カウンターは“英英劇場”のプレミアシート!『沙漠之月』を十二分に楽しむコツ
『沙漠之月』は、店主の英英さんが腕を振るう、カウンター6席のみの中国西北料理店。小さな隠れ家で飲食体験を十二分に楽しむための、ちょっとしたコツをご紹介します。
①到着前に店のブログをチェック。その日食べる料理をイメージして気分を高める
ブログでは「今日の餃子は」の書き出しで、水餃子の餡が紹介されています。たとえば「豚肉+青ネギ」「ニラ玉」といった具合。また、ブログでは餃子だけでなく、一品料理の写真が掲載されることもあります。画面を見せれば、指差し注文もできますよ。
②店に着いたら、鹵煮をつまみながらゆっくりスタート。飲みながら次の料理に想いを馳せる
鹵煮(ルーヂュ:lǔzhǔ)は、卵・鶏や豚の軟骨・厚揚げ・豆腐干・豚バラなどを香辛料でコトコト加熱した煮込みのこと。常備菜として店にある定番のおつまみです。
席に着いたら一杯飲みながらこれをつまみ、ひと息ついてからオーダーにとりかかるのもよいでしょう。次の料理が出るまでのつなぎにもなって一石二鳥です。
③メニューブックは参考程度に、その日のおすすめを聞いてみよう
食材の仕入れ状況は日々変化しています。その日の野菜・肉・海鮮など、その日どんな食材があるか英英さんに尋ねてみましょう。例えば「豚肉の料理は何かある?」など食べたいものを告げると、いくつかおすすめの調理例を提案してくれるはず。
面食(小麦粉料理)も同様で、その時に用意してある生地によって、太さ・長短・炒麺かスープ麺など、作れる麺料理を挙げてもらえます。時にはホウレンソウやニンジンを練り込んだ可愛らしい彩色生地に出合えることも。生地は餃子の皮にも麺にも姿を変えます。
④中国西北地方の麺料理や大皿料理にもチャレンジ!
夏の味覚である漿水麺のほかにも、炒炮仗子(チャオバオジャンズ|chǎobāozhàngzǐ|爆竹型の麺)、搓魚子(ツォユィズ|cuōyúzǐ|搓鱼子|魚型の麺)、小飯(シャオファン|xiǎofàn|小饭|ごはん型小粒麺)、蘭州牛肉麺(兰州牛肉面)といった甘粛省の特色豊かな麺料理が登場することもあります。
さらに事前問い合わせの上予約できるものとして、総画数50超の激ムズ漢字が話題沸騰中、陝西省のビャンビャン麺や、料理を麺にザバッとかけたくなる大盤鶏(大盘鸡:ダーパンジー)なども。チャンスがあればぜひ食べてみてください!
⑤“英英劇場”のプレミアシートでその空間をまるごと味わおう!
鹵煮やドリンクの注文、食材の確認、今日の餃子や多彩な麺など、オーダーの相談を皮切りに、自ら声をかけ、明朗快活な英英さんとの会話を楽しみましょう。歯に衣着せぬ軽妙なトークと屈託のない笑顔に、元気をもらえること間違いなし!
また、カウンターの向こう側のコンパクトな厨房で、テンポよく調理や麺づくりを進めていくさまを間近に見られるのもこの店ならではの醍醐味です。客席は“英英劇場”のプレミアシート。ひとりで訪ねても、きっと楽しいひとときを過ごせるはず。
こうして料理や空間を楽しむうちに、『沙漠之月』はいつの間にか、あなたのオアシスになっているかもしれません。
中国西北地方料理 沙漠之月
東京都豊島区東池袋2-63-15 アミューズ館パート2 3F(MAP)
TEL 080-6634-9898
営業時間 18:30〜23:00(22:30L.O.)
日祝定休
店舗ブログ
text & photo :アイチー(愛吃)
『中華地方菜研究会〜旅するように中華を食べ歩こう』主宰。中華料理にまつわるコーディネート、アドバイス、監修などを行う。一つの「食」を愛し、味も知識も徹底的に極めた「偏愛フーディスト」がプロデュースする期間限定レストラン『偏愛食堂』中華料理担当として、多彩な中華地方菜の楽しさを伝えている。★アイチー執筆・出演記事はこちら