「よる中華」は、80C(ハオチー)のFacebookページで連載している中華ディナーレポート。今回は2015年下期投稿のリーチ数ベスト8をご紹介します。
※集計期間は2015年7月1日~12月9日です。
渋谷区代々木上原「虞妃(ユイフェイ)」でアラカルト
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●こんな方におすすめです
・おいしい麻婆豆腐が食べたい
・広いカウンターで、シェフの食材への愛と丁寧な仕事ぶりを感じたい
・旬の素材を生かした中華に興味がある
麻婆豆腐LOVER必訪!おしゃれカウンターで味わう本格麻婆
8位は2014年10月にオープンした四川料理店、代々木上原「虞妃(ユイフェイ)」がランクイン。四川料理店といえば、麻婆豆腐への期待は高まるもの。この店なら、きっとその期待を裏切らない麻婆と出会えますよ。
訪店時は、土鍋仕立ての「特製麻婆豆腐」と「仔羊の麻辣豆腐」の両方を提供中。前者は牛もも肉を独自の挽き方で用い、自家ブレンドの豆板醤と醤油で旨みをつけた麻婆。油たっぷりながら、重たさを感じさせない仕上がりが見事。
一方ラムを使った麻辣豆腐は、熱された油から羊の存在感が際立つ一品。こちらは5年以上熟成させた、四川省郫县(ピ県)産の「家常豆瓣」を使用。その旨みで食べさせるため、大蒜、トウチ、辣油、山椒油とシンプルな構成が潔いのです。
店を切り盛りするのは、四川省に留学し、四川料理店から独立された佐藤剛シェフ。回鍋肉などの定番はもちろん、季節の食材を使った前菜にも丁寧な仕事が光ります。カウンター席に座れば、眼前で調理するシェフの、料理への熱さをも感じることができるでしょう。
港区南青山「玻璃(ボーリー)青山」でおまかせ
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●こんな方におすすめです
・ゴージャスな雰囲気の中、高級中華をコースで楽しみたい
・広東料理の中でも、香港系の中華に関心がある
・接待や特別な日に会食できる場所を探している
華やかで食べ疲れない、香港系中華をコースで楽しむ
7位は5月下旬、外苑前のユニマット青山ビルに新装オープンした「玻璃(ボーリ)青山」。こちらの厨房を担うのは、以前マンダリン オリエンタル 東京「センス」で料理長を務めていた有島シェフ。コース全体では華やかな印象を残しつつ、1皿1皿は素材を重視した料理です。
中でも透明感のある口どけにハッとしたのは、スペアリブの煮込み。ソースには赤米と紹興酒を用い、香港等でも使われているロックシュガーが雑味のない甘さの決め手。大き目の身を崩さずに、柔らかさと適度な弾力を活かして滑らかに仕上げたアカハタの炒めは、ペニンシュラにいた時に習得した技術によるものだそう。
コースとしての安定感があり、食べ疲れない構成だったのは、さすが経験豊富なベテラン料理長。店はエントランスからゴージャスですので、接待や特別な日の会食にもおすすめです。
中華区野方「なかの中華!Sai」でアラカルト
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●こんな方におすすめです
・清蒸鮮魚(魚の蒸しもの)が大好き
・海鮮中華を楽しみたい
・点心もあれこれつまみたい
清蒸鮮魚はオーダー必須!広東系中華をカジュアルに提供
6位は野方警察署の斜め向かい「なかの中華!Sai」がランクイン。こちらのおすすめは、一にも二にも清蒸鮮魚(魚の蒸しもの)ですよ。もともと築地に通う宮田シェフですが、今年は石川県を訪れ、ほぼ活けの状態でセリとなる能登の鮮魚に魅せられ、築地と能登の両方から魚介を仕入れています。
驚くのはその価格で、訪店時は誰もが認める高級魚・アズキハタの蒸しものを1600円(2名サイズ)で提供。スペシャリテを手の届く価格に設定し、お客さんは店のイチ推しを気持ちよく頼み、店は新鮮なものを売り切る好循環ここにあり。身はぷりっとしつつも柔らかで、実に最高のコンディション。食べ終わった後は、白ごはんに甘じょっぱい魚のタレをかけ、白髪ねぎを和えて食べること必至です。
