2008年版(2007年発行)からスタートし、2024年版(2023年発行)で17回目の刊行となる『ミシュランガイド東京』。

世界中の美味が集まる東京は、世界で最も多くのミシュランスターが輝く都市。今年は過去最高の504軒のセレクションのうち、三つ星12軒、二つ星33軒、一つ星138軒、ビブグルマン127軒、新カテゴリとしてセレクテッドレストラン(調査員が薦めたいレストラン)194軒、ミシュラングリーンスター(サステナブルガストロノミーを実践するレストラン)11軒となっています。

中国料理店の掲載は、2018~2020年版は26軒、2021年版は27軒、2022年版は25軒、2023年版では22軒と推移しており、2024年版は35軒。そのうち、星付きとビブグルマンは18軒、セレクテッドレストランは17軒となりました。さっそく掲載店をご紹介していきましょう。

※()内は所在区/最寄り駅です。
※新たに加わった店はNEWマークをつけています。

[三つ星]日本が世界に誇る中国料理店。

茶禅華(港区/広尾)
『茶禅華』のふかひれと上海蟹の煮込み。

三つ星の定義は「そのために旅行する価値のある卓越した料理」を提供しているレストラン。日本初にして日本唯一、中国料理店の三つ星となった『茶禅華』が、4年連続でその栄誉に輝きました。

同店の根幹にある想いは「和魂漢才」。中国の料理を軸に、日本の食材で、日本の精神性をもって表現された中国料理の世界は、まさにここでしか体験できないもの。世界中のフーディーを惹きつけてやまない、日本が誇るレストランといえます。

[二つ星]昨年同様の不在。

二つ星の定義は「遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理」を提供しているレストラン。

『ミシュランガイド東京2024』全体では33軒ありましたが、4年連続で中国料理店の二つ星はありませんでした。セレクションはフレンチと日本料理が中心となっています。

[一つ星]実力も個性も兼ね備えた9軒。

一つ星の定義は「近くに訪れたら行く価値のある優れた料理」を提供しているレストラン。とはいえ、ふらっと訪れて入れる店はほぼないかと。『ミシュランガイド東京2024』では138軒、中国料理はそのうち9軒です。

慈華(itsuka)(港区/外苑前)
一平飯店(港区/麻布十番)<記事はこちら
港式料理 鴻禧(こうき)(港区/虎ノ門)NEW
中国飯店 琥珀宮(千代田区/東京)
ShinoiS(シノワ)(港区/白金高輪)<記事はこちら
Series(シリーズ)(港区/六本木)
飄香(ピャオシャン)(渋谷区/広尾)NEW記事はこちら
中国飯店 富麗華(ふれいか)(港区/麻布十番)
私厨房 勇(ユン)(港区/白金高輪)

選ばれているのは、実力も個性も備え、会食や記念日の集まりにぴったりのレストラン。新しく加わったのは『港式料理 鴻禧(こうき)』『飄香(ピャオシャン)』の2軒です。

まず、2022年7月にオープンした『港式料理 鴻禧』は、トミーさんの愛称で親しまれる香港人の覃志光シェフの技が堪能できる店。

魚の蒸し物、クリスピーチキンなど、どれもお手本のような仕上がりで、一度訪れたら「香港らしい料理を食べるなら香港に行くよりここがいいかも…」という気分になる人も少なくないはず。王道の料理が間違いなくおいしい、こういう店は貴重です。

『港式料理 鴻禧』のハタの蒸しもの。抜群の火の通し方に驚嘆!

