牛骨スープにごまだれ入りのマイルド系!蘇我『東北麻辣燙』でマーラータンと粉もん三昧

黒龍江省牡丹江出身の店主と、元気いっぱいで人懐っこく、可愛らしいお嬢さんも看板娘として時折登場する、千葉市蘇我の『東北麻辣燙(とうほくマーラータン)』。

こちらのマーラータンは、牛骨でとったスープに、香り高い自家製の麻醤(芝麻醤:練りごま)が味の決め手。両者がほどよいバランスでなじんでおり、クリーミーな口当たり。ゴマのコクを感じながら、ついごくごく飲んでしまうスープです。

具材、麺、辛さはカスタマイズ可能。例えば先日の具材のチョイスは、金針菇(エノキ茸)、土豆(ジャガイモ)、鴨血(アヒルの血)、香菜(パクチー)、麺のチョイスは寛粉(幅広春雨)、辛さはレベルは2辛(中辛)。

選んだあとに、店主さんから「油条(ヨウティアオ)要る〜?」とひと言あって、ここは迷わず「要る!」一択。ゴマのコクを感じながら、ごくごく飲めるスープなので、これをググッと吸わせた油条が旨くないわけがない!

辣油の量は好みに合わせて入れてくれるので、辛さが苦手な方でも安心できます。スープを飲み、スープを吸い込んだ油条を頬張り、具や春雨を食べ進め、あっという間に完飲完食してしまいました。

卓上には自家製辣油、麻油(花椒油)、黒酢があるので、途中の味変にぜひ。麻醤の香味やなめらかな口当たりがしっかりしているので、ちょっとずつ足すのがおすすめです。食べ終えると碗の底から嬉しいメッセージを受け取れますよ。

自家製の辣油(左)、麻油(花椒油:右)、鎮江香醋が卓上に。

東北といえば麺食。粉もん天国も同時に体験!

そしてこの店のもうひとつのおすすめが面食(小麦粉などの粉もの料理)。マーラータンの具材が並ぶ棚の隣には、東北らしい面食が充実しています。

右の棚にマーラータンの具、左の棚には面食がずらり。
面食コーナー。油条はマーラータンの具にもおすすめ。

ラインナップをうかがうと、
・粘豆包 玉米面(つぶあん入りトウモロコシ粉の蒸し餅)
・脆皮油炸糕(つぶあん入りカリカリもち揚げ)
・炸糖糕(中国のシュガーケーキ ※砂糖・黒胡麻入り)
・雑粮煎餅果子 玉米面(トウモロコシ粉生地のクレープ)
・驢打滾(きなこまぶし餅)
・手工辣条(グルテンのスパイシースティック)
・老式無水鶏蛋糕(水を使わない古式たまごケーキ)
・饅頭:黒芝麻、紅糖、玉米面(具なし饅頭:黒ごま入り、黒糖入り、とうもろこし粉製)
・玉米面年(糕)餅子(つぶあん入りトウモロコシ粉の餅焼き)
・蜂蜜牛奶麻花(蜂蜜と牛乳入り揚げパン)
・無糖玉米(苞米)面発糕(とうもろこし粉の無糖ケーキ)
・紅糖酥餅(黒糖パイ)
など実に多彩! 時間帯によって棚に並ぶ商品は変わります。

なかでも多く見られるのは、トウモロコシ粉を使ったもの。人気の脆皮油炸糕(ツイピーヨウザーガオ:つぶあん入りカリカリもち揚げ)は、一日180個作って売り切った日もあるのだとか!

脆皮油炸糕(つぶあん入りカリカリもち揚げ)。中国では屋台でよく見かける揚げ菓子です。

また、粘豆包(ニィェンドウバオ:つぶあん入りトウモロコシ粉の蒸し餅)は“糯嘰嘰(ヌオジージー:nuòjījī|やわらか・なめらか・モッチモチ)”な食感で、脆皮油炸糕に次ぐ人気商品。

粘豆包は東北地方の冬の保存食で、かつては0℃以下の乾燥した環境で常温保存していたものです。しかし現代では、米も小麦粉も日常に食べるようになり、保存食としての伝統的な習慣は消えつつあるのだそう。穀物は主に黄豆(キビ)を使いますが、この店では玉米(トウモロコシ)の粉で作っています。

粘豆包(つぶあん入りトウモロコシ粉の蒸し餅)。
粘豆包(つぶあん入りトウモロコシ粉の蒸し餅)の断面。

店の棚には定期的に登場し、中国のSNS『Wechat』で「できましたよ〜!」とひと言書き込めば、故郷の味を懐かしむお客さんの反応が早く、たちまち売り切れてしまう勢い! 面食をあれこれ買って帰るのも、ここに来る楽しみのひとつとなりそうです。

煎餅果子(ジェンビングゥォズ)。粉と卵を合わせた薄焼き生地に特製の味噌を塗り、油条や香菜をぐるりと巻いた軽食。詳しくはこちらで。
炸糖糕(中国のシュガーケーキ 砂糖・黒胡麻入り)

蘇我というとかなり遠いイメージがあるかもしれませんが、京葉線で少し足をのばせばあっという間。蘇我駅東口を出てすぐからすぐなので、東北の特色ある麻辣燙や面食を楽しみにお出かけください。

東北麻辣燙

千葉県千葉市中央区南町2-9-10 第2京葉ビル1F(MAP)※JR蘇我駅東口すぐ
TEL 043-262-1055
麻辣燙・一部の面食はクール便にて全国配送可能
注文はWechatで受付:Wechat ID LIU329968279


text & photo :アイチー(愛吃)
中華地方菜研究会〜旅するように中華を食べ歩こう』主宰。中華料理にまつわるコーディネート、アドバイス、監修などを行う。一つの「食」を愛し、味も知識も徹底的に極めた「偏愛フーディスト」がプロデュースする期間限定レストラン『偏愛食堂』中華料理担当として、多彩な中華地方菜の楽しさを伝えている。★アイチー執筆・出演記事はこちら