中華鍋

表記   :中華鍋
日本語読み:ちゅうかなべ
中国語表記:锅子
北京語読み:グオ ズ
発音記号 :guō zǐ

 

中華料理の厨房になくてはならない、金属製の鍋。炒める、揚げる、煮込む、上に蒸籠を乗せて蒸すなど、これひとつでかなりの調理法が網羅できる。

【種類】

片側に柄のついた北京鍋(写真上)、左右に取っ手のついている広東鍋(写真下)がある。どちらの鍋も底が丸みを帯びているが、北京鍋のほうが深さがあり、広東鍋のほうが浅く平らである。

広東鍋
広東鍋

機械でプレスして作られたものよりも、職人が鉄を打ち出して作られた鍋のほうがプロの料理人に好まれている。打ち出し鍋は、鉄を何度も叩いてあるため、薄く軽量で熱伝導がよく、鉄が鍛えられており長持ちすると言われている。

【素材】

ほとんどが鉄製。丈夫で軽量なチタン製の鍋もあるが、高価である。

【使用前の注意】

鉄製の中華鍋を使う前に必ず空焼き(からやき)を行う。空焼きには、出荷前に鍋に施されたサビ止めを焼き取るとともに、鍋の油なじみをよくする効果がある。空焼きが甘いと、調理するたびにしばらくサビ止めの臭いがしたり、鍋が焦げ付きやすくなるなどして調理に悪影響を与える。したがって、空焼きはとことん行うことが肝心である。

空焼きの仕方:
①換気扇を回す。
②ガスの火を強火にして鍋を火にかけ、鍋から煙が上がってきたら、鍋を傾けながら、隅々まで煙が出なくなるまでじっくりと焼き込む。
③サビ止め被膜が焼き切れたら、自然冷却させる。水につけて急に冷さない。
④水洗いした後、油を多めに引き、まわりまでよくなじませて、野菜クズで慣らし炒めをする。
⑤再び水洗いをした後、水分を完全に拭き取り(軽く火にかけて水分をとばしてもよい)、少量の油を全体に引いておく。

【手入れ】

①基本的に洗剤は使わない。理由は、鉄に適度な油分を残しておいたほうが焦げ付きにくくなることから。洗うときはタワシやササラを用い、水洗いする。
②洗い終わった後は、火にかけて水分をとばし、薄く油を引いておくと錆び防止になる。


【関連項目】

中華鍋は中華厨房においてほぼ万能的な存在だが、その形状から、厨房以外でも活用できる可能性を感じさせる。中華鍋メーカーとして有名な山田工業所の『鍋職人ブログ』 でも「中華鍋の形はいろいろ使い道があります。ランプの傘、馬の餌台、実験用のアンテナ、お皿、看板、テーブル等」とあるため、調べてみた。

【洗面台シンク】

インテリア性の高いシンクとして、中華鍋とは気づかずに使ってしまいそうだ。
>>WEBショップ「環境生活」~おもしろ中華鍋洗面ボール(中華鍋洗面ボウル・洗面台・シンク)INK-CN-BOUL1~

【パラボラアンテナ】

かつて、『探偵ナイトスクープ』(朝日放送)に「中華鍋で衛星放送が受信できるか?」という依頼があり調査したところ、映像は不鮮明ながらも受信できた。同様の内容をこちらのサイトでも確認できる。
>>「Kuバンドのページ」』~受信の裏ワザ公開(パラボラ)~

【ランプシェード】

実際に中華料理店で使用されているのが確認されている。
>>ブログ「銀河のほとりでもう一杯」~中華屋天風に行ってきた~

【時計の文字盤】

数字が漢数字になっており、中国らしさを感じさせる。
>>ブログ「鉄職人と共に」~鉄 中華鍋 時計 新しく生まれ変わりました。~

【椅子】

一見中華鍋とはわからないが、確かに中華鍋である。
>>WEBショップ「African Square」~鍋型鉄製椅子【ロータイプ】~

【ヘルメット】

料理人・金萬福の著書『中華鍋ー徹底指南』にも防災頭巾的な使用法が提案されていた。
>>ブログ「極楽ホッピー」~中華鍋ヘルメット@揚州ぶらぶら~
>>NAVER「こんな○○は嫌だ!」~こんなヘルメットは嫌だ – 中華鍋~

【ドラムセットのシンバル】

演奏は2:00あたりから。

スポーツの世界でも使われている。

【国際中華鍋押相撲選手権】

>>ブログ「北星余市は今」~第21回しんとつかわ雪まつり国際中華鍋押相撲選手権~

【中華鍋ボブスレー世界選手権】

>>AFP BB NEWS「中華鍋ボブスレー世界選手権」~バンクーバー王者も登場 ドイツ~

【HANG】

中華鍋をひっくり返して両手でペチペチ叩くように演奏する楽器。Wok Drum(鍋ドラム)の別称があり、ハンという名前も中国を象徴する文字「漢(hàn)」に通じるネーミングではあるが、中華鍋との関連は不明。

【小惑星探査機はやぶさ】

地球に帰還した時の格好は、中華鍋型のカプセルだった。
>>JAXA「こども宇宙ニュース (2010-07-16)おかえりなさい「はやぶさ」-太陽系の旅から帰還」


【脚注・出典】

『中国食文化事典』中山時子 監修(角川書店 1988年)


Research: Xiao Shan-Mian & Chuka Lovers(シャオ・シャンミェンと中華ラバーズ)