日本語表記:中華包丁
日本語読み:ちゅうかぼうちょう
中国語表記:菜刀
北京語読み:ツァイ ダオ
発音記号 :cài dāo
中華包丁は日本での呼称。中国語では菜刀(ツァイ ダオ)という。用途および形状によって以下に区分される。
- 用途別 -
【片刀(piàn dāo ピェンダオ)】
重量約500g。軽くて刃が薄い。片(piàn ピェン:薄切り)のほか、絲(sī スー:細切り)、丁(dīng ディン:サイの目切り)、條(tiáo ティァオ:拍子木切り)などに使用。骨付きのかたい素材には不向き。
【切刀(qiè dāo チェダオ)】
重量600g~800g。片刀(ピェンダオ)より厚みがある。叩くように切る丁(dīng ディン:サイの目切り)、塊(kuài クァイ:ぶつ切り)、末(mò モー:みじん切り)などに使用。軟骨程度なら骨も切れる。
【前片後斬刀(qián piàn hòu zhǎn dāo チィェンピェンホウジャンダオ)】
重量1kg前後。先のほうが片刀(ピェンダオ)に近く、手元のほうが斬刀(ジャンダオ ※後述)のようになっている。片(薄切り)から、鶏・アヒル程度の骨付き肉なら塊(ぶつ切り)も可能。広範囲に使用できる。文武刀(wén wǔ dāo ウェンウーダオ)とも言われる。
【斬刀(zhǎn dāo ジャンダオ)】
重量1kg以上。みねがが厚く、斧のように刃に向かって薄くなっている。骨付き食材専用の包丁。
- 形状別 -
それぞれの地域(料理系統)によって、使用する包丁の形状が異なる。
【方頭刀(fāng tóu dāo ファントウダオ)】
中華包丁と聞いて最もイメージされるであろう長方形の包丁。広東料理、四川料理系統で使用されている。
【方頭刀(fāng tóu dāo ファントウダオ)】
中華包丁と聞いて最もイメージされるであろう長方形の包丁。広東料理、四川料理系統で使用されている。
【馬頭刀(mǎ tóu dāo マートウダオ)】
切っ先のほうが広く、手元のほうが狭くなっており、みねが厚めで重量感がある。北京料理系統で使用されている。
- 故事成句 -
庖丁解牛(ほうていかいぎゅう):熟練者の見事な腕前のたとえ。
包丁という言葉の由来となった、『荘子』に出てくる故事。王の前で舞うがごとく、見事な包丁さばきで牛を解体して見せた料理人の庖丁(ほうてい)から、菜刀のことを庖丁(包丁)というようになった。
≪詳細≫
庖丁が王の前で華麗に牛をさばいた見事さに「あっぱれな技術だ」とほめたところ、庖丁は「お見せしたのは技術ではございません。技術を超えた道なのであります。初めのころは牛全体に目がいってしまいうまくいきませんでした。三年目にしてやっと部位が見分けられるようになり、今では目に頼らず心でとらえられることができるので、あとは自然の摂理に従い、骨と肉の隙間に刃を入れていくだけなのです」と答えた。これを聞いて王は自然に身を委ねることが、生をまっとうする方法であると悟ったという。
【関連情報】
中華包丁のもちかた
刀杷(つか)の部分を親指と中指・薬指・小指で握り、人差し指は刀腰面(はら)に添えるようにして持つ。これは、卓球のシェイクハンドのラケットと同じ持ち方である。ここに、中国が卓球強国の秘密が隠されているのではないかと思っているので、研究が待たれる。
おススメブログ
ノートPCのフォルムに中華包丁を感じた筆者が、それで八宝菜が作れるのか実際に調理してみた、渾身のレポートです。
>>『MacBookAirは中華包丁として使えるのか。』(mochrom / ehita)
【脚注・出典】
『烹調技術 中国料理技術入門』上海市飲食服務公司 編(主婦の友社 1982年)
『中国料理刀工技術の基本と料理』原田治 簑島誠 共著(柴田書店 1987年)
『中国の思想 別巻 中国の故事名言』松枝茂夫 竹内好 監修(徳間書店 1964年)
Research: Xiao Shan-Mian & Chuka Lovers(シャオ・シャンミェンと中華ラバーズ)