんに水を加えて練ったものを麺状に整えて作りますが、涼皮は小麦粉の生地から、でんぷん質を分離させて作るもの。いうなれば、涼皮は小麦粉の“分解の結晶”なのです。

いったいどういうことなのかって…?次のページでは、涼皮の作り方をわかりやすく紐解きます。

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