また、昨今は「広東銘菜サクサクローストポーク」(焼肉:シウヨッ)も焼き上げること多々。肉の旨みがちゃんと味わえる塩加減と「ジャクッ」とクリスピーな皮に、思わず「うまい!」と声が出ました。
港区西麻布「麻布長江 香福筵」でおまかせ
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●こんな方におすすめです
・中国料理のひとつの進化形を知りたい
・芸術をも感じさせる料理が好き
・中華好きでない食いしん坊を連れていって中華にハマらせたい
中華好きも中華好きでなくともハマる?食の愉悦ここにあり
5位は西麻布交差点そば「麻布長江 香福筵」がランクイン。田村シェフは伝統的な料理、現地の料理を背景にしっかり感じさせつつも、アウトプットはモダンな雰囲気で、紛れもない「田村シェフの料理」に仕立てられる方。
例えば、ラム肉の乾鍋(干鍋)は、骨つきのまま塊で鎮座させて提供し、食べる直前にカットして手づかみで食べさせたり、クリーム煮にはほうれん草と卵白を油に入れて小さな球状にしたものを混ぜ込み、淡雪仕立てで軽やかに、舌触りよく仕立てていたりと、様々な工夫がキラリ。
その料理は、初めて訪れるお客さんを「こんな中華があるんだ…!」と魅了する一方、中国料理を勉強している方には、その一皿にどんな技術を用いて、どんなアレンジを加えたのか、咀嚼しながら食べる喜びも与えてくれるはず。そんな田村シェフの世界観を感じるには、コースでのオーダーがおすすめ。また、これらを気持ちよく体験させてくれるつつがないサービスも心地よい店です。
札幌市中央区「茶月斎」でアラカルト
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●こんな方におすすめです
・北海道の恵みが感じられる中華が食べたい
・中華をアテに大人の飲み会をしたい
北海道の旬を滋味深い中華に…!お酒を呼ぶ味も充実
4位は札幌から「茶月斎」がランクイン。11月末の訪店でしたが、メニューを見るとカスベ(エイ)、タチ(タラの白子)、宗谷産ワカサギ、サロマ産牡蠣、鹿肉など、北海道の旬を味わえるラインナップ。他地域からの「旅中華」にもぴったりの店でもあります。
お酒に合う気のきいた料理が充実しており、鮮度のいい白子をしっかりと酒に浸し、ほどよくスパイスの香りを効かせたタチの紹興酒漬けは“酒が酒を呼ぶ”味。冬場に提供している「瀬棚トマト羊火鍋」は、奥尻島の東側にある瀬棚(せたな)で、自然農のトマトなどを食べて育ったラム肉を使っており、食感を追求し、スライサーでカットしたばかりのラム肉を提供しているというこだわりも光ります。
札幌で開業して17年だそうですが、料理に古さは全く感じず、北海道の恵みに溢れた品書きで、自店の味に合った材料を吟味されているのが感じられる店。大人の会食や、カジュアルな接待などにも重宝しそうです。
中央区築地「東京チャイニーズ 一凛」でおまかせ
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●こんな方におすすめです
・今東京の中華で流行っている店が気になる
・ありきたりでない、ひと味違った中華が食べたい
・四川系の料理が好き
誰もが知っている中華の“半歩先”がヒットの理由?繁盛店ここにあり
3位は築地警察署の隣「東京チャイニーズ 一凛」がランクイン。今、東京の繁盛中華といえばこちらの店。誰もが知っている中華の半歩先、誰もが知っている素材の中華的美味を、季節感とともに楽しませてくれるカジュアルな店です。
例えば回鍋肉なら、豚バラ肉を塊で使い、トウチと葉大蒜で調味。日本でおなじみのキャベツは炒めず、さっとスープにくぐらせて添えて提供するといったアレンジは斉藤シェフならでは。牡蠣や白子といった、季節感のある食材を使った料理では、素材の持ち味を損なわずに、中華のエッセンスを加えた調理が光ります。
