日本におけるビャンビャン麺の伝道師であり、飲食店のみならず、カップ麺の監修やグッズの販売など、多方面でビャンビャン麺文化を牽引する「西安麺荘 秦唐記(しんとうき)」

そんな同店が10月17日(火)、5店舗目となる東武練馬駅前店をグランドオープン!これまでの店舗は都心から23区東部に集中していましたが、このたび初めて北西部へ進出。“ビャンの歴史”に新たな1ページが加わりました。

最寄駅は東武練馬駅。北口を出て、イオン手前の交差点を右折したらすぐです。

店長は新川本店の元常連。ビャンビャン麺をこよなく愛するファンだった!

「西安麺荘 秦唐記 東武練馬駅前店」の店長は、茅場町に勤める証券マンを経て、「中国料理 水晶楼」のオーナーになった周さん。茅場町時代は、職場から近い「西安麺荘 秦唐記 新川本店」の常連のひとりで、よくビャンビャン麺を食べに行っていたとか。

秦唐記全店の総料理長である馮さん(写真左)と、東武練馬店店長の周さん(右)。馮さんについては2020年2月の記事をどうぞ

お気に入りの一杯は、ヨウポー(油溌|油泼)・トマトたまご・ジャージャン(炸醤|炸酱)の「西安定番の味」が一碗で楽しめる全盛り麺(全套麺|全套面)や、賽の目切りの具材がゴロリとのったチーシャンサオズ麺(岐山臊子麺|岐山臊子面)

生まれ育ちは北京ですが、お母さんのお腹に宿った地は西安。産まれるまでは西安料理ですくすく育ち、「魂の深きところに縁を感じる」と、熱き西安愛に溢れています。

定番メニューに加えて、ビャンビャン麺の「麺譜」が登場!

そんな周さん率いる「西安麺荘 秦唐記 東武練馬駅前店」は、既存の4店舗とは少しメニュー構成が異なります。なぜなら、この店の前身となる「中国料理 水晶楼」の料理も受け継いでいるからです。

「中国料理 水晶楼」は2023年に開業25年を迎えた地元の老舗。しかし、高齢となった料理人の体調が芳しくなく、一品料理中心の業態では継続が難しい状況に。そこで周さんの脳裏に光を灯したのが、大好きだったビャンビャン麺でした。

こうした経緯から、この店では「水晶楼」の定番メニューを継承し、さらに新たな“目玉”として「西安麺荘 秦唐記」オリジナルメニュー、その名も「菜譜」ならぬビャンビャン「麺譜」を加えたスタイルに!

ビャンビャン麺のラインナップがまとまった「麺譜」。

店内には「水晶楼」の店名を記した墨宝がそのまま飾られていますが、実はこちら、雍正帝を遠祖として繋がる書家の愛新覚羅啓驤氏による書。元オーナーの友人だったそうで、25年前のオープン時に書いてもらったものです。

旧店名は愛新覚羅啓驤氏が揮毫。

「水晶楼」の名残を一掃せず、ビャンビャン麺との新たな出合いもプラス。これまで通い続けたお客さまも安心して通える上、さらに味わいの幅が広がった、というわけです。

料理のあとに、3ステップ注文で〆ビャンを楽しもう

料理もビャンビャン麺も充実した店とあらば、ここでは料理をたらふく食べたあとに、ビャンビャン麺で締めくくり!といきたいもの。

一品料理には、砂肝の葱麻辣和え、干し豆腐のピリ辛和え、葱醤油ダレかけ冷奴、クラゲのさっぱり冷菜といった定番の前菜や、お酒の進む羊肉串、春巻や小籠包、エビのサクサクスパイシーパウダーがけ、牛肉のオイスターソース炒め、油淋鶏、麻婆茄子など、慣れ親しんだ味わいがずらり。

干し豆腐のピリ辛和え
干し豆腐のピリ辛和え
羊肉串
羊肉串
春巻
春巻
油淋鶏
油淋鶏
牛肉のオイスターソース炒め
牛肉のオイスターソース炒め

気になるビャンビャン麺の注文は、3ステップ。

①味を選ぶ
「西安定番の味」汁なし(無汁|无汁)と、汁あり(湯麺|汤面)、合わせて11種類の味から選べます。

②麺の太さを選ぶ
幅1.5cmくらいのビャンビャン麺、もしくは、幅2cm超のベルト麺のいずれかの太さを選びます。
※ビャンビャン麺の一般的な区分でなく、注文しやすいように考案された、店舗独自の指標です。

