牡蠣嫌いでもこれならいけるかも?黒豆で作った発酵調味料・トウチで作る牡蠣炒めです。

黒だけにコクのある“こくだいず”で牡蠣を煽る

寒さが厳しくなるとともに、ふくよかな旨みを増していく牡蠣。日本では生食やカキフライなどがメジャーかと思いますが、中華の牡蠣料理は味・香りともにパンチのあるおいしさが勢揃いしています。
例えば、宮保の技法を使ったピリ辛甘酢炒め、ごはんのおかずにぴったりの魚香の辛み煮込み、オイスターソースを使った焼きそば、牡蠣フリッターの花椒塩添えなど、毎日牡蠣を食べても食べ飽きないほど!

豆豉(トウチ)
豆豉(トウチ)

中でも、牡蠣の匂いや味があまり得意でない人にもおすすめなのが、豆豉(トウチ)炒め。豆豉(トウチ)とは、黒大豆を水で戻してから蒸し、塩や麹、酵母などを加えて発酵させ、日陰で水分を飛ばして仕上げた調味料のこと。アミノ酸などの旨み成分をたっぷり含んでおり、この料理はもちろん、スペアリブの豆豉蒸し(豉汁蒸排骨)のように、味付けの主役になることもあれば、麻婆豆腐の隠し味のように、目に見えなくとも、骨太なコク、奥行きのある香りを醸し出す陰武者となってくれることもあります。

しかし、いくらパンチのある味付けだからといって怠ってはいけないのが、調理の前の食材のお掃除です。牡蠣は必ず少量の塩と水と片栗粉を振りかけ、牡蠣を掴むようにしてよく揉み洗いするのが基本。片栗粉が灰色になったら、きちんと汚れがとれた証拠ですから、しっかり冷水で洗い流しましょう。また、豆豉(トウチ)は水で浸し、柔らかくしてから使います。好みによっては刻んだ方が、味がまんべんなく食材に絡み、食べやすくなっていいでしょう。

以下でご紹介するレシピは、野菜、牡蠣を下ごしらえして、合わせ調味料を作って煽るというもの。保存性の高い豆豉(トウチ)と今だけの美味・牡蠣のゴールデンコンビ。どうか、この冬、心ゆくまでお楽しみください。

 

 

料理:菰田 欣也(スーツァンレストラン陳
撮影:2004年11月 古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:豆豉鮮牡蠣(dòu chǐ xiān mǔ lì / ドウ チー シィェン ムー リー)

豆豉鮮牡蠣


Text 佐藤貴子(ことばデザイン)
photo 西田伸夫