【魚香】yú xiāng (ユィ シャン)
◆中身 にんにく、ねぎ、しょうが、泡辣椒、豆板醤、醤油、甘酢(砂糖、酢、酒)
魚香とは、豆板醤と大蒜(にんにく)、ねぎ、しょうがの薬味に、軽い甘酢を合わせて作られる、四川省の調味法のこと。豆板醤や泡辣椒を用い、ちょっと酸を感じるスパイシーな香りが、たまらなく食欲をそそる味付けです。 名前の由来は、魚を焼く時の材料を使って作った味噌(魚香醤)を、魚以外の料理に合わせるようになったことから。魚介はもちろん、肉、内臓系、野菜など、どの食材とも相性がいいため、料理のバリエーションも豊富です。 中国語の料理名は、「魚香」+「茄子(なす)」、「魚香」+「肉絲(肉の細切り)」というように、「魚香+食材名」で表現されているので、魚香がどんな味かを知っていれば、単に「辛み煮込み」と言われるよりも、具体的に味をイメージできるようになるはずです。 恐らく、日本で最もメジャーな魚香料理は、魚香茄子(ユィシャンチェズ)。実はこれ、麻婆茄子の原型でもあります。麻婆茄子は、魚香茄子を日本人が食べやすいようにアレンジして作った料理。ですから、中国には基本的に麻婆茄子という料理はありません。中国で麻婆茄子を注文したい時は「麻婆茄子(マーボーチェズ)」ではなく「魚香茄子(ユィシャンチェズ)」と注文してくださいね。 |
「魚香」な料理
魚香茄子 (魚香×なす) |
魚香肉絲 (魚香×細切り肉) |
魚香鶏翅煲 (魚香×鶏手羽先) |
参考文献 『中國名菜譜西方編』中山時子 著(柴田書店 1973年)
Text 小山田早苗