カウンターは“英英劇場”のプレミアシート!『沙漠之月』を十二分に楽しむコツ

『沙漠之月』は、店主の英英さんが腕を振るう、カウンター6席のみの中国西北料理店。小さな隠れ家で飲食体験を十二分に楽しむための、ちょっとしたコツをご紹介します。

①到着前に店のブログをチェック。その日食べる料理をイメージして気分を高める

ブログでは「今日の餃子は」の書き出しで、水餃子の餡が紹介されています。たとえば「豚肉+青ネギ」「ニラ玉」といった具合。また、ブログでは餃子だけでなく、一品料理の写真が掲載されることもあります。画面を見せれば、指差し注文もできますよ。

白色餃(白菜と豚肉の餡)
卓上にある辣油は自家製。数種類の唐辛子・白ゴマ・エゴマ・ショウガ・ネギ・ニンニク・塩・ピーナッツ・山椒・胡椒・きな粉・サラダ油・ごま油などで作られており、「月ラー」として販売も。冷蔵保管で2ヶ月以内の使用がおすすめ。

②店に着いたら、鹵煮をつまみながらゆっくりスタート。飲みながら次の料理に想いを馳せる

鹵煮(ルーヂュ:lǔzhǔ)は、卵・鶏や豚の軟骨・厚揚げ・豆腐干・豚バラなどを香辛料でコトコト加熱した煮込みのこと。常備菜として店にある定番のおつまみです。

席に着いたら一杯飲みながらこれをつまみ、ひと息ついてからオーダーにとりかかるのもよいでしょう。次の料理が出るまでのつなぎにもなって一石二鳥です。

鹵煮盛り合わせ(豚軟骨、厚揚げ、卵)。
百頁(押し豆腐)の鹵煮。

③メニューブックは参考程度に、その日のおすすめを聞いてみよう

食材の仕入れ状況は日々変化しています。その日の野菜・肉・海鮮など、その日どんな食材があるか英英さんに尋ねてみましょう。例えば「豚肉の料理は何かある?」など食べたいものを告げると、いくつかおすすめの調理例を提案してくれるはず。

面食(小麦粉料理)も同様で、その時に用意してある生地によって、太さ・長短・炒麺かスープ麺など、作れる麺料理を挙げてもらえます。時にはホウレンソウやニンジンを練り込んだ可愛らしい彩色生地に出合えることも。生地は餃子の皮にも麺にも姿を変えます。

彩色餃(黄色=ニンジン練り込み皮×エリンギと豚肉の餡  緑=ホウレンソウ練り込み皮×セロリと豚肉の餡)
清炒蔬菜(野菜炒め)。その日ある野菜の中からズッキーニを選び、おまかせで野菜やきのこも加えて炒めてもらった一皿。

④中国西北地方の麺料理や大皿料理にもチャレンジ!

夏の味覚である漿水麺のほかにも、炒炮仗子(チャオバオジャンズ|chǎobāozhàngzǐ|爆竹型の麺)、搓魚子(ツォユィズ|cuōyúzǐ|搓鱼子|魚型の麺)、小飯(シャオファン|xiǎofàn|小饭|ごはん型小粒麺)、蘭州牛肉麺(兰州牛肉面)といった甘粛省の特色豊かな麺料理が登場することもあります。

さらに事前問い合わせの上予約できるものとして、総画数50超の激ムズ漢字が話題沸騰中、陝西省のビャンビャン麺や、料理を麺にザバッとかけたくなる大盤鶏(大盘鸡:ダーパンジー)なども。チャンスがあればぜひ食べてみてください!

炒炮仗子(爆竹型麺)
小飯(小饭:ごはん型小粒麺)
丁丁炒麺(丁丁炒面:超ショート刻み麺焼きそば)
大盤鶏拌麺(大盘鸡拌面)。ビャンビャン麺に大盤鶏(鶏と野菜のスパイス煮込み)をかけた麺。手前にぴろっと見える白いものがビャンビャン麺。混ぜながらいただきます。
窓にビャンビャン麺の張り紙も。確実に食べたい場合は事前予約を。
麺は手打ち・手延べが当たり前!

⑤“英英劇場”のプレミアシートでその空間をまるごと味わおう!

鹵煮やドリンクの注文、食材の確認、今日の餃子や多彩な麺など、オーダーの相談を皮切りに、自ら声をかけ、明朗快活な英英さんとの会話を楽しみましょう。歯に衣着せぬ軽妙なトークと屈託のない笑顔に、元気をもらえること間違いなし!

また、カウンターの向こう側のコンパクトな厨房で、テンポよく調理や麺づくりを進めていくさまを間近に見られるのもこの店ならではの醍醐味です。客席は“英英劇場”のプレミアシート。ひとりで訪ねても、きっと楽しいひとときを過ごせるはず。

こうして料理や空間を楽しむうちに、『沙漠之月』はいつの間にか、あなたのオアシスになっているかもしれません。

場所は“池袋のチャイナタウン”とも呼ばれる池袋駅北口〜西口エリアでなく、東口から徒歩10分ほど。
中国西北地方料理 沙漠之月

東京都豊島区東池袋2-63-15 アミューズ館パート2 3F(MAP
TEL 080-6634-9898
営業時間 18:30〜23:00(22:30L.O.)
日祝定休
店舗ブログ


text & photo :アイチー(愛吃)
中華地方菜研究会〜旅するように中華を食べ歩こう』主宰。中華料理にまつわるコーディネート、アドバイス、監修などを行う。一つの「食」を愛し、味も知識も徹底的に極めた「偏愛フーディスト」がプロデュースする期間限定レストラン『偏愛食堂』中華料理担当として、多彩な中華地方菜の楽しさを伝えている。★アイチー執筆・出演記事はこちら