青梗菜や空芯菜、ター菜など、今ではすっかり身近になった中国野菜。それらを他の地域に先駆けて、栽培・商業流通させた地域が、千葉県柏市ということをご存じでしょうか。
常磐線で上野まで快速で28分。
そんな柏市で、9月~10月下旬、マコモが収穫の時期を迎えています。現在、マコモといえば台湾産が普及していますが、実は日本にも古来からある植物で、収穫の旬は秋。国産を味わうならまさに今なのです。
その風味を表現するなら、エリンギ×新物のタケノコ×ヤングコーン。ふかっとして色白なところはエリンギ、ほのかな甘さはヤングコーン、もしくはえぐみのないタケノコを彷彿とさせるもの。
また、加熱してもへこたれないため、炒めもの、煮込み、焼きもの、揚げものと幅広い調理に使えるところが魅力。白さを生かして、鶏肉やエビなどと塩味の炒めものにしてもおいしいです。
幡ヶ谷「酒廊 而空」のマコモ料理。
5年育ててノウハウを蓄積。生産量、品質ともに向上中!
さて、現在柏市で、このマコモを名物にしようと栽培に取り組んでいるのは「柏市コミュニティ植物医師の会」。
同会は、東京大学のアカデミックサポートにより、市民が植物医科学を学び、野菜や花卉、薬用植物を育てているほか、病害虫診断や講習、地域の農業緑地県境整備などに取り組む市民団体。
同会「マコモ部会」の荒さんに話を聞くと「栽培に着手したのは、有志で取り組んでいた2012年からです。旬は毎年9月~10月下旬の2か月弱と短いものの、多い日には60kg~100kgもの収穫があります」とのこと。
収穫が遅れたときに根に生じる黒い斑点は、お歯黒の原料となっていた歴史も。
今年からは市内の浜島農園と協同栽培を手掛けており、収穫期には、柏市高田の「かしわで農産物直売所」で販売されるほか、併設の農家レストラン「さんち家」で、まぜごはんや天ぷらにして提供。
10月に開催される「あけぼの山農業公園祭」では、毎年マコモ部会が直売しているそう(2017年は10月14日(土)に開催)。
今年の価格の目安は1kgあたり8~12本で1,100円~1,500円。卸もほぼ同額で、現在は柏市内のレストランを中心に提供中しています。
一挙両得!マコモ栽培で環境美化も!
ちなみにこのマコモ、根は中国料理の食材としてはおなじみですが、日本ではその葉が利用され、島根県の出雲大社では神事に使われてきた歴史があります。
さらに近年は、水質浄化や環境の低炭素化を目的に栽培されることもあり、休耕田などを利用した栽培が日本各地でさかん。
マコモはイネ科。
栽培は、5月に植え付け、真夏は除草、9月~10月が収穫と、すべてが完全手作業。それゆえ、他の地域では比較的高値で取引されていますが、柏のマコモは今年豊作。お求めやすい金額のようです。
旬が短く、生産量には限りがありますが、旬のこの時期しか味わえない国産マコモ。ぜひこの機会に味わってみてはいかがでしょうか。
業務用のお問い合わせ
●浜島農園 小売のお問い合わせ ●かしわで農産物直売所 |
圃場写真提供:中国料理 文菜華