パリッと揚がった鶏肉に甘酢ソースでおなじみの油淋鶏。日本に定着したこの料理、ご家庭で作られる方も多いのではないでしょうか。
定番の甘酢ソースは、醤油、砂糖、酢、ごま油が基本ですが、プロはそこにひと工夫。ひと味違う油淋鶏のソースを、「神田 雲林(ゆんりん)」の成毛幸雄先生に教えていただきました。
ブラックオリーブ&パプリカをソースに!
今回成毛先生がソースに選んだ食材は、オリーブとパプリカという、イタリアを感じさせる食材。種抜きのブラックオリーブ、赤と黄色のパプリカはそれぞれ7mm角、香菜は2cm幅、長ねぎ、生姜はみじん切りにしてごま油と合わせます。
さらに調味料として、醤油70g、酢50g、砂糖35g、水40g、ケチャップ5g、リーペリンソース(ウスターソースの銘柄)3gを合わせたら、タレのスタンバイはOK!
鶏もも肉は、肉を平らにしてから下味を入れて
主役の肉は鶏もも肉(300g)を使用。同じ部位でも厚いところと薄いところがあるため、同じ加熱時間で均一に火が通るよう、厚みのある部分は包丁を入れて平らにし、筋をきちんと切っておくのを忘れずに。
地鶏を使う場合は、ブロイラーよりも食感が硬くなるため、下味を入れやすくするために少し叩いておくのを忘れずに。この処理が終わったら、紹興酒、醤油、片栗粉、塩、胡椒をまぶし、溶き卵適量も揉み込んで15分程置いて下味を入れます。
二度揚げの前にアイドリングタイムを設けよう
また、プロは揚げ方にもコツがあります。鶏もも肉に下味が入ったら、片栗粉をまぶし、低温(160℃)と中高温(180℃)で二度揚げ。まず低温で7分間揚げた後、冷めない程度に少し時間を開けるのがポイントです。この間に鶏肉にじわじわと熱が通り、やわらかく仕上げることができるのだそう。
二度揚げをしたら、鶏肉を切り分けて、さぁ盛り付け!ここで鶏肉の断面が少しピンク色になっていても心配無用。形を整え、鶏肉を元通りにぴたっとくっつけておけば、余熱で火が通ります。
おもてなしにも!色彩で華やかさのある油淋鶏
最後の仕事はソースづくり。いよいよいただくその直前に、ソースを混ぜ合わせることで、パプリカの彩りや香菜の香りを損なわず、フレッシュな装いで食卓に届けることができます。 手に入りやすい材料で作れておもてなしにもぴったりの一品。ぜひトライしてみてくださいね。
料理:成毛幸雄( 神田 雲林)
撮影:2017年2月14日の古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:雲林式油淋鶏(yún lín shì yóu lín jī / ユン リン シー ヨウ リン ジー)
text 近江文代
photo 西田伸夫