そして『飄香(ピャオシャン)』は、四川料理の世界を深く追求されてきた井桁良樹オーナーシェフの現時点での集大成といえる店。

これまで井桁シェフが得た経験・技術・情熱を核に、独自の解釈で今ここでしか食べられない四川料理を提供しており、四川料理を知らない人はその奥深さとおいしさと楽しさを、四川料理や文化に精通する方には歴史や文化を紐解く喜びがあるはずです。

『飄香』のコースの一品より「松雲」。井桁シェフが弟子入りした『松雲澤』の名菜、肝油海参(ガンヨウハイシェン:豚レバーとナマコの煮込み)をもとにした料理。

また、一つ星9店舗のうち、『一平飯店』『港式料理 鴻禧』『ShinoiS(シノワ)』『私厨房 勇(ユン)』は、カウンターがメインの店というのも特筆しておきたいところです。

[ビブグルマン]誰かを誘って楽しみたい!気取らない8軒

ビブグルマンの定義は「良質な食材で丁寧に仕上げ、価格以上の満足感が得られる料理」を提供する店。『ミシュランガイド東京2024』では127軒中、中国料理は8軒紹介されています。

jeeten(ジーテン)(渋谷区/代々木上原)
仙ノ孫(杉並区/西荻窪)
中国菜 膳楽房(新宿区/神楽坂)
なかの中華!Sai(中野区/中野)
日々の中華食堂(渋谷区/代々木上原)
中国四川料理 梅香(メイシャン)(新宿区/神楽坂)
湯気(中野区/新中野)
REI(渋谷区/代々木八幡)

『仙ノ孫』の回鍋肉。皮つき豚バラ肉に葉ニンニクを使った四川式。

いずれも気取らずに楽しめ、「おいしいものを食べに行こう」というときに選ばれる店ですね。また、各店ともにファン、リピーターがついている店でもあります。

[セレクテッドレストラン]インスペクター(調査員)が紹介したい17軒

2024年版で新たに加わったのが「セレクテッドレストラン」。ミシュランガイド公式ウェブサイトによると、こちらは「インスペクターが紹介したいレストランを、先行公開」していくものです。こちらは194軒のセレクションで、中国料理は17軒です。

麻布 勇(港区/乃木坂)
O2(オーツー)(江東区/清澄白河)
広東名菜 赤坂璃宮(港区/赤坂)NEW
Ji-Cube(ジーキューブ)(港区/六本木)NEW
旬華 なか村(中央区/東日本橋)NEW
新富町 湯浅(中央区/新富町)NEW
Sense(センス)(中央区/三越前)
東京チャイニーズ 一凛(中央区/新富町)NEW
中国菜 漢(中央区/八丁堀)NEW
Toki(目黒区/目黒)NEW
ヘイフンテラス(中央区/日比谷)
MIMOSA(ミモザ)(港区/表参道)
YAUMAY(ヤウメイ)(中央区/東京)NEW
遊猿(新宿区/四谷三丁目)
乃木坂 結(港区/乃木坂)
の弥七(新宿区/四谷三丁目)NEW
ワキヤ 一笑美茶樓(港区/赤坂)NEW

セレクテッドレストランは星などの評価はなく、適宜公式ウェブサイトで発表するという流れ。年に1度のガイドブックだけでなく、ウェブやアプリで継続的にレストランに関心を高めることができるコンテンツとなりそうですね。

中国料理のセレクテッドレストランにはミシュランガイド新顔も多い一方で、従来の一つ星やビブグルマンも入っている模様。新たな店を探している方は注目したいカテゴリーです。

『旬華 なか村』。シェフの調理が間近で見られるカウンター席は、食いしん坊の友人と訪れるのにぴったりの特等席。料理は広東料理がベースです。
『の弥七』。日本料理の技と感性を取り入れながら、食後はしっかり中華。オーナーシェフの山本さんの料理をこよなく愛する常連さんがついています。

『ミシュランガイド2024』は、12月8日のガイドブック発売に先駆け、現在オフィシャルサイトで掲載レストランを紹介中。ぜひこれを機に、改めて訪れたいレストランを探してみてはいかがでしょうか。

過去の『ミシュランガイド東京』掲載の中華料理店はこちら(2016年~)


TEXT & PHOTO サトタカ(佐藤貴子)