2025年1月12日、あるつぶやきが、恐ろしくバズった。
浅草合羽橋 湖南飯店
えらい高級店で日本人向けじゃ無い中国裕福層向けランチ2000円なんですが、このサイズの鮑が4個入ってます。原価率考えるとあり得ない
湖南腊肉も燻製でしっかり作ってる。… pic.twitter.com/KMsbzcpTQ5
— ぷーたん 植物研究家&料理研究家&ICTコンサルタント (@damarinz) January 12, 2025
つぶやき主は、80C(ハオチー)で「横浜オールド中華探訪」を連載していたぴーたん氏。さっそく翌日ランチに店を訪れると、40分待ちという大盛況。鮑4個2,000円台の吸引力は凄い。
かっぱ橋道具街の一角にあるこの店の名は「湘南飯店(しょうなんはんてん)」。本店は、北京で創業11年目を迎える湖南料理店「漁芙南」である。

「湖南なのに湘南?」と思うかも知れないが、「湘」は中国で湖南省を表わす漢字。ガチ中華の台頭とともに、都内にも湖南料理店が増えてきたが、ここは他の都内の湖南料理店とはちょっと趣が異なる。
その理由は2つ。まず空間がいい。
細長い窓から光が差し、天井高のあるフロアは、ベージュを基調としたナチュラルな雰囲気。窓際には小円卓を配しており、上海や北京にあるモダンな現代中国建築を彷彿とさせる。

都内23区は席間が狭い店が多い中、このゆとりと落ち着きの空間は貴重。さらに2階には複数の個室を備え、4~8人ならみんなで円卓を囲んで食事ができる。
次に、料理と味も特筆すべきものがある。実はこちら、湖南省の中でも南方に位置する衡陽(しょうよう)の料理人が鍋を振る店なのだ。
湖南料理といえば「小炒(シャオチャオ)」という炒めの調理法が有名だが、衡陽はその「小炒」に定評があり、「中国小炒看湖南 湖南小炒看衡阳(中国で小炒なら湖南、湖南の小炒なら衡陽)」という言葉があるほど。
もちろん、店では「小炒」以外にも衡陽名物を取り揃えており、アラカルトメニューから選ぶことができる。

また、化学調味料不使用を謳っているのも、いわゆるガチ中華では珍しい。
実際に料理をいただいてみると、素材を活かした料理はバラエティに富み、食べ疲れにくい(当然、メニューのチョイスと食べる量にもよる)。ゆえに、これまでガチ中華系に足が向かなかった方でも、行きやすいのではないだろうか。

そんな同店は、現在「湖南省から招聘しているシェフがまだ揃わない」という理由で、2024年8月にプレオープンのまま半年を迎えるが、ついに今冬からランチとアラカルトメニューの注文を開始。
そこで80C(ハオチー)では、現在提供中のメニューから、湖南料理の特色でもある「鮮(いきいきとしたうまみ)」「香(香り高さ)」「辣(辛さ)」が堪能できる料理3皿を選び、ご紹介したい。