日本酒愛が止まらない！「麻辣先生」範さんが選ぶ日本酒と四川料理
「麻辣先生」のオーナー、範徳龍さんは日本酒が大好き。中国料理と日本酒は合わせ方次第で双方を引き立てることが出来るのに、その可能性はまだまだ知られていない…。
そこで昨冬オープンした「麻辣先生 日本橋店」には、満を持して範さん厳選の日本酒がずらり。今回のイベントにおけるペアリングとはまた別に、中国料理に合う日本酒をいくつか試飲させていただきました。そのうちの1本が、こちら。
滑らかな口当たりとのどごし、やさしい甘みと濃厚な酸は、中国料理全般に合いやすく、食後酒にも適しそう。今回試したR4BYは、特に濃厚さを感じました。
悦 凱陣（よろこび がいじん）純米酒 オオセト 無濾過生 R4BY 仕込み第38・39号
［香川県琴平町］丸尾本店（WEB）
原料米：香川県産オオセト
精米歩合：55%
アルコール分：17度以上18度未満
酒造年度：2022BY
製造年月：2023年11月
日本酒度：+13
酸度：1.9
アミノ酸度：1.3
使用酵母：熊本9号
仕込総米：1,000kg
醪日数：31日
＜丸尾本店＞
1885年（明治18年）年創業。香川県仲多度郡琴平町、四国讃岐こんぴらさん近くの蔵を構えます。幕末には高杉晋作や桂小五郎の身柄を預かっていたこともあるそう。蒸米には木製の甑と和釜を用い、純米も純米大吟醸も全ての酒に同じ手間暇をかけた酒造りを行っています。
続いては、鰆（さわら）の水餃子や、青菜を酸っぱく発酵させた漬物で煮込む酸菜魚（スァンツァイユィ）と心地よく楽しめたこちら。
米の甘みがふわっと広がり、後味はすうっと軽やか。すっきりした酸と程よい苦味が心地よく、魚料理となかなか良き相性です。
不老泉 山廃仕込 純米吟醸 亀の尾 無濾過生原酒 木槽天秤搾り R4BY
［滋賀県高島市］上原酒造（WEB｜Facebook）
原料米：青森県産亀の尾94%（もろみ） 滋賀県産山田錦6%（酒母）
精米歩合：55%
アルコール分：17度以上18度未満
酒造年度：2022BY
製造年月：2023年11月
日本酒度：+6
酸度：2.0
アミノ酸度：1.3
使用酵母：蔵付天然酵母
＜上原酒造＞
1892（文久2）年創業。琵琶湖の西岸、滋賀県高島市新旭町にある蔵。酵母添加をしない山廃仕込み、時間をかけた木槽天秤搾り、木桶仕込みの復活といったこだわりの製法で、辛口でも甘口でもない、米の旨味をしっかり引き出す「旨口」という味わいを創出しています。
鰆の水餃子は、範さんの故郷・山東省煙台市や、対岸の遼寧省大連市などでよく食べられているもの。範さんさんは、日本人は餃子も魚もよく食べるけれど、魚餡の餃子がないことを不思議に感じていたのだそう。この味を知ったら好きになる日本人、多そうですね。
また、酸菜魚はナマズを使った特別版。つるりとした口当たり、ふわりとした食感のナマズと穏やかな酸味のスープは、コース終盤でも箸が進むおいしさ！
ほかにも、本格成都老媽蹄花（豚足と白豆のトロトロ煮 特製つけダレ付き）や、豆と肉味噌をのせた重慶名物・豌雑麺（ワンザーミェン）も提供されました。
老媽蹄花は、豚足と白豆を4時間ほどトロトロになるまで煮込んだ一品。骨からトゥルンと離れるプルンプルンの肉から潤いを吸収！ つけダレをかけて齧るとまた旨し。スープも滋味深い。
〆の麺は、水・空気・地粉、豊かな自然環境に恵まれた、筑波山の麓の「松屋製麺所」に特注した、中太の平打ち麺を使用。もっちり食感で小麦の香りが濃い麺は、挽肉だれをしっかり纏わせます。本場重慶で使う黄エンドウ豆の代わりに大豆入り。美味しかった！
日本酒ペアリングは、中華料理の愉しみ方に新たな広がりをもたらすものでした！
今回はほぼ冷酒と合わせましたが、範さんはさらに探究を深め、燗の提案も取り入れていきたいそう。ペアリングのバリエーションがさらに増えれば、日本酒好きのお客さんも楽しめそうです。
ちなみに「麻辣先生」はSNSでのコミュケーションも活発。店舗からの告知だけでなく、お客さまへのお礼・要望やクレームへの対応・さらにやりとりから新メニュー追加のきっかけに至ることも！「『麻辣先生』の料理に、こんな日本酒が合うのでは？」という提案から、新展開があるかもしれません。
気になる方はぜひ「麻辣先生」、そして「四川料理と日本酒ペアリング先生」の門を叩いてみましょう！
本格四川料理 麻辣先生 日本橋店
東京都中央区日本橋本町3-2-12 日本橋小楼ビル1階（MAP）
TEL 03-6910-8388
営業時間 11:00-15:00 17:00-23:00
年末年始休業
店舗X（旧Twitter）
https://twitter.com/MARASENSEI2022
※キーワードは #麻辣先生ウソつかない #マジメ中華 です！
★当記事に記載している日本酒の表記およびスペックは、蔵元が公開している情報（ボトルに書いてある情報含む）に準じています。
text & photo ：アイチー（愛吃）
『中華地方菜研究会〜旅するように中華を食べ歩こう』主宰。中華料理にまつわるコーディネート、アドバイス、監修などを行う。一つの「食」を愛し、味も知識も徹底的に極めた「偏愛フーディスト」がプロデュースする期間限定レストラン『偏愛食堂』中華料理担当として、多彩な中華地方菜の楽しさを伝えている。★アイチー執筆・出演記事はこちら
撮影協力：アベシ（範さんポートレイト・日本酒）
