一塊で二度おいしい豚肉の使い方

黒ビール
黒ビールで煮ることで肉にコクが出ます。

日本発祥の冷やし中華。その具やタレにはさまざまなバリエーションがあって、お店ごとに個性が感じられるのが楽しいですよね。
こちらの冷やし中華も例に漏れず、ひと工夫ある一品です。特に麺の上に乗っている豚肉が、艶やかでとってもおいしそうに見えませんか。実はこれ、黒ビールで煮たお肉を使っています。

作り方はとっても簡単。肉の表面に塩、こしょうをしてしっかりと表面を焼き、豚バラ肉の塊300gに対し、缶ビール1缶(350ml)と水250mlで煮ます。ビールに含まれる炭酸と有機酸には、お肉のタンパク質をほぐす効果があり、アルコールには、さらにその効果を促進させる働きが。また、肉汁として外に出てしまいがちな水分を損なうことなく、お肉をジューシーに保つことができるんです。

タレは豚肉の煮汁を漉し、醤油などをブレンドして仕上げます。コクのある肉系の出汁をサッパリと仕上げる秘訣は生姜のしぼり汁を入れること。さらに仕上げに香味油を入れますが、このときに気をつけたいのが混ぜ合わせる順番です。最初に入れてしまうと、風味付けのゴマなどを入れたときに油でコーティングされてしまって味が乗らないため、「油は最後」と覚えておきましょう。

料理:小林 武志(御田町 桃の木
撮影:2012年7月 古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:涼拌麺(liáng bàn miàn / リィァン バン ミィェン)

冷やし中華そば 桃の木風


Text 長谷川亜紀
photo 西田伸夫