大豆の旨みをソースに託す
淡泊な味わいを活かして豆腐にしたり、発酵させて醤油や味噌などの調味料になる大豆は、スープにしたり、ソースの素にするなど、料理旨みを加える“だしの素”としても万能に使える食品です。
この料理は、そんな大豆をソースに活かした一品。蒸した大豆に調味料を混ぜ、砕いて乾かして作る豆酥(トースゥ)をベースに、ニンニクや豆板醤を合わせたソースを作り、熱々にして、魚と豆腐の重ね蒸しにジャッとかけます。淡泊な鮮魚と豆腐に、たちまち香ばしさと旨みが加わり、つまみにもおかずにもいける味になる瞬間ですね。
豆酥のソースは、魚介や豆腐はもちろんのこと、蒸し鶏や野菜など、幅広い素材によく合うもの。植物由来の食材だけで作られていますから、ベジタリアンの方にもおすすめです。ご家庭でもぜひお楽しみを。
豆酥(トースゥ)の作り方
材料:大豆(乾燥)…150g / 塩…小さじ1/3 / 豆板醤…小さじ1+1/2
1. 一晩水に浸けた大豆をセイロで25分蒸し、塩、豆板醤を混ぜ合わせて粗熱をとります。大豆を蒸すのは旨みが逃げないようにするためですので、ゆでないように。
2. 2日ほど冷蔵庫でなじませた後、バットにあけて表面を乾燥させます。乾燥させないと、粉砕した時に団子状になってしまいます。
3. フードプロセッサーにかけて細かく砕き、パラパラになるまで乾燥させてできあがりです(約3時間)。
大豆ソースの作り方
材料:豆酥…50g / 油…大さじ7 / 豆板醤…大さじ1/2 / ニンニクみじん切り…小さじ1 / 砂糖…1つまみ / 醤油…少々
1. 鍋に油をなじませ、分量の油を入れ、豆酥を入れて火にかけます。油を多めに使うことで、カリカリに仕上がりますのでケチらずに。
2. 油に泡が見えたら弱火にし、焦げないよう絶えずかき混ぜます。
3. 豆酥が色づいてきたら豆板醤とニンニクを加え、さらにかき混ぜます。豆酥がカリッとしてきたら、仕上げに砂糖と醤油を加えてできあがりです。
料理:成毛幸雄(神田 雲林)
撮影:2011年9月 古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:豆酥蒸鮮魚(dòu sū zhēng xiān yú ドウ スー ヂォン シェン ユイ )

Text 長谷川亜紀
photo 西田伸夫