厨房に面したカウンター席ではおひとりさまやおふたりさま、奥のテーブル席は仲間うちの会食や気軽な接待と、性別年齢問わずどんなシーンにもハマる店なので、リピーターが増えるのも納得。コースでもアラカルトでも、思い思いに中華が楽しめます。
札幌市中央区「チムウォック」でちょい飲み
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●こんな方におすすめです
・くつろいだ雰囲気で本格中華とお酒を楽しみたい
・気の向いた時間に好きなように、気軽に中華を楽しみたい
・カフェのようなくつろいだ雰囲気が好き
カフェのような店内で、しっかりと鉄鍋香のある北海道中華を堪能
2位は2014年12月、札幌の狸小路にオープンした「中国料理とおさけ チムウォック」。いやあ、これはただならぬ店ですよ。築50年のビルをリノベーションして、なんだかとてもいい感じの雰囲気。カフェですか?という佇まいで、まさかの中華があるのであります。
料理は北海道の食材を使ったものが中心で、この日頼んだのは、道産の鹿肉とあんぽ柿と実山椒の炒めもの、鴨とチンゲン菜の焼きそば。いずれも材料の下ごしらえと調味によって、どの食材が欠けても成立しない味わいで、料理にはしっかりとした中華の鉄鍋香と、太い中華の味があります。
店は15時から夜中の1時まで開けており、ちょい飲み、ちょい食べと気軽に楽しめるのもいいところ。ワカモノや女子のお客さんも多く、東京でもこんな中華はなかなかないと思います。
目黒区三田「ウェスティンホテル東京 広東料理 龍天門」で総料理長就任お披露目食事会 14030リーチ
●こんな方におすすめです
・焼物三昧したい
・広東料理の宴会に鶏は外せない!と思っている
・香港の高級店のような雰囲気を味わいたい
広東料理の魅力を伝えるために鶏から開発!エッジの効いたホテル中華
2015年下期、1位に輝いたのは「ウェスティンホテル東京 広東料理 龍天門」。この1位は話題性も大きく影響しています。しばらく龍天門を離れていた陳啓明さんが、2015年10月14日、龍天門の総料理長に就任。さらに焼物は「赤坂璃宮 銀座店」で長年腕を振るっていらした梁さんが担当。これは業界的には大きなニュースでした。
お披露目宴会ということもあってか、この日のスペシャリテは「最高の香港焼き物師 梁シェフのこだわり七皿」という焼物7種類で、新生・龍天門の気合い十分。さらに驚くのは、広東料理に適した鶏を生産者とともに追求し、素材からオリジナルで作り上げた龍皇赤鶏の料理。蒸しスープは、地鶏の白子を使った烏骨鶏のスープで、塩は極めて控えめにしてあるのも広東式。龍天門が以前から力を入れていた中国野菜も卓上に出され、とことん広東料理を表現されていました。
それにしても、ここまでできる店ってそうそうありません。ここに来たら、値段は張りますが、龍皇赤鶏の料理と焼物、スープ、点心、中国野菜と、ひととおり楽しまないと損ですね。
さて、2015年下期のよる中華ランキングはいかがでしたか?今回は札幌から2軒ランクインしたのがこれまでにない展開。いずれも北海道が感じられる中華であり、季節を変えて訪れたくなるような店でした。また、1位は圧倒的なリーチで「ウェスティンホテル東京 広東料理 龍天門」。はっきりと「ザ・広東」という方向性を打ち出したことで、今後東京の中華を面白くしてくれそうな予感がします。
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「よる中華」は、80Cスタッフがディナーに食べた中華料理をFacebookでレポートしているものです。投稿はウィークデーの昼前後。80Cの中華画像で、みなさまの食べたい中華・好みの中華を見つけてくださいね。
Photo & Text 佐藤貴子