ツルンと口当たり軽やかで、噛めばモッチリ。食べごたえはしっかりとして、これからの季節にぴったりの中国小吃(軽食)といえば、涼皮(凉皮|リャンピー|liángpí)です。

涼皮は、西安をはじめ陝西省の伝統的かつ代表的な小吃(軽食)のひとつといわれます。主材料は、小麦粉から取り出したデンプンを蒸して麺状に切ったもの(詳しくは3ページ目にて)。これを黒酢やにんにくが入ったたれ、ラー油、きゅうりなどと一緒に混ぜて食べれば、梅雨のジメジメ感も猛暑もなんのその!つるり、ぺろりと食べ切ってしまいます。

日本では、中華物産店のレジ横に平積みされていることが多いので、目にしたこともある方も多いのではないでしょうか。中華料理店の冷菜メニューでも見ることもありますね。

池袋友誼商店レジそばの冷蔵ケースに並ぶリャンピーのパック。

現在、涼皮は陝西省のみならず、中国のより広い地域で食べられており、特に東北地方では「東北涼皮」という呼称を目にすることもしばしば。

しかし、これは東北独自の涼皮を表すものでなく、馬鈴薯や緑豆のデンプンから作られた板春雨「大拉皮(ダーラーピー)」を指すか、陝西省の基本の涼皮と同様のものを示すことが多いよう。どちらも麺状の冷菜で、合わせる野菜や調味が似ていますが、原料や製法によってそれぞれ異なる食感を持っています。

左が東北大拉皮(ドンベイダーラーピー)、右が粉皮(フェンピー)。どちらも板春雨で、涼皮とは似て非なるもの。

そこでこの記事では、涼皮が手軽に買える場所や、この春新大久保にオープンした涼皮専門店、作り方に至るまで、涼皮をとことん掘り下げてご紹介します!

中華食材店から広まった?買い物ついでにテイクアウト涼皮

日本で涼皮をもっとも手軽に買える場所といえば中華物産店でしょう。池袋やアメ横をはじめ、都内各地でよく見かけるのがパック入りの涼皮。今回ご紹介するのは、池袋『友誼商店』で販売している『刀姐涼皮』のものです。

『刀姐涼皮』。池袋『友誼商店』のレジの近くにある冷蔵ケースに並べられています。

実はこちら、以前は肉まんなども製造していましたが、今はリャンピー製造集中体制にシフトしています。予約すれば10食以上のまとめ買いもOK。近隣への配送もしており、他へ手が回らないほどの忙しさだそう。池袋『友誼商店』で取り扱われているほか、板橋区大山の工房兼販売窓口で購入することができます。

中を開けると、涼皮・面筋(グルテンを蒸したもの)・きゅうり・辣油・ゴマだれ・蒜水(塩・にんにく・酢が入った調味料:店主は”塩包(盐包:イェンバオ)”と呼んでいました)が入っていて、これらを混ぜ合わせるだけですぐ食べられるというお手軽さ。

『刀姐涼皮』の涼皮パック。定番の具や調味料がすべてパックの中に入っているのがありがたいですね。

「うちの自家製辣油はかなり辛いから、一気に全部かけずにちょっとずつね!」との助言もあった通り、実際かなりパンチの効いた辣味!少しずつ加えて正解ですよ。

『刀姐涼皮』を皿に盛り付けてみました。食べやすい上、エナジーチャージもばっちり。

こうして中華物産店から日本に広まっていった涼皮ですが、なんとこの春、涼皮の専門店が新大久保に誕生! さまざまな涼皮を食べられる場として話題になっています。

NEXT新大久保の涼皮(リャンピー)専門店「張小記 西安味道」で多彩な涼皮を楽しもう!