汁なしサムゲタン?もち米で作る吉林式チキンライス!上野『延雅村(よなマウル)』で食べる江米鶏(ジャンミージー)

省の南方をロシアおよび北朝鮮と接する吉林省(きつりんしょう)。中国東北部に位置するこの地域では、延辺朝鮮族自治州(연변조선족자치주)を中心に、韓国・北朝鮮と同じルーツを持つ朝鮮族が多く暮らしている。

そんな朝鮮族のお祝いや集いの席で食べられるのが江米鶏(ジャンミージー:jiāngmǐjī)、ハングルで닭곰(タッコム)だ。

江米とはもち米のこと。主な材料は丸鶏、吉林省名産の朝鮮人参、大棗(なつめ)で、これともち米を一緒に炊き込むと、もっちもちでつやつやの吉林式チキンライスができあがる。

『延雅村(よなマウル)』の江米鶏。ハングルでタッコム。「タッ」は鶏、「コム」は煮込むという意味。ここでは丸鶏の姿ではなく、バラした状態で提供される。

吉林省出身の友人によると、伝統的な作り方は、もち米の上に生の丸鶏をのせ、じっくりと時間をかけて炊いていくのだとか。

しかし現在はシンガポールや海南島のチキンライス同様、丸鶏をゆで、そのスープ(ゆで汁)をもち米に注ぎ、ゆでた丸鶏を入れて炊くのが主流。前者のほうが調理に時間がかかるため、鶏はほろほろと軟らかく、後者は比較的短時間で炊き上げるため、鶏は弾力のある食感に仕上がるようだ。

食材の共通点からサムゲタン(参鶏湯)も想起させるが、鶏の腹にもち米を詰めてスープ仕立てにするサムゲタンに対し、江米鶏は鶏の風味が染みたもち米が主役。そのまま食べると、鶏のうまみと油が回ったもち米料理という感じだが、にんにく、葱、唐辛子などを加えた薬味入りの醤油をつけると鶏の味わいがぐっと引き締まる。

にんにく、葱、唐辛子などを加えた薬味入りの醤油が味を引き締める。

上野『延雅村(よなマウル)』では、大きな土鍋で鶏一羽とともに炊き上げた江米鶏を提供。さらに香酢拌菜(黒酢風味の和えもの)、皮凍(豚皮の煮凝り)、炒牛筋(牛スジの炒め)などの料理を揃えれば味のバランスは完璧! 量の多さも東北スタイル。最低でも6人は集めて臨みたい。


記事でご紹介したお店

中華銘菜 慶(Qing|チン)
オーナーシェフの梁さんは、横浜『萬珍樓』を経て、世田谷赤堤『火龍園』で料理長を務めたのち2017年に開業。土鍋で炊き込む例湯(本日のスープ)や、長崎直送の鮮魚料理、焼味(肉のロースト料理)、ふかひれ姿煮など、広東料理をベースに多彩な料理がアラカルトで楽しめる。脆皮鶏は2日前までに要予約。1/4羽2,200円、半羽3,980円、1羽7,920円(各税込価格)。半羽で3人前が目安。

東京都目黒区五本木3-33-2(MAP
※最寄駅:学芸大学(駒沢通り沿い。目黒区五本木の六差路角)
TEL 03-6884-6501
営業時間 11:30-14:00 17:30-21:30
定休日:火曜ランチ、水曜、その他不定休あり
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本格四川料理 麻辣先生
2022年3月豊洲にオープン。麻婆豆腐をはじめ、日本人におなじみの一品から一歩踏み込んだ四川料理まで幅広く楽しめる店。地元密着型で、大人向けに麻辣が効いた料理はもちろん、お子さま向けに辛くない料理も用意している。椒麻鶏は小ぶりな丸鶏を使い2,980円(税込)。

東京都江東区豊洲5-6-36 プライムスクエア2F(MAP
TEL 03-5859-5080
営業時間 11:00-15:00 17:00-23:00
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延雅村(よなマウル)
中国東北料理が食べられる店。店主は遼寧省出身。江米鶏3,980円(税込※要予約)のほかに、どじょう鍋(メウンタン)、鴨鍋など鍋料理が充実している。個室あり。路面に店名はあるものの、入口ドアに店名の記載がないが、迷わず開けてほしい。

東京都台東区上野6-16-15 地下1F(MAP
TEL 03-4361-9305
営業時間 11:00-15:00 17:00-23:00 ※土日は通し営業
無休
オフィシャルサイト

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TEXT&PHOTO サトタカ(佐藤貴子)