北京ダックを本格的に作るとなると大仕事。鴨の内臓と血をキレイに処理し、体内に空気を入れて膨らませて皮と肉をはがし、蜜を全体に塗って乾かし…。それはもう、考えただけで気が遠くなる工程です。

しかし、手間のかかる下処理と焼き上げまで完了している冷凍ダックがあれば、家でも手軽に北京ダックができることをご存じでしょうか。今回は、ホテルオークラ桃花林 日本橋室町賓館の山崎正料理長に、市販のダックを利用した作り方のコツを教えていただきました。

市販のダック

まず、解凍したダックを150~160℃くらいの低めの温度で揚げます。新しい油で揚げると鴨肉の匂いがつき、他の料理に使いづらくなってしまうので、あれば古い油を使うといいでしょう。ここではダックがすっぽり入る大きい鍋と油がなくても大丈夫。少し体力と忍耐力が必要ですが、ダックを持ち上げ、お玉で油を掛けながら仕上げることもできます。

次第に皮がぷっくりと膨らんで気泡ができたら、破裂しないように楊枝を刺して空気を抜きます。さらに揚げ、おいしそうな焼き色がついて、表面がパリパリになったらできあがり。皮をカットする際に、皮の裏側に付着した脂は臭みの元となるので、丁寧に取り除きましょう。

完成した北京ダックは皮だけ食べるのもいいですが、残った肉を料理にしても。その際は、回鍋肉のような濃い味付けの炒めものにすると、鴨の臭みが気になりあせん。
また、ダックのソースは甜麺醤が定番ですが、そこに胡麻油を少々、さらにリンゴジャムなどを加えてフルーティーに仕上げるのもおすすめ。長ネギやキュウリはお好みで。ダックを包む包餅も市販のものを使えば、一層手軽に楽しめますね。

脆皮燒鴨片

料理:山崎正(ホテルオークラ桃花林 日本橋室町賓館
撮影:2014年6月 古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:脆皮燒鴨片
ceoi3 pei4 siu1 aap3 pin3 / チョ ピ シュー アー ピン(広東語読み)
cuì pí shāo yā piàn / ツイ ピー シャオ ヤー ピィェン(北京語読み)


text 近江文代(日本橋 古樹軒)
photo 西田伸夫