【抜絲】bá sī バー スゥ

抜絲(bá sī バー スゥ)とは、食材を揚げ、艶やかに飴がけした料理のこと。主にバナナ、さつまいもなどで作られる、デザートのようなお料理です。
これは甘い料理、すなわち「甜菜」に分類される北京料理で、中国東北部の宴席などで時々出されるもの。抜絲をオーダーすると、目の前で飴がけの仕上げをしてくれることがほとんどですので、臨場感があり、なかなか盛り上がる一品でもあります。

抜絲には「糸(絲)を引く」という意味がありますが、これは作りたての飴を引っ張ると、まるで糸のようになる状態から名付けられたもの。特に日本人にとっては、さつまいもの抜絲が一番イメージしやすい味かもしれません。そう、おやつでおなじみの大学芋の、あの味です。しかし抜絲と大学芋は似て非なるもの。その違いはいったい、どこにあるのでしょうか?

小芋の飴がけ 小芋の飴がけ

『中国料理技術大系 烹調法』によれば、抜絲は「糖液は泡立って黄色く色付く程度まで煮詰め、火から下ろして材料を加え、手早くからめ合わせて上卓する」とあります。一方、大学芋は、みりん、醤油、砂糖などを合わせたシロップを熱し、飴状になった時点で材料とからめるのが一般的。

つまり、抜絲は大学芋よりも飴(糖液)の糖度が高いため、食材の表面がカリカリとした食感になり、抜絲の最大の特徴である「糸引き」が生じます。また、用いられる糖液も、砂糖を水に溶かして作る「水炒糖」、油に溶かして作る「油炒糖」の2種類があり、お店によって製法が異なります。

サツマイモの飴がけ釣魚台式 油炒糖の技法で作られた「サツマイモの飴がけ釣魚台式」
(古樹軒の料理教室「中国料理の友」より、御田町桃の木オーナーシェフ 小林武志先生の料理)

また抜絲は、飴をからめた食材を一度冷水に取り、表面を急激に冷やし固めて、カリカリの食感になったところで提供されます。さらに下の写真のように、水の入った小さいお椀が添えられていることも(※右側にあります)。この水は、高温になった飴でやけどをしないようにするためとも、水にさらすことによって、抜絲の表面をさらにカリカリにしておいしくするためとも考えられています。しかし、浸しすぎるとシナシナとした食感になってしまうので注意しましょう。

抜絲香薫 抜絲香蕉(バナナの飴がけ)中国河北省のレストランにて撮影

料理名はシンプルに「抜絲+食材」の組み合わせになります。バナナなら抜絲香蕉、サツマイモなら抜絲紅薯、メロンなら抜絲哈密瓜、山芋なら抜絲山薬…。日本では抜絲をサービスができる店がどんどん減ってきていますので、見かけたら、ぜひ頼んでみてはいかがでしょう。


「抜絲」な料理

抜絲紅薯抜絲紅薯
(抜絲×さつまいも)
抜絲草苺抜絲草苺
(抜絲×いちご)
抜絲栗子抜絲栗子
(抜絲×栗)

 


 

 

 


参考文献
『中国料理技術大系 烹調法』社団法人日本中国料理調理士会 編(2000年)
『中国料理小辞典』福冨奈津子 著(柴田書店2011年)
Text 山田早苗(古樹軒)


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中華・高橋が作るよだれ鶏のタレ

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