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中華メニューの解読法 家常

2012/10/1up

家庭風

【家常】jiā cháng ジャー チャン

「家常(ジャーチャン)」とは、中国語で家庭の日常、普段の暮らしのこと。柴田書店の『中国料理小辞典』によれば、「四川でよく用いられる味つけ。家庭に普段からある豆瓣醤、塩、醤油で調味する」と定義されています。しかし、最近の中国のウェブサイトや料理本では、その本来の意味を踏襲し、その地域ごとに、家庭にある調味料や手に入りやすい食材を用いて調理された料理を「家常」としているものも少なくありません。つまり、広義では「その地域でよくある味付け」というわけですね。

実際、「家常」は中国の街の看板や日本の中華料理店のメニューで非常によく見る単語です。料理では「家常」+「食材名」または「家常」+「料理名」という組み合わせで使われており、その代表選手が「家常豆腐(揚げ豆腐と豚肉の煮込み)」。ごはんによく合う、コクのある豆腐の煮込み料理ですね。

家常豆腐
家常豆腐


また、「家常菜(ジャーチャンツァイ)」もなじみのある料理用語です。これは「家常(家庭の日常)」と「菜(ごはん・おかず)」からできている言葉で、つまりは家庭料理のこと。
中国のレストランの看板では、上海家常菜(上海家庭料理)、長春家常菜(吉林省・長春家庭料理)、東北家常菜(中国東北地方の家庭料理)、南方家常菜(中国南方の家庭料理)など、「地域名」+「家常」または「地方名」+「家常」という組み合わせをよく見ますが、れはその地方のおふくろの味がウリ、ということです。こうした店がたくさんあるのも、広大な国土を持つ中国らしいですね。

さらに「家常菜」は、「人名」と組み合わせることもあります。例えば、北京を中心に展開している有名なレストランチェーンに「郭林家常菜」というお店がありますが、これは「郭林(カクリン)さんちの家庭料理」といったところ。

つまるところ、「家常」も「家常菜」も、よく見る単語ながら、それだけでは調理法も味付けもイメージすることができません。なぜなら、地域によってその土地で好まれる味付けが異なりますし、作り手の考え方によっても「家常」という名前の使い方に違いがあるからです。そういう点では、身近なようで最もわかりにくいのが「家常料理」といえるかもしれません。

郭林家常菜
「郭林家常菜」は、看板に描かれた2匹の子豚のキャラクターが目印。現在、北京市内に多くの店舗を構えている人気店です。



「家常」な料理





参考文献 
『中国料理技術大系 烹調法』社団法人日本中国料理調理士会 編(2000年)
『中国料理小辞典』福冨奈津子 著(柴田書店 2011年)
Text 山田早苗


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記事公開日: 2012/10/1

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