遠目に見ると小さなきゅうり。その断面をカットすると、とびこ(飛び魚の魚卵)のような果肉がぎっしり詰まった、フィンガーライムをご存じですか。
一見ミニきゅうり。表皮を遠目に見ると、アボカドの皮にも似ています。
実はこのライム、青花椒に似た香りが特徴。その形からキャビアライム、フルーツキャビアとも呼ばれており、一部では知られていたものの、量産化が難しく、市場にはほぼ出回っていませんでした。
そこで、5年前に愛媛県八幡浜市の株式会社TENが本格的に栽培を開始。試行錯誤を経て、今年7月に初出荷を迎えたのです。
デザートやドリンクにおすすめ!フィンガーライムの使い方
中華で花椒というと、赤と青(緑)がありますが、フィンガーライムが似ているのは青花椒のほう。
青花椒そのものは、油にその麻(マー:痺れ)を抽出して和え物に使ったり、挽いて香りを楽しんだり、細かく刻んでソースにするといった用途があります。
一方、このフィンガーライムは、デザートやドリンクに青山椒のような爽やかな香りを加えることができるスグレモノ。そもそも山椒はミカン科サンショウ属なので、同じ柑橘ベースの香りなのも納得です。(※痺れはありません)
原産のオーストラリアでは、グラスの底にフィンガーライムの粒を少量を入れ、スパークリングワインを注いで“しゅわしゅわ感”を増幅させたり、カクテル等で楽しむのが定番。
泡とともにフィンガーライムの粒がふわりと上がっていくのを見ていると、思わず非日常にいざなわれます。
シャーベットやアイスクリーム、ゼリー系にあしらうのもおすすめ。青山椒に似た香りは皮に含まれているため、ナイフで削いだり、下ろし金で下ろすと、より香りが際立ちます。
緑からピンクまで色とりどり!フィンガーライム栽培秘話
「実はフィンガーライムって、200種類超もあるんですよ。うちで育てているのはその中の一部ですが、果肉の色味はグリーンからピンク色まで幅があります」。
そう話してくれたのは、フィンガーライムに魅せられ、努力の末に実をならせた株式会社TENの梶谷高男社長。
「5年育てて商業ベースで出荷できるようになったところで、2017年は年間50kgが目標。これから樹木が大きく育てば、出荷量も増えると考えています」。
ちなみにこのフィンガーライム、1本あたり平均17gの果肉が詰まっており、これ1本でスパークリングワインのボトル1本分は使えるとのこと。
業務用の販売は始めたばかりで、1本300~500円を想定。年間を通じて収穫できる体制を整えており、銀座の商業施設「GINZA SIX」の「10FACTORY(テンファクトリー)」でも販売することもあるそうです。
モダンオーストラリア料理やフレンチ等で使う店がちらほら出てきたばかりで、中華ではまだまだ珍しい、しかし夢は広がるフィンガーライム。ゲストの驚く顔を想像しつつ、料理のアクセントにしてみてはいかがでしょう。
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TEXT&PHOTO サトタカ(佐藤貴子)