photo by Onka

おいしそうな惣菜がずらりと並んだ台の上から、その日の気分で自分の食べたいおかずを選び、自分だけのお弁当や定食が作れる店。台湾の街中で、こうした飲食店を見たことはありませんか?

これは台湾では自助餐(ズジュツァン|zìzhùcān)と呼ばれる飲食店のスタイル。自助餐の「自助」はセルフサービス、「餐」はごはんや食事の意味で、自分で料理を選ぶ食べ放題の店も、この自助餐に含まれます。

台北の自助餐。おかずがずらりと並んだ台。目移りして選べないほど!Photo by Takako Sato
台北の自助餐。肉も野菜も魚も!近くにあったら毎日通ってしまいそう。Photo by Takako Sato
台湾の自助餐。バットの上にお皿が乗っているのがいかにも台湾らしいですね。Photo by Yuka

ここ数年間で、日本には魯肉飯、鶏肉飯、台湾料理の弁当を食べられる店がだいぶ増えましたが、ありそうでなかったのがこの自助餐スタイルです。

「温禾(おんか)台湾食堂」で自分だけの台湾弁当を作ろう!

外観。photo by Tsutomu Kosugi

2024年1月、東京・淡路町にオープンした「温禾(おんか)台湾食堂」は、待望の自助餐スタイルのお弁当屋さんです。

お店の場所は淡路町、小川町、神田、秋葉原各駅から徒歩圏内。1階では好きなおかずを選んでお弁当を買うことができ、2階の広々としたスペースで、購入したお弁当を食べることができます。

注文方法は、1階のおかずコーナーで肉または魚のメイン料理を1種類選び、さらに6種類の副菜から2種類を選ぶスタイル。台湾人シェフが作るおすすめのおかずをうかがうと、白菜滷(白菜の煮込み)三杯鶏だそう。

1Fの選べる台湾料理の数々。副菜は基本的に6種類を常備。
野菜をたっぷり使った副菜もよりどりみどり。
炸鶏腿(鶏モモ肉の唐揚げ)、炸排骨(台湾式トンカツ)、炸魚片(白身魚フライ)など揚げ物も充実。
鶏肉の煮込みもそそられます。

ポイントはおかずのチョイス。台湾式日替わり弁当の楽しみ方

この自助餐は、おかずの選び方によって、軽めにも重めにもできるのがいいところ。

例えば、この店は副菜でも肉料理を選べるので、控肉(コンロウ:軟らかく煮た豚の三枚肉。台湾式豚の角煮)をメイン料理にし、副菜のひとつを魯肉(ルーロウ)とすると、かなりのボリュームになります。

また、台湾を感じる副菜のひとつが、甜不辣(てんぷら|tiánbùlà)です。台湾ではてんぷらといっても、日本の天婦羅ではなく、さつま揚げのこと。この呼び方は、日本統治時代に西日本の人が多く台湾に住んでいた影響もあるかと思われます。そもそも弁当(台湾では便當)も日本語由来ですしね。

控肉(コウロウ:台湾式豚の角煮)をメインに選んだお弁当。器は丸型と四角がありますが、イートインは丸型、テイクアウトは四角。魯肉飯と控肉飯は丸型となります。
排骨をメインにしたお弁当を、自宅でどんぶりに盛り付けてみました。
鶏もも肉の煮込みがメインのお弁当。
排骨(台湾式トンカツ)がメインのお弁当。(前出でどんぶりに盛り付ける前のもの)

また、選べる副菜とは別に、滷豆腐、滷蛋、香腸(台湾式腸詰)を単品で注文できます。ちょっと足りないなと思ったら、これらを足してもいいでしょう。

写真手前の三角形のものが滷豆腐、隣が滷蛋。奥に香腸が見えます。
魯肉メインですが、追加で加えた香腸や卵の主張が強めのお弁当。

気になるお味は、全体的にしっかり味付けされており、強烈なスパイスは感じないさじ加減。もっとパンチがほしい方は、2階にある白胡椒をかけ、より台湾的にする手もあります。

また、2階ではごはん(白飯)のおかわりを好きなだけできるのも魅力。夕方からは副菜だけの販売もあり、ビールに副菜で軽く飲むのもよし。2階には電源コンセントが多くあり、充電環境が整っているのもよいです。

2Fフロア。カウンターとテーブル席が人数に合わせて選べるほか、電源も充実しているのがありがたいです。
「ご飯のおかわり無料!」育ち盛りにありがたい…。
持ち帰り用のパッケージには、台湾各地の美食がイラストで描かれています。

2月はプレオープン期間中でしたが、2024年3月中にいよいよグランドオープン予定。これからスープの販売も予定しているほか、メイン料理も副菜も季節ごとに揃えていく予定だそうで、いろいろな台湾料理と出会えそうですね。私はすでに何度か行っていますが、毎回違う副菜を楽しめています。

次のページでは、台湾の「自助餐」に欠かせない1ジャンルといえる「素食」についてご紹介します。

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