③麺の本数を選ぶ
基本は3本。+150円で大盛り(4本)、−150円で少なめ(2本)です。

なお、ヨウポー麺(油溌麺|油泼面)、全盛り麺(全套麺|全套面)は辛さも選べます。

全盛り麺(全套麺|全套面)
ビャンビャン麺を混ぜ終えたら、まずは麺上げしたくなりますね。

参考までに、上の写真のビャンビャン麺は、全盛り麺・ベルト麺・麺2本・中辣(基本の辛さ)。汁なし麺は、提供されたらすぐにしっかり全体を混ぜ、太麺にしっかりタレを絡ませるのが美味しく食べるコツ。

3ステップの選択肢のほか、香菜、ゆで卵、肉の増量などトッピングも可能。カスタマイズして、自分好みの一杯を創ってみましょう!

店の目印は、日本最大の“ビャン字”!

気になる場所は、東武練馬駅北口を出てイオン手前の交差点を右折してすぐ。右を向くなり目に飛び込んでくるのは、巨大な“ビャン字”総画数50超、あの激ムズ漢字です。

「西安麺荘 秦唐記 東武練馬駅前店」外観。外看板には大きな“ビャン字”が!

既存店舗にも“ビャン字”が掲示されていますが、この看板は過去最大。つまり日本最大! 初来訪の人も、迷わず来られること間違いなし。“ビャン字”の手前には可愛らしいベンチも設置されていますので、ご来訪の際は、記念撮影もぜひ。

地元の皆さんは幾度も前を通るうちに、いつしかこの字を覚えてしまい、書けるようになってしまうかもしれません。ぜひ新たな特技に「激ムズ“ビャン字”を書けます!」と加えてもらえたら嬉しいです。

なお、プレオープン中に伺った際は、地元のご家族連れと思われる来客が絶えず、老若男女がビャンビャン麺を囲む光景が広がっていました。通ううちに、珍しい麺料理が身近な存在に変わっていくことでしょう。

麻辣ビャンビャン麺 photo by Tsutomu Kosugi

目指すは「一県一ビャン」!日本各地で本物のビャンビャン麺が食べられる日を夢見て

同店のオープンによって、東京の東西へ広がった「西安麺荘 秦唐記」のビャンビャン麺。

その活動は本国でも注目され、2023年10月15日付の現地機関紙「西安日報」では、秦唐記全店の総料理長を務める馮さんが“藍田勺勺客(蓝田勺勺客:西安市藍田県出身の厨師を指す関中方言の呼称)”として大きく紹介されています。

そこで馮さんが語っていたのが「一县一biang(一県一ビャン)」。つまり、目標は47都道府県に「西安麺荘 秦唐記」を開くこと! 全国の皆さん、地元への到来を楽しみに待ちましょう!

麻辣ビャンビャン麺 photo by Tsutomu Kosugi
西安麺荘 秦唐記 東武練馬駅前店

東京都板橋区徳丸2-3-1 徳丸スクエア1階(MAP)※旧 「中国料理 水晶楼」
※最寄駅名は「東武練馬」ですが、所在地は板橋区です。
TEL 03-6906-4585
営業時間 11:00-15:00 17:00-22:30(22:00L.O.)
※2023年10月中は無休。以後、年中無休に向け人員計画調整予定

ビャンビャン麺をもっと知ろう!80C(ハオチー)のビャンビャン麺記事はこちらから!

 


text & photo :アイチー(愛吃)
中華地方菜研究会〜旅するように中華を食べ歩こう』主宰。中華料理にまつわるコーディネート、アドバイス、監修などを行う。一つの「食」を愛し、味も知識も徹底的に極めた「偏愛フーディスト」がプロデュースする期間限定レストラン『偏愛食堂』中華料理担当として、多彩な中華地方菜の楽しさを伝えている。★アイチー執筆・出演記事はこちら