唇に触れて感じる、つるりとした滑らかな舌触り。口に入れれば餡のジューシーさが口いっぱいに広がり、噛めばそれぞれの食材の食感が感じられる…。 ほんの一瞬のことなのに、スローモーションのようにおいしさが迫り来る水餃子。そんな快楽のフィニッシュは、皮づくり、餡づくり、ゆで加減のホップ・ステップ・ジャンプが肝心です。

餃子の皮を作ったことのある方ならおわかりかと思いますが、実はシンプルにして難しいのが皮づくり。いくつかポイントがありますが、まず、薄力粉ではなく、粘り気の強い強力粉を使うこと。水は何回かに分け、その都度よく練ることで、弾力性のある生地に仕上がります。
また、次第に全体がまとまってきたら、体重をかけるようにして強い力を加えると、艶が出てきて滑らかに。その後、一度寝かせれば、柔らかで扱いやすい、落ち着きのある生地ができあがります。

また、仕上げのゆで方も意外に気が抜けません。ここでのポイントは、餃子が浮いてきたら差し水をして皮にコシを出すこと。沸騰して餃子が浮いたら差し水をし、それを2~3回繰り返したら食べごろです。すぐさますくい上げ、黒酢、醤油、ナンプラーなど、お好きなつけダレとともにどうぞ。

レンコン 写真の水餃子は、豚肉をベースに、エリンギとレンコン、ネギのみじん切りが入った餡入り。レンコンはシャキシャキ感を出しつつも、食べたときに口の中に角が当たらないよう、小さくカットして入れるのがポイントです。

料理:小林武志(御田町 桃の木
撮影:2012年10月 古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:蓮藕水餃(lián ǒu shuǐ jiǎo / リィェン オウ シュェイ ジャオ)

蓮藕水餃


text 遠藤亜紀
photo 西田伸夫