絵描きの食いしん坊にマストな道具は、水彩絵の具とストラスモア

香港の食と文化を愛するイラストレーターの小野寺光子さん。食いしん坊の日常になくてはならない道具とは?香港を楽しむための愛読についても聞きました。 ▶最初のページから読む
小野寺さんのアトリエ。左に照明、右に水彩。センターには愛用の紙が。

絵を描く人としては、旅先で出会った美味しいものをスケッチする携帯用の画材などご紹介すればかっこいいのですが…料理を目の前にした私は、スケッチなどはほぼしません。すぐに食べなくちゃ。

大事なのは、実際に自分の目で見て、食べて、心が動くこと。資料として撮った写真は見ますが、その時の感動をなんとか絵で伝えたい、伝われ!と思う気持ちが重要なのです。

料理を表現するときに使う画材は、主に透明水彩絵の具。みずみずしさや繊細さを表現しやすい画材だと感じています。同じ名前の色でも、日本、イギリス、オランダ…とお国柄によって色感が違ったりするのもおもしろいですよ。

色の系統ごとにしまってある、透明水彩絵の具。

好きな水彩画紙はコットン100%のストラスモア(インペリアル)。発色の良さも素晴らしいのですが、実は描いているときの手触りもとても大切。この紙は気持ちいい…んですが、なんと廃盤に。無くなる前に買い集めました!

水彩では、色がにじみ、ある程度計算はしつつも、じわりと混ざり合う偶然の美しさが、描いている最中の喜びでもあります。五感を使って対象を見たり、色を使ったりする感覚は、どこか料理に通じるものがあるな、と。そういえば美術系の仲間には、料理好きの人が多いかも。

愛用の紙はストラスモア(インペリアル)。終売なので在庫限りの貴重な品です。

また、料理の手順を描く場合は、写真以上に手順がわかりやすく伝わることを“目指して”います。

いい雰囲気でも「解説」にならないイラストは、見る側からするとストレスに。そのため、説明的な画は、鉛筆による線画か、iPadにApple Pencilを使って、明快な線で描くようにしています。

鍋や包丁を実際によく握る人の絵は、たとえシンプルな線画であっても、実感をともなっていてすぐにわかりますよね。自分でもそういう絵を描きたい、描けたらいいなぁと思います。

料理関係の道具でしたら、スープ用の土鍋「立湯煲」や、素焼きの「煲仔(砂鍋)」は大好きで、私には欠かせないものです。あと、丸いまな板も。

小野寺光子さんのキッチン。香港ではおなじみのスープ用の土鍋(写真奥)や、炊き込みごはんに重宝する砂鍋(写真左)がスタンバイ。

「食のバイブル」は香港の食材と風景を紹介する1冊

また、「食のバイブル」というと、美食ガイドなどを挙げるのが本来なのかもしれませんが、私の場合、普通の人々の日常の料理や食材に興味がいってしまいます。

何を買って帰れば、日本で香港の味を再現できるのか…? 何一つ知識がなかった時に出版されたのが、牛島直美さんの『香港こだわり食材百貨』でした(現在は絶版)。

この本は、香港よくで使われる食材や、身近な食の風景をいきいきと描き出したエッセイ。ここから生まれた興味は、今の「ジャスミンライスの炊ける匂い」の連載にそのまま繋がっています。

『香港こだわり食材百貨―「おいしい」いろいろ買って帰ろう』牛嶋直美 著(現在は絶版)。

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