【煎】jiān ジェン
「煎茶(せんちゃ)」や、「(大豆などの食品を)煎る」など、「煎」は日本語でもなじみのある漢字です。これは、中国語になると「煎り焼く」、つまり少量の油で両面焼くという意味の動詞になります。
実は、日本人の国民食ともいえる焼き餃子や、昨今人気の焼き小籠包も、この「煎」を使った調理法。そう思うと、なんだか身近に感じませんか?
みんなが大好きな焼き餃子は「煎餃(ジェンジャオ)」。中国の焼き餃子は、ひだを寄せずに包んで、表裏ひっくり返しながら両面をこんがり焼くことを思うと、腑に落ちる表現です(※店によっては、片面焼きで「鍋貼(グォティェ)」と呼ぶところもあります)。
また、上海の小吃(軽食)として人気の焼き小籠包は「生煎包(シォンジェンバオ)」。生煎包は片面のみ焼いて提供しているお店が多いようですが、これも煎り焼きという意味で「煎」の料理です。
ちなみに焼き小籠包の呼称は地域によって異なり、上海を中心とした南方では「生煎包(シォンジェンバオ)」、北京を中心とした北方では「水煎包(シュイジェンバオ)」と呼ぶのが一般的。いずれにせよ、「煎」と「包」がわかっていれば、何か包んだものを煎り焼くんだな、という想像できるので安心ですよね。
そして、いわゆる一品料理の「煎」は、「煎+食材」「ソース+煎+食材」という表記が定番。これは「○○のソテー」「○○のソテー、ナントカソースがけ」と覚えておくとわかりやすいでしょう。「煎+食材」の場合は食材を煎り焼いたもの、「ソース+煎+食材」は、食材を煎り焼いたものにソースをかける、という意味になります。
世界中で使われている身近な調理法として、中国語でもぜひ覚えておきましょう。
「煎」な料理
中国の街角で見かけた「煎(ジェン)」
[左]煎餅(おやき)の一種である牛餡餅(牛肉そぼろ入りおやき)[中/右]紹興市内で売られていた煎包(焼き小籠包:鍋右)と煎餃(焼き餃子:鍋左)
派生熟語
【煎烹】jiān pēng ジェンポン : 揚げ煮
【南煎】nán jiān ナンジェン : 煎り焼きのとろみスープがけ
参考文献 『中国料理技術大系 烹調法』社団法人日本中国料理調理士会 編(2000年)
Text 山田早苗