夏の中華というと、ガツンとスタミナ系の料理や、辛くインパクトのあるものがフィーチャーされがちだ。しかし、夏に効くのは、辛さだけではない。特に蒸し熱い暑いときに食欲を呼び戻すのは“”だ。 

そもそも、中国料理における“酸”には、大きく分けて2つある。

ひとつは、「酢」の酸である。特に、中国料理に欠かせない黒酢はアミノ酸が豊富で、料理にコクも与えてくれる存在だ。

私のお気に入りは山西老陳醋。酸・綿(まろやかさ)・甜・香・鮮(うまみ)のバランスがよい。

そしてもうひとつは、「漬物」の酸である。

泡菜(パオツァイ:発酵野菜)や、酸菜(スァンツァイ:発酵白菜や発酵高菜)など、野菜の乳酸発酵から生まれるまろやかな酸味とうまみは、一度味わうとクセになるおいしさ。

中国料理には漬物を活用した名菜も数多く、泡菜が家にあると、炒めものや鍋料理などに重宝する。

自家製の泡菜。4~5%の塩水に野菜を漬けて乳酸発酵させるだけ。韓国の水キムチと同じ方向性のものだ。

言ってみれば、酢は調味料として加える酸、漬物は素材そのものが持っている酸。それぞれ活用すれば、夏の食卓は、もっと楽しく、おいしくなる。

[レシピ]黒酢の“酸”と熱々の油で香りMAX!ズッキーニの黒酢和え

まず、酢を使ったレシピだが、夏野菜の黒酢和えはこの時季助かるメニューだ。 黒酢はただ酸っぱいだけでなく、熟成香やうまみがある。シンプルな野菜の冷菜に黒酢を使えば、深いコクで箸が進む。

ここでは初夏から夏にかけて旬を迎えるズッキーニを使って、シンプルで飽きのこない凉拌菜(熱くない和えもの)のレシピをご紹介しよう。

[材料:ズッキーニの黒酢和え(熗拌西葫芦)]※2~4人前
ズッキーニ 1本(180~190g)
唐辛子(乾燥) 1本
にんにく 1かけ
黒酢 大さじ1
醤油 大さじ1
砂糖 小さじ1/2~1
油(こめ油など) 大さじ1

[作り方:ズッキーニの黒酢和え(熗拌西葫芦)]
1:黒酢、醤油、砂糖を混ぜ合わせてタレをつくる。

2:ズッキーニを薄切り(1mm程度)にする。ボウルやポリ袋に入れ、塩を小さじ1/2杯加え、軽く揉んで10分おく。

ズッキーニは中国の西葫蘆(シーフールー)、韓国のホバク・エホバクに食感が似ており、日本ではこれらの食材の代用となる。

3:ズッキーニから水分が出てきたら、塩を水で洗い流し、ギュッと水気を絞る。こうしてズッキーニを塩で軽く脱水すると、調味料とのなじみがよくなり、和えものが水っぽくなりにくい。

しなっとして、水分が若干出てきたら、水で流して絞る。ぬめりも取れる。

4:水気を絞ったズッキーニを皿に盛り、中央ににんにく(叩き潰してからみじん切り)、唐辛子(1cmの輪切り)を載せる。その上をめがけて、フライパンで熱々に熱した油を注いで香りを立たせる。このひと手間で、驚くほど香ばしい和えものができあがる。

にんにくと唐辛子目指して油をぶつけよう。ピントが合っていなくて申し訳ない

5:1の合わせ調味料を上からかける。オイルコーティングされたズッキーニの上から調味料をかけるので、食材が調味料をダイレクトに吸い込まず、軽やかに仕上がる。

6:混ぜ合わせてからいただく。


ズッキーニの黒酢和えは、黒酢の香り、唐辛子とにんにくの香ばしさ、生ズッキーニのやわらかくもコリッとした食感が小気味よく、食欲のないときでももりもり食べられる。

中国では千切りにして、麺のように箸で高く上げている動画をよく見るが、このレシピのように輪切りしたり、短冊切りにしてもOK。

手抜きをするなら、油を加熱しないで材料を混ぜ合わせてもいいのだが、やはり熱々の油を唐辛子とにんにくの上にかけるひと手間で、香りが爆発する。

このたれと調理法はきゅうり、蒸しなすなどにも応用可能。酸味・香り・油のバランスで、暑くても箸が進む一皿だ。

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