台湾に行くと、季節に合わせたさまざまなスープがあり、飲みたくなります。たとえば、夏は胃腸にやさしい四神湯、冬は身体が温まる麻油鶏。そこに根づいているのは、中医学の「薬食同源」の考えです。足りないものを食事から補って、病気にならないよう工夫していこうという暮らしの知恵があります。

そこで今回は「薬食同源」を取り入れた、台湾らしいスープにフォーカスします。特に季節の変わり目には、食で身体をいたわりたいもの。百聞は一食にしかず、まずはお店で味わって、身体で感じてみませんか。

飲んだそばから滋養が満ちる、薬膳人参鶏。横浜中華街「茂園台湾美食」

見るからに栄養がありそうな薬膳人参鶏

横浜中華街の「茂園台湾美食」では、「鶏肉と人参(ここでは朝鮮人参・高麗人参のこと)をベースに、台中から取り寄せている」という生薬がたっぷり入った薬膳人参鶏が、密かな名物となっています。

人参は補気(気を補う)食材のひとつ。そこに骨付きの鶏肉を合わせるのは、韓国料理の参鶏湯(サムゲタン)等でおなじみ。鶏のうまみに、蓮子(ハスの実)やクコ、棗(なつめ)などもたっぷり加わり、まさに滋味。

味つけはかなり薄味ですが、それだけに生薬の味わいがよくわかり、単純な私は、飲んですぐに「これは身体にいいに違いない」と納得してしまいました。

量はふたりで飲むのにちょうどよいくらいですが、ひとりでもOK。要予約メニューなので、横浜中華街に行く際はあらかじめ予約しておきましょう。

ちなみに、店のルーツは点心工房「茂園食品」なので点心も充実。手作りの大根餅は外側がカリカリ、内側モチモチの絶妙な焼き加減が最高で、台湾式のちまきなども楽しめます。スープを飲んで身体を潤した後は、お土産に台湾式の中華菓子を買って帰るのもいいですね。

手作りの点心はお土産におすすめ
「茂園台湾美食」外観

茂園台湾美食(もえん たいわんびしょく)
住所:神奈川県横浜市中区山下町220 廣東要明鶴同郷会ビル1F(MAP
TEL:045ー663ー0901
営業時間:9:00-20:30
定休日:火曜日
InstagramFacebook

この上なく上品な四神湯。日本橋「富錦樹台菜香檳(フージンツリー)レド室町テラス店」

「富錦樹台菜香檳 コレド室町テラス店」の當歸四神湯

台湾で定番のスープといえば四神湯(スーシェンタン:薬膳豚モツスープ)。豚モツと、山薬(ヤマイモ)、蓮子(ハスの実)、芡実(オニバスの実)、茯苓(ぶくりょう・マツホド)、さらに薏仁(ハトムギ)を入れることもあり、身体にたまった余分な水分を取り、胃腸を健やかに保つことから、湿気の多い台湾では欠かせないものとなっています。

これをグランドメニューに載せている店は、日本ではなかなかありませんが、さすがは台湾の有名店「富錦樹台菜香檳(フージンツリー)」。日本橋にある支店「コレド室町テラス店」なら、いつでも四神湯を飲むことができます。

誠品生活日本橋と同フロアにある「富錦樹台菜香檳 コレド室町テラス店」

四神湯は、夏の暑さで疲れた胃腸にやさしい薬膳スープといわれます。だからといって夏だけのスープではないのが奥深いところ。台湾の方からは「大人はお酒をたっぷり入れて、冬にも飲む」と聞きますし、かなり穏やかなスープなので、子供にも飲みやすいのです。

そして、こちらの「當歸四神湯」は驚くほど上品。豚モツの処理や、當歸(当帰)を中心とした生薬の配合が絶妙なのでしょうね。口に運ぶたび「美味しい」とつぶやきながら、たくさんいただいてしまいます。サイズが2種類ありますが、大きいほうを頼むのが正解ですよ。

スープは3種類。気分や体調で選びたい

富錦樹台菜香檳 コレド室町テラス店
住所:東京都中央区日本橋室町3-2-1 COREDO室町テラス 2F(MAP
TEL: 03-6262-5611
営業時間:11:00-22:00
オフィシャルサイト:fujintree.jp
Instagram

一杯で完全食!薬膳スープと餃子の美味なる調和「餃子房ふーが」

薬膳スープ餃子

小田急線の東海大学前駅のそばに店を構える「餃子房ふーが」。花蓮出身のオーナーのご実家は漢方薬局で、看板商品の餃子だけではなく、何種類もの生薬を使った薬膳スープが、味わえます。

薬膳スープの中に水餃子やしらたきが入ったメニューもあり、毎回メニュー選びが楽しみです。

「餃子房ふーが」のメニュー

そのなかでもおすすめなのが、薬膳スープに水餃子を入れた「薬膳スープ餃子」です。鶏ガラを何時間も煮込んだスープに、体力を補う高麗人参や、血を補い巡らせる当帰(とうき)など、たくさんの生薬が煮込まれて入っています。餃子は生姜を効かせた優しい味つけで、薬膳スープとの相性がとても良いのです。

薬膳スープには、餃子やしらたきのトッピングも可能
餡がたっぷりの餃子を入れた薬膳スープ。栄養満点!

