「中華の腕を上げたい。でも、なかなか教室が見つからない」。
「プロとしてやっているが、もう少しメニューの幅を広げたい」。

そんな方におすすめの料理教室が、日本橋箱崎町にあることをご存じでしょうか。

先生は都内名店で活躍する現役の人気シェフ。場所は半蔵門線・水天宮前駅から徒歩5分、中華食材専門店「日本橋 古樹軒(こじゅけん)」の2F。外からは一見わかりませんが、実はここに、25年以上も続く中国料理教室があるのです。

成毛先生

日本の中国料理界を代表するシェフが勢揃い!

同教室は開校以来、中華の技に定評のあるシェフが歴任。2015年の布陣もそうそうたるメンバーで、

・山崎 正  先生(ホテルオークラ中国料理 桃花林 日本橋賓館 料理長)
・菰田 欣也 先生(四川飯店グループ 取締役総料理長)
・成毛 幸雄 先生(神田 雲林 オーナーシェフ)
・小林 武志 先生(御田町 桃の木 オーナーシェフ ※ミシュラン1つ星店)
※順不同

と、食に興味のある方なら、きっと名前を耳にしたことがあるシェフも多いはず。

また、月に1名「月替わり講師」が登場するのも見逃せません。例えば、2015年3月は井桁良樹先生(老四川 飄香 オーナーシェフ)の四川料理、4月は山口祐介先生(中華香彩 JASMINE 総料理長)の江南料理など、人気店のシェフも登場します。

 

 

80Cのトップページにも掲載している「うまそう画像」は、この料理教室のメニューをご紹介しています。

教室で教わるのは毎回3品。内容は先生におまかせで、店の人気メニュー、定番の味、季節の味、留学中の思い出の料理などさまざまですが、その料理にまつわるエピソードを聞きつつ教わるのは、単に食事にいくのとは違った楽しさと学びがあるもの。もちろん質問などがあれば、先生に直接尋ねることもできます。

では、実際の教室はどんな感じなのでしょうか。
2月に80C編集部員が参加した、成毛幸雄先生(神田雲林 オーナーシェフ)の教室の様子をご紹介いたしましょう。

モニタール
先生の手元はモニターで大きく映し出されるので、まな板の上や鍋の中も確認できます。

調理の音、香り、味でプロの技を実感!

この日のメニューは2月半ばということで、旬の素材の春巻、身体が芯から温まりそうな煮込み、バレンタイン向け創作点心をご紹介。まず1品目は、ちょうどお店でも季節の料理として出されていた「真鱈と白子の春巻き 塩代わりのカラスミ添え」(中国語料理名:母子鱈春巻)です。

材料は、真鱈とその白子という同じ魚由来の素材に、早春の味覚・春筍とそら豆を取り合わせ、風味付けにザーサイと大葉を使用。“春を巻く”という言葉の通り、軽やかに旬を封じ込め、カラスミパウダーを塩替わりにいただく、玄人好みのひと皿です。

母子鱈春巻

春巻というと誰もが食べたことのある、親しみのある点心ですが、実は「巻く素材によってコツが異なります」と成毛先生。特に鱈や白子は水が出やすい素材なので、見た目に美しく、カリッと揚げるために、実は一緒に生湯葉を巻いているのだとか。

また、揚げ時間を短縮する裏ワザや、春巻を割らずに揚がり具合を確認する方法など、素人では知り得ない目からウロコのマメ知識も。「お土産などでいただいたカラスミにえぐみを感じる場合、それを消すにはどうしたらいいか?」といった、他ジャンルにも応用の効きそうな素材の下ごしらえも勉強になります。

続く2品目は「牛バラ肉と揚げ大根の柔らか醤油煮込み」(中国語料理名:蘿卜焼牛腩)で、大根と長ねぎ、牛肉の風味が溶け合った、こっくりとした煮込み。さきほどの一品とは対照的に、身近な食材で作れる料理で、ごはんのおかず、お酒の友、お弁当など、幅広い食のシーンが思い浮かびます。

蘿卜焼牛腩

「大根の煮ものはよくある料理ですが、表面を揚げることで、その甘味がぐっと引き出せます。また大根を揚げる時は、切ってすぐなら160~170℃の油で。切ってしばらく時間が経つと、大根の表面が乾いてしまい、同じ温度で揚げてもすぐ焦げてしまうので注意しましょう」と、ここではレシピに書かれていないコツをしっかり伝授してくれる成毛先生。

さらに素材を油に入れたときに生じる、泡の大きさの目安や、鍋の大きさと口径に対する煮込み時間など、ちょっとした目安も教えてくれました。こうして作られたものを口にすると、シンプルな料理だからこそ、押さえどころを知ることで、ひと味違うおいしさを作り出せるのだと実感できますね。

成毛先生

そして最後の料理は、オリジナルの点心。この日は2月の講座だったため、ココナッツ団子をアレンジした「ココナッツとチョコレートのバレンタイン点心」(中国語料理名:巧克力糯米糍)が登場です。

巧克力糯米糍

成毛先生は台湾で点心の修行をされていた経験があるため、教室では点心が登場することも多々あるのだそう。

しかし、点心は上手な人が作ると簡単そうに見えますが、慣れない人がやってみると、均等な量かつキレイな形に整えるのは難しいもの。そのコツを、修業時代の「今だから話せるエピソード」を織り交ぜつつ、何度も丁寧に繰り返し披露してくださいました。

成毛先生

しかもこの日は試食分に加えて、生徒さんにお土産用点心のプレゼントも…!
仕込み済みのお団子と、ココナッツパウダーがそれぞれ別に包まれているため、家で作りたての食感が楽しめるという配慮に、生徒さんもニコニコです。

成毛先生

こうして約2時間の講座は、調理→試食→調理→試食と進み、最後に質問を受け付けて終了。もちろん、わからないところがあれば適宜質問も可能で、専門的な食材があれば、1Fの店舗で購入することもできます。

実は一般的な料理教室と比べると、内容が専門的なだけに、生徒さんには食のプロも少なくないこの教室。一歩踏み込んだマニアックな質問にも、プロの見地から真摯に答えていただけので、料理を追及する方にとっては、きっと勉強になるはずです。

また、会費は1回ごとに現金精算ゆえ、毎月続けなければいけない負担がないのも嬉しいところ。気になる先生がいらしたら、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょう。

日本橋 古樹軒の中国料理教室『中国料理の友』

開催日:毎月第2~3週にかけて月5回(1月、8月、12月は休講)
時間:13:00~15:00
会費:1回5000円(税込)
料理:3品(試食・レシピ付)
※人数は最大36名まで

2015年の講師

・山崎 正  先生(ホテルオークラ中国料理 桃花林 日本橋賓館 料理長)
・菰田 欣也 先生(四川飯店グループ 取締役総料理長)
・成毛 幸雄 先生(神田 雲林 オーナーシェフ)
・小林 武志 先生(御田町 桃の木 オーナーシェフ ※ミシュラン1つ星店)
※順不同

月替わり講師は日本橋 古樹軒のサイトからご確認ください。

 


TEXT 佐藤貴子
PHOTO 料理教室:佐藤貴子/うまそう画像:西田伸夫