また、「薬燉排骨湯(ヤオトンパイクータン)」は、高麗人参、黄耆(おうぎ)、麦門冬(ばくもんどう)、熟地黃(じゅくじおう)など16種類の生薬を、濃い茶色になるまで煮出しています。

こちらは、豚スペアリブ(排骨)を肉がほろほろにやわらかくなるまで煮込んだスープがベース。たくさんの生薬で煮込んでいる割には食べやすい味で、ハマってしまうとおかわりする人もいるほど。

薬燉排骨湯にさっぱりしらたきを入れ、甘く煮込んだそぼろ肉に絡めて食べる「白担担(バイタンタン)」と言うメニューもオススメです。

薬燉排骨湯(スペアリブの漢方スープ)
薬燉排骨湯(スペアリブの漢方スープ)の生薬一覧

ほかにもスープの種類は、酸辣湯(サンラータン)、大根スープ(夏は冬瓜スープ)があり、台湾らしいやさしい味です。酸辣湯に焼餃子を合わせたセット等もあり、様々な選択肢を楽しめます。

一度の食事で全種類のスープをいただくのは難しいですが、リピートして全種類飲む価値はアリ。スープも含め、お店の商品はほとんどテイクアウトが可能です。ぜひおうちでもお楽しみください!

餃子房ふーが
住所:神奈川県秦野市南矢名1-17-1(MAP
電話:0463-77-7714
営業時間:11:00-14:30 17:30-21:00
定休日:月・水・金・日
Instagram
あわせて読みたい!台湾かき氷特集▶ピーナッツの芳香に夢中!花生泡泡氷

一杯で大満足!台湾産の生薬でつくる肉骨茶(バクテー)|浦安「富安茶楼」

「富安茶楼」の肉骨茶(バクテー)

当連載で何度も登場している「富安茶楼」では、台湾産の生薬を煮出した肉骨茶(バクテー)が楽しめます。

肉骨茶はマレーシアやシンガポールでおなじみですが、台湾でもかなり親しまれており、葉野菜が入っていることが多いです。そもそもバクテーという発音は、閩南語(びんなんご|福建語・台湾語のグループ)が由来。東南アジアに移住した福建系移民が作ったものとされています。

マレーシアは醤油味、シンガポールは胡椒の効いた風味が特徴ですが、「富安茶楼」のバクテーは、とてもやさしい味わいで私のお気に入り。

「マレーシアで楽しめる福建式のバクテーには、たまり醬油に加えて、熟地(熱地黄)が入っており、黒っぽい色合いや風味の中心的な役割を担っています。うちでは熟地に加え、川芎や桂皮、コショウ、ニンニクを入れた仕立て。よく八角感があると言われますが、実は使っていません。なのに八角っぽい感じなんですよね。」とオーナーさんの談。

肉骨茶は、ジャスミンライスにかけながら食べてもよし、一緒に食べてもよし。やわらかいスペアリブがドーンとあるのも嬉しいです。

骨付きの豚肉が豪快にどーん!

オーナーは台湾によく行く日本人夫妻。2人が現地の味を再現したメニューの中には、期間限定メニューもたびたび登場。台湾産のお酒も充実しており、通うたびに発見があるお店です。

夜はどこかノスタルジックな「富安茶楼」外観

富安茶楼(貓實總店) 
住所:千葉県浦安市猫実1-15-1(MAP
TEL:090-2766-9877
営業時間:11:30-14:00 17:30-21:30(水~日)
定休日:月・火
Instagram
あわせて読みたい①ねぎ餅特集▶揚げねぎパイ&トロトロたまごの口福。クラフトビールのお供に!
あわせて読みたい②台湾かき氷特集▶台湾素材でつくる癒やしのアイスクリーム

さまざまな台湾式のスープがわかったところで、次のページでは、家で楽しめる台湾式のスープと、そこに込められた“薬食同源”の考えについてご紹介します。

NEXT>おうちで養生スープはいかが?定番の台湾スープと薬食同源